指の第一関節(指先に近い関節)が痛みや腫れを起こし、変形してしまう「ヘバーデン結節」について詳しく解説します。
中高年の女性に多くみられるこの症状は、放置すると指の変形が進行して日常生活に支障をきたす恐れがあります。本記事ではヘバーデン結節を早期発見する重要性と、その症状セルフチェックリスト、予防策や対処法について分かりやすく紹介します。指の違和感に心当たりのある方はぜひ参考にしてください。
目次
- ヘバーデン結節とは?
- なぜ早期発見が重要なのか?
- ヘバーデン結節の症状セルフチェックリスト
- 早期発見のメリット
- 専門医に相談するタイミング
- 日常生活でできる予防策・対策
- まとめ
ヘバーデン結節とは?
ヘバーデン結節とは、手の指の第一関節(DIP関節)が変形して曲がってしまい、痛みや腫れを伴う原因不明の疾患です。

指先の関節(手の甲側)に小さな骨のコブ(結節)が2つ現れるのが特徴で、変形は個人差がありますが、強い場合は指が横に曲がって変形することもあります
特に初期には痛みを伴うことが多く、第一関節の動きが悪くなって指を十分に曲げ伸ばしできなくなることもあります
症状は人差し指から小指にかけてよく見られ、まれに親指にも発症します。この病名は、18世紀にこの症状を報告したイギリス人医師ウィリアム・ヘバーデンにちなみ名付けられました
ヘバーデン結節は変形性関節症(いわゆる関節の軟骨がすり減ることによる arthritis)の一種で、指の第一関節に起こる代表的な疾患です。原因は明確に解明されていませんが、一般的に40代以降の女性に多く発生し、手先をよく使う人に起こりやすい傾向があります
実際、更年期以降の女性は男性の2倍以上の頻度で発症しやすいことがわかっており、ホルモンバランスの変化なども関与すると考えられています。また、家族(母親や祖母)がヘバーデン結節になっている場合は遺伝的素因も指摘されており、同じ体質を受け継いでいる可能性があるため注意が必要です
ただし全ての人が重症化するわけではなく、軽度な症状に留まる場合もあります
なぜ早期発見が重要なのか?
早期発見が重要な理由は、ヘバーデン結節が進行性の疾患であり、放置すると指の変形がどんどん悪化してしまうためです。**痛みや腫れの症状は出たり治まったりする波があるため、一時的によくなったからといって安心して放置していると、知らないうちに関節の破壊と変形が進んでしまいます。
ヘバーデン結節の典型的な経過では、症状を放置した場合、約10年ほどの長い時間をかけて指の関節や骨の変形に至るとされています。
初期には軽い痛みだけでも、何も対策をしないでいると徐々に変形が進み、最終的には指が曲がったまま固まってしまう危険性があります。
一度骨が変形して関節が固まってしまうと、元のまっすぐな指には戻せなくなってしまいます。このように取り返しのつかない変形を防ぐためにも、早い段階で気づいて対処することが重要です。
また、ヘバーデン結節が進行すると日常生活への支障も大きくなります。指先の関節に痛みがあると強く物を握ったり開けたりすることが困難になり、ペンや包丁など細かな道具の扱いにも支障が出ます。
指先の細かな動作が制限されることで、家事や仕事の効率が下がったり、好きな趣味(編み物や手芸など)を続けにくくなったりするケースもあります。早期に発見して治療を開始すれば、痛みを軽減して指の機能を維持しやすくなり、こうした生活への悪影響を最小限に抑えることができます。
さらに、ヘバーデン結節は日本人では非常に発症率が高いことも知られています。
50代で約3割、60代で約3~4割、70代では過半数以上が発症経験があるとの報告もあり、決して珍しい病気ではありません。多くの人が陥りがちな手指のトラブルだからこそ、「年のせいだから仕方ない」とあきらめずに早めに気づいて対処することが大切です。症状に気付いた段階で適切なケアを始めれば、進行を遅らせ痛みを和らげることができる可能性が高まります
早期発見・早期対応が、将来の指の健康を守るポイントになるのです。
ヘバーデン結節の症状セルフチェックリスト
以下は、ヘバーデン結節にみられる代表的な症状のセルフチェックリストです。指先の関節に違和感を覚えたら、まずは自分の症状を確認してみましょう。当てはまる項目が多いほどヘバーデン結節の可能性がありますので、早めの対策を検討してください。
- 指の第一関節に痛みがある – 人差し指から小指にかけて、指先(第一関節)がズキズキ痛んだり、物をつまんだときに違和感や痛みを感じたりす。特に朝起きたときや指を使った後に痛みを感じやすい傾向があります
- 指の第一関節が腫れて赤くなる – 痛む関節周辺が赤く腫れぼったくなっていませんか?炎症によって指先の関節がふくらみ、触ると熱感を帯びることもあります
- 指先の関節に硬いコブ状のしこりができている – 指の第一関節のところに、小さな骨の塊のような結節(こぶ)が触れる場合があります。左右から挟むように2つ隆起ができるのが典型で、見た目で関節が出っ張っているように感じられます。
- 指の動かしづらさ(こわばり)を感じる – 朝起きた直後や長時間同じ姿勢でいた後に、指先がこわばって動かしにくいことはありませんか?第一関節を曲げ伸ばししようとしてもスムーズにいかず、指を曲げる動作に制限を感じることがあります。
- 強く握る動作が困難になった – 痛みや変形のために握力が低下し、ドアノブを回す、ペットボトルのフタを開ける、重い荷物をつかむといった動作が以前よりつらくなる、指先に力が入りにくく、日常的な握る動作で痛みを感じる場合は注意が必要です。
- 左右の指を比べて変形が見られる – 痛む指の第一関節が反対側の指と比べて明らかに太く膨れていたり、関節の角度が曲がって変形していたりしませんか?指が側方に曲がってきたり、関節部分がこぶ状に突出している場合、変形が進行している可能性があります。
いかがでしたか?上記のセルフチェックで複数の項目に心当たりがある場合、ヘバーデン結節の初期症状が出ている可能性があります。
医師に相談するタイミング
ヘバーデン結節が疑われる症状が出たら、まずは近くの整形外科などの専門医に相談することをお勧めします。ただ、ヘバーデン結節は昔は治療方法がまったくなく、『やりようがない』と言われてしまうことも多いため、ヘバーデン結節に力を入れているクリニックが良いでしょう。具体的には、次のようなタイミング・症状が見られたら受診を検討しましょう。
- 痛みや腫れが2週間以上続く、または繰り返しているとき: 指先の関節の痛みや腫れが一時的に治まっても、再びぶり返すようであれば要注意です。何度も炎症を繰り返すのはヘバーデン結節の特徴の一つであり、放置すると変形が進む可能性があります。症状が長引いたり再発したりしている場合は相談しましょう。
- 指の関節に明らかな変形やしこりを感じたとき: 関節が太く盛り上がってきたり、触ってコリコリとした骨の節が感じられる場合は、すでにヘバーデン結節が進行している可能性があります。特に指が曲がってきて見た目に左右差が出ているようなら早急な受診を検討すべきです。
- 日常生活に支障が出始めたとき: 「痛くて包丁がうまく握れない」「ペンを持つと関節が痛む」「重い物を持てず生活に不便を感じる」といった具体的な支障が出てきたら、我慢せずに医師に相談してください。生活動作に困難を感じるレベルであれば、痛みを和らげたり変形を矯正する治療を早めに受ける方が良いでしょう。
- セルフチェックで複数の項目に当てはまったとき: 前述のセルフチェックリストで複数の症状が該当したら、「たぶん大丈夫」と自己判断せず、専門医の診断を仰ぐのが安心です。ヘバーデン結節はレントゲン検査で関節の隙間の狭まりや骨棘(とげ状の骨の突出)の有無を確認すれば診断できます。医療機関で診断を受ければ、関節リウマチなど他の疾患との鑑別も行えますし、適切な治療方針も立ててもらえます。
早期発見のメリット
ヘバーデン結節の症状を早期に発見し対処することには、以下のような多くのメリットがあります。
- 進行を食い止めやすくなる – 早い段階で対応することで、指関節の変形の進行を遅らせることが期待できます。例えば痛みや炎症が出始めた初期に安静や固定を行い、炎症を抑える治療をすれば、関節破壊のスピードを抑制できる可能性が高まります。実際、最近では炎症物質を早期に沈静化させることが進行予防の鍵とされており、痛みが強いうちに無理をしないことが重要です。
- 痛みを軽減できる – ヘバーデン結節の痛みは慢性的になりやすいですが、初期であれば消炎鎮痛剤の服用や湿布の利用、局所へのステロイド注射など比較的簡易な治療で痛みを和らげることができます。痛みが和らげば指も動かしやすくなり、日常生活で感じるストレスが大幅に減るでしょう。早期治療によって「痛みが出にくい状態」にコントロールすることが可能になります。
- 関節の機能維持・可動域の確保 – 変形が進行してしまう前に対策を講じることで、指関節の可動域を保ちやすくなります。例えばテーピングやサポーターで関節を安定させつつ必要なリハビリ運動を行えば、関節が固まってしまうのを防ぐことができます。ヘバーデン結節では痛みが続くと使わなくなりがちな指ですが、適切なケアで「動かせる指」を維持することが早期対応のメリットです。
- 精神的な安心感につながる – 指の痛みや変形があるまま過ごしていると、「このまま悪化したらどうしよう…」と不安になってしまうものです。早めに医師の診断を受けて「これはヘバーデン結節です」と原因がわかれば、変に心配せず対処に専念できますし、治療方針が見えることで精神的な負担も軽くなります。実際に痛みが和らいだり、進行が止まったりすれば気持ちにも余裕が生まれるでしょう。
このように、ヘバーデン結節は早期に発見してケアを始めることで症状のコントロールがしやすくなります。特に今は動脈注射治療などの新しい治療もできてきているため、早期診断・早期治療を実施する意義が増えてきました。
日常生活でできる予防策・対策
ヘバーデン結節の症状を悪化させないために、日常生活の中でできる予防策や対処法を実践しましょう。以下に、今日から取り入れられるポイントをまとめます。
- 指先に過度な負担をかけない: 普段から指の第一関節に無理な力をかけすぎないよう意識しましょう。重い瓶のフタを開けるときはゴム手袋やオープナーを使う、固いものを切るときは包丁を握りしめすぎないようにする等、道具を活用して指先への負荷を軽減します。長時間の裁縫やスマートフォン操作など指を酷使する作業は、合間に休憩を挟んで指をリラックスさせましょう。
- 痛むときは安静と固定を心がける: 指先の関節に痛みや炎症を感じたら、まずは安静にして休ませることが大切です。使わざるを得ない場合でもテーピングやサポーターで関節を軽く固定すると負担を減らせます。

・バランスの良い食事を心掛ける: 食事面からも関節の健康をサポートしましょう。カルシウムやビタミンDを豊富に含む食品(乳製品、小魚、緑黄色野菜など)を積極的に摂って骨や関節を強く保ちます。大豆製品に含まれるイソフラボン(体内でエクオールに変化する成分)は女性ホルモン様作用があり、更年期以降の関節症状の緩和に役立つ可能性があります。

・一方、リン(リン酸)を多く含む加工食品やスナック菓子、インスタント食品の過剰摂取は控えめにしましょう
・生活習慣の見直し(禁煙・節酒など): 喫煙は血行不良を招き関節の治癒を妨げる可能性があるため、ヘバーデン結節の予防・改善のためにも禁煙が望ましいです。過度の飲酒も体の炎症反応を高めることがあるので控えめにしましょう
・適度な全身運動(ウォーキングや軽い体操)は良いとされます。BMIと手の変形性関節症は軽度の相関があるとされます。ただし指に衝撃を与えるような激しいスポーツは控え、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけてください。
・スマートフォンの使い方を工夫する: 現代では意外なことにスマホの使い過ぎが指の第一関節に負担をかけている場合があります。特にスマホを小指で支えるクセがある人は、小指の第一関節に常に負荷がかかり小指のヘバーデン結節を誘発しやすいです。
以上のような日常生活での工夫により、ヘバーデン結節の予防と症状悪化の防止に努めることができます。すでに症状が出ている場合でも、これらの対策を続けることで痛みの軽減や変形進行の抑制が期待できます。「指を大事に労わる生活習慣」を心がけ、末長く健康な手指を保ちましょう。
まとめ
ヘバーデン結節は指先の関節に起こる痛みと変形の疾患で、中高年の女性を中心によく見られ、早期に対応を開始すれば、痛みをコントロールしつつ日常生活に支障なく過ごせる可能性が高まります。安静・固定や薬物療法などで多くのケースでは症状が落ち着き、重症化を防ぐことができます。
日々の生活で指を労る習慣を身につければ、再発予防や症状緩和に役立ちます。ヘバーデン結節は誰にでも起こり得る身近な関節のトラブルだからこそ、「歳のせい」とあなどらず正しく向き合うことが大切です。

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