ヘバーデン結節と漢方治療について解説します。

ヘバーデン結節は手指の第一関節(DIP関節)が変形し、痛みや腫れを起こす疾患です。加齢や更年期の女性に多く、原因は解明されつつあるものの、完全にははっきり分かっていません。

西洋医学では痛み止めや安静、ひどい場合は手術が検討されますが、「年齢のせいだから仕方ない」と言われて鎮痛剤だけ処方されるケースも少なくありません​。

このヘバーデン結節に漢方薬はしばしば用いられ、患者様によっては関節の腫れや痛みが和らぎ、日常生活が楽になる方もいらしゃいます。変形そのものを止めることは難しいですが、変形に伴う炎症や痛みを漢方で軽減でき、さらに指先だけでなく全身のバランスを整えることも期待できます​。

ヘバーデン結節の症状改善に試す価値のある代表的な漢方薬と、その作用機序、エビデンス、そして患者さん向けのアドバイスをまとめます。当院では、クリニックと鍼灸院が併設された珍しいクリニックです。西洋医学の最新治療と、漢方や鍼灸など東洋医学の知見から、症状緩和に努めます。

症状に応じた漢方薬の種類と作用機序
ヘバーデン結節では症状や体質(証)に合わせて漢方薬を選びます。

・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) – 手指の関節痛に対する特効薬ともいわれ、まず第一に試みられる処方です​。体を温めて冷えを改善し、関節に滞った「水分(水毒)」をさばいて腫れを引かせる作用があります​。実際、桂枝加朮附湯は虚弱な方から体力のある方まで幅広く使え、副作用も少ないため安心して使用できます​。ある整形外科クリニックでは、桂枝加朮附湯で約68%の患者に症状改善がみられたとの報告があり、関節の冷えや慢性的な痛みに伴う場合に特に適しています

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) – 血行を促進し、局所のうっ血(瘀血)を改善する漢方薬です。指関節にコブ状の腫れ(骨の棘や粘液嚢腫)やこわばりがある場合に効果が期待できます​。桂枝茯苓丸は古くから血の巡りを良くし、炎症や滞った老廃物を取り除く処方で、局所の動静脈の循環障害や関節液の貯留による腫れを改善すると考えられています​。必要に応じてハトムギ(薏苡仁〈よくいにん〉)を加えた「桂枝茯苓丸加薏苡仁」を用い、水分代謝を高めて関節のむくみを取ることもあります​。痛みそのものが強い場合には、桂枝茯苓丸単独より越婢加朮湯など鎮痛効果の高い処方を優先することも検討されます。

・疎経活血湯(そけいかっけつとう) – 血行を改善し、経絡の通りを良くして痛みを和らげる処方です。名前のとおり「経を疎(とお)し血を活(い)かす」作用があり、慢性的な関節痛やしびれの改善に用いられます。患部を温め血流を良くする目的で疎経活血湯を使うと痛みの緩和に効果的な場合があります。

・麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう) – 関節リウマチの「風湿」症状にも使われる処方で、手指の関節炎を鎮める効果があります​。麻黄(まおう)や薏苡仁(よくいにん:ハトムギ)が含まれ、炎症を抑え関節の腫れを改善する働きがあります。ヘバーデン結節はリウマチとは異なりますが症状が似ている点もあり、この処方が有効な場合があります​。桂枝加朮附湯ほどの高い奏効率ではないものの、桂枝加朮附湯が効かなかった場合の次の選択肢として試されます。

・桂枝芍薬知母湯(けいしゃくやくちもとう) – 関節の腫れや熱感を伴う慢性関節痛に使われる伝統処方です。桂枝茯苓丸と同様に血流を良くしつつ、知母(ちも:アノニス)や麻黄で関節の炎症と痛みを和らげる効果があります。古くは痛風や関節リウマチの治療に用いられた経緯があり、手指の関節痛にも応用されます。

・八味地黄丸(はちみじおうがん) – 全身の機能低下や「腎虚(腎の働きの衰え)」を補う代表的な漢方薬です。年配の方で冷えやだるさが強い場合や、更年期以降の体力低下が見られる場合に、基礎体力を底上げする目的で用いられます。単独で痛みを取るというより、他の漢方治療と併用して体質改善を図り、再発予防や症状悪化を防ぐ役割が期待できます。

大防風湯(だいぼうふうとう) – 体力が低下し寒がりの方の関節痛に用いられる処方です。防風などの生薬で身体を温めながら痛みを鎮める効果があり、意外にもヘバーデン結節に有効なケースがあります。

漢方治療に関するエビデンス(臨床的根拠)
ヘバーデン結節に対する漢方療法は、近年専門医や研究者によって徐々に報告が増えています。大規模なランダム化比較試験はまだ十分行われていませんが、症例報告や臨床経験の蓄積があります。例えば、桂枝加朮附湯で手指の変形性関節症(ヘバーデン結節)の痛みが顕著に改善した2症例が整形外科の学術誌に報告されています​

患者さんへの簡単なアドバイス(漢方の選び方と注意点)
漢方によるヘバーデン結節治療を検討するにあたり、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 専門家に相談し、自分の症状に合った処方を選ぶ: 漢方薬は症状や体質に合わせて選ぶことが大切で、同じヘバーデン結節でも人によって適する処方が異なります。自己判断で市販薬を選ぶより、漢方に詳しい医師(漢方外来がある整形外科や内科)や薬剤師に相談しましょう。医療機関で処方される漢方エキス製剤は保険適用になるものも多く、継続しやすい利点があります。専門家は、関節の状態だけでなく冷えの有無、むくみや更年期症状、ストレス状況など背景要因も考慮して処方を決めてくれます。例えば冷えが強ければ桂枝加朮附湯、血行不良があれば疎経活血湯、ストレスが痛みを悪化させるようなら四逆散などを組み合わせるといった具合に、オーダーメイドで選択します。信頼できる専門家の指示のもと、自分に合う漢方薬を見つけてください。
  • 漢方薬の服用と効果の現れ方: 漢方薬は自然由来の生薬からできており、西洋薬に比べ穏やかに作用するため即効性はマイルドですが、その分全身状態を整え再発しにくくする利点があります。痛みや腫れが強い急性期には数日~1週間程度で症状が和らぐケースもありますが、変形が進んだ慢性期では効果実感まで1~2ヶ月ほど継続する必要があることもあります。症状が落ち着いてもすぐにやめず、医師と相談しながら減量・中止のタイミングを判断しましょう。漢方治療は痛みの再燃を予防し、体質を改善する目的で長期的に服用することもあります。根気よく続けることが肝心です。
  • 漢方薬の副作用と注意点: 「漢方=安全な天然薬」と思われがちですが、体質に合わなかったり用法を誤ったりすれば副作用が出ることもあります。一般的に西洋薬より副作用頻度は低めですが、発疹・かゆみ、動悸、のぼせ、胃の不快感などが現れる場合があります。特に利尿作用が強い処方では脱水に注意し、水分補給を怠らないようにしましょう。また甘草(カンゾウ)を含む処方(例:麻杏薏甘湯や八味地黄丸など)では、長期大量服用でむくみや血圧上昇(偽アルドステロン症)を招く恐れがあるため、定期的に医師の診察を受け経過をチェックしてください。万一、手足のむくみやしびれ、酷い倦怠感など重い症状が出た場合はすぐ医療機関を受診しましょう​。漢方薬も「薬」であり、自分の判断で増減量せず指示通りに服用することが大切です。

日々の生活で指を労る習慣を身につければ、再発予防や症状緩和に役立ちます。ヘバーデン結節は誰にでも起こり得る身近な関節のトラブルだからこそ、「歳のせい」とあなどらず正しく向き合うことが大切です。

動注治療を
豊田市で受けられる

この治療法は、症状の改善だけでなく、痛みを抱えた日常生活を取り戻す希望として、多くの患者様から期待を寄せられています。

愛知県で動注治療を受けられるクリニックはまだ限られていますが、当院はオクノクリニックとライセンス契約を結び、専門的な治療を提供しています。

へバーデン結節治療の新しい選択肢として、ぜひご検討ください。

動注治療で 84.5% が改善

3ヶ月以内に痛みの自覚症状が改善

オクノクリニックでは、動脈注射療法の効果を追跡するため、定期的に報告会を実施しています。最近のデータでは、治療を受けた方の84.5%が3ヶ月以内に痛みの自覚症状が改善したと報告されています。

この高い改善率は、動脈注射療法がヘバーデン結節の根本的な原因にアプローチし、痛みを効果的に和らげる治療法であることを示しています。

さらに、動注治療後1年間の116例を対象としたアンケート研究では、3ヶ月後に84.5%、6ヶ月後に72.5%、12ヶ月後に75%の方が症状改善を実感しています。この結果は、動注治療が持続的な効果を持つことを裏付けています。

多くの患者様が、この治療によって日常生活の質を取り戻し、新たな希望を見出しています。痛みや不調に悩む方は、ぜひ動注治療を選択肢の一つとしてご検討ください。

痛みの軽減と日常生活の改善を目指し、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しております。

もし「痛みが続いている」「改善が見られない」と感じている方はぜひご相談ください。ご予約はお電話またはウェブで承っております。ご来院心よりお待ちしております。

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