関節リウマチの治療薬として、5種類のJAK阻害薬が開発され、使用可能になりました。
関節の炎症を和らげる効果については、比較試験が複数出ており、効果に関してhあJAK阻害薬は生物学的製剤と同等近い効果が出ると考えて良いと思います。
しかし一方で、生物学的製剤との使い分けや治療の目標や注意点が異なりますので、その特徴に沿った使い分けが必要になります。
全体的な印象としては
・生物学的製剤と同程度に効果がある(○)
・メトトレキサートを併用しない場合にも選択肢になる薬剤である(○)
・効果発現までが早い印象がある(○)
・新薬のため、また薬剤の特徴上、注意する点がある(注意点1)
・将来のバイオフリーに対しては、未知数の印象がある(注意点2)
といった点が挙げられます。
JAK阻害薬の効果は?
JAKは色々な場所へ作用する経路で、JAK阻害薬はその一部である「リウマチの炎症への経路」にも関わるため、関節リウマチに効果を示します。
飲み薬ですが効果は高く、様々な試験で生物学的製剤の注射と同じくらいの効果を示す報告が多いです。
JAK阻害薬の即効性は?
これは、バリシチニブ(商品名オルミエント)の使用時のACR20改善率(少し良くなった)時間です。
1週や2週などの早い段階でACR20改善の患者さんが増えています。
JAK阻害薬の特徴と感じることとして、
体感的に、JAK阻害薬は効果を出るまでが早いなと感じることが多いです。
SELECT-COMPARE試験でのデータですが、黄色の線がJAK阻害薬、赤の線が生物学的製剤の1種のアダリムマブです。
効果発言までの週数が、早い印象があり、これは患者さんの経過にも似た感覚を持っています。
関節炎を抑える効果は、生物学的製剤と同程度に効果があるという試験が多いです。
JAK阻害薬のデメリットや副作用は?
生物学的製剤と同じように、感染症に注意して使用する必要があります。
生物学的製剤と比較すると、例外的に多かったのが、VZV感染(いわゆる帯状疱疹)
については、JAK阻害薬で出やすいとされています。
そのため、当院では、帯状疱疹の不活化ワクチンである「シングリックス」を受けるよう勧めています。
また、総コレステロール、LDLコレステロールの上昇などが知られています。
まとめ
JAK阻害薬は新しい薬で、関節炎に効果があり、効果が出るまでの期間が早い印象のある薬剤です。
帯状疱疹は予防方法もあるため、ワクチンを併用しながら使用します。
まだ新薬であるため、「薬を将来やめられるか」などについては、生物学的製剤に比べデータが出揃っていない状況です。