ハイドロリリースをご存知でしょうか?
ハイドロリリースは、痛みの原因となっている末梢組織のfasciaを対象とし、生理食塩水+ー少量の局所麻酔薬(またはビカーボンなど)を使用して
そのfasciaの重積を解除することで除痛を図る手技のことです。
ハイドロリリースの歴史
1950年代 生理食塩水によるトリガーポイント注射が有効であることが報告
1980年 Lancet 生理食塩水 vs 局所麻酔薬でトリガーポイント→生理食塩水のほうが優位な鎮痛効果あり。
2008年 システムレビュー トリガーポイントでは、局所麻酔薬、ステロイド、ボツリヌス毒素Aいずれも生理食塩水以上の効果がない。
2013年 筋膜リリースに生理食塩水 vs 局所麻酔薬のRCT施行→生理食塩水は局所麻酔薬に比べて同等以上の鎮痛効果あり。
1980年のLancetでは
生理食塩水の方が、直後の鎮痛作用、さらには半日後の鎮痛作用も同量のメピバカインより優れていたと報告されています。
ハイドロリリースはなぜ効果が出るかという仮説たち
・Fascia(筋膜)に分布している痛み物質を薄めてその除去を早める
Fascia(筋膜)には痛み物質が多く報告されています。(ブラジキニン, サブスタンスPなど)
ハイドロリリースによって、Fascia自体の癒着を外すことで、可動性と伸長性が回復し、張力によって痛みを生じていた微細な神経が興奮しなくなる。
Fasciaには末梢侵害受容器(Aδ/C線維)が存在する。
Fasciaの内部のコラーゲン繊維が電解質を補給されることで通電性を取り戻す。
これらの機序で効果を発揮すると考えられています。