関節リウマチについてー診断・治療・Q&Aー

 

関節リウマチで通院している患者様でも、医師から「関節リウマチとはどのような病気か、どんな治療をしていくかの全体像を聞いたことがない」という声を多くいただきます。

当院では初診30分、再診15分~30分かけて関節リウマチの診断、関節エコーでの病勢の評価、説明資材を使った治療方針の相談を承っていますが、「はじめて説明してもらった」という患者様の声をいただく機会がとても多いです。

関節リウマチの治療において、ご自身が関節リウマチのことを知ることが大切だ、と私は考えています。

そのため、関節リウマチについて、わかりやすく解説していきたいと思います。

 

 

 

関節リウマチの治療を中断してしまって再開を悩んでいる方へ

抗CCP抗体陽性と関節リウマチ治療

関節リウマチはどんな病気?

関節リウマチは、免疫の異常により、手足の関節が腫れたり痛くなる病気です。

・「痛み」と「腫れ」が出る
・「関節の変形」が出る

痛みで日常生活に支障が出てくることに加えて、治療が遅れると関節が変形してしまい、日常生活に支障が出ます。

関節には「滑膜(かつまく)」という組織があります。

「膝に水が貯まる」と表現するように、滑膜は関節液を作り、関節を、なめらかに動かすために必要な組織です。

関節リウマチでは、免疫の働きが乱れてしまうことで、滑膜を攻撃するように変化してしまいます。

 

免疫が乱れ、滑膜が攻撃されることで、滑膜は肥厚・増殖した姿となります。

 

滑膜の炎症があること、原因は免疫の乱れ。これが関節リウマチです。

 

 

腫れて痛い状態をずっと放置してしまうと、関節は変形してしまいます。

しかし、今は免疫の乱れに対する薬剤が出てきています。関節リウマチは、この20年で一番治療が進歩した病気といわれるくらい、治療方法が進歩しました。

そのため、「早期診断・早期治療」がとても大切な病気になりました。

何歳くらいの人が、どんな人がリウマチになりやすいの?

30歳代~50歳代の方が一番なりやすく、20代や60代でも新しく発症することがあります。

 

この年代の方は、家庭や仕事などで忙しく、自分のことを後回しにしてしまいがちな年代です。


そのため、これらの年代の方も相談しやすいリウマチ外来クリニックを作りたいと考え、夜診を行うクリニックを作りました。

 

女性のほうがなりやすく、人口1000人に対し5人くらい、男性は人口1000人に対し1人くらいの発症とされています。

 

なぜ女性のほうがなりやすいか、というのは、まだ分かっていません。

 

家族がリウマチだと、自分もなりやすいのか?という質問をよくいただきます。その通りで、関節リウマチには遺伝的な要素と環境的な要素が関わってきます。
関節リウマチと遺伝的要因、環境的要因

 

関節リウマチの症状

関節リウマチでは関節の腫れ・痛みが出現します。また、朝のこわばり感がでてきます。

1)関節の腫れ・痛み

関節の腫れや痛みが出てきます。

関節リウマチでは、
・症状の出やすい関節、出にくい関節があります。

これらの関節は、症状が出やすい関節です。

 

関節リウマチが出やすい関節、変形性関節症が出やすい関節

関節リウマチと間違われやすい病気の一つに、変形性関節症(ヘバーデン結節、ブシャール結節)があります。

上の写真の緑のところが関節リウマチの時に腫れやすい関節で、赤☓が変形性関節症の症状が出やすい関節です。

 

朝のこわばり

朝目が冷めたときに手指の腫れたような感じや、動かしにくい感じを実感される方が多いです。

 

関節リウマチの診断

関節リウマチを早期に見つけるために、2010年に診断基準・分類基準が新しくなりました。

1987年の診断基準に比べ、早くから診断できるようになってきています。

 

1)関節炎があるかどうか

関節が痛いだけなのか、リウマチのように炎症を伴って腫れているかを診察します。

リウマチの場合、「パン生地のような、ぶよっとした柔らかさ」があります。

また、関節超音波検査(関節エコー検査)を併用することで、関節の炎症を一緒に見ることができます。

当院では50インチほどのモニターで、関節炎の状態を一緒に確認できます。

 

関節リウマチの関節超音波検査でみる、7-Joint について

2)リウマチ以外の関節炎らしくないかどうか

関節の痛みが出る原因は、リウマチ以外にもあります。

これらの病気が隠れていないか、診察や検査を行い、診断していきます。

 

3)関節リウマチの血液検査や、関節リウマチらしい関節炎かどうか

 

リウマチの血液検査や、血液検査だけでは診断できない場合の診断方法もあり、それらを使い診断していきます。

※抗CCP抗体やリウマチ因子の基準値は、病院によって異なる場合があります。

関節リウマチの診断の検査、抗CCP抗体について解説します。

 

関節超音波検査(関節エコー検査)

当院では、毎回の診察で関節エコーにより関節リウマチの状態を評価し、患者様と一緒に確認しています。

(関節エコーの検査代金は初回のみいただいております)

・関節リウマチで通院しているが、まだ痛い方
・主治医から治療強化の提案を受けているが、悩んでいる方
・自己注射の生物学的製剤を中止する前の評価
・抗CCP抗体やリウマチ因子が陽性だが、関節リウマチではないかもと言われた方
・治療効果を、目で見て確認したい方

にとって、ぜひ受けてみることをおすすめする検査です。

関節エコーの見方の解説ページはこちら

関節エコーを治療経過の判定に使う時に見ていく関節、7-jointについての解説はこちら

関節リウマチの治療

関節リウマチの治療は、この20年でとても進歩し、関節の腫れ、痛みの改善に加え、関節変形抑制効果もエビデンスが蓄積されています。

 

関節リウマチの治療の全体像を解説・・・治療の全体像を解説しています。

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どのような時に、生物学的製剤やJAK阻害薬の使用を考えるか

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関節リウマチとステロイド
・・・ステロイドは苦手、という方に安心して関節リウマチの治療をうけていただけるよう。関節リウマチにおけるステロイドの位置付けを解説しています。
(ステロイドを使うイメージを持っていらっしゃる方もいますが誤解で、関節リウマチでの治療は抗リウマチ薬という別の治療薬が治療の中心になります。そのため、ステロイドなしの治療も普通に可能です)

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リウマチの治療を中断してしまった方へ
・・・当院には、一度受診を中止してしまったけれども、関節リウマチが心配、という方の再受診の方も多くいらっしゃいます。おくすりに対する不安感を話し合うことや、説明をしっかり行うことや、社会保障制度を相談することで、治療を再開できた方もたくさんいらっしゃいます。いつでもご相談ください。

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持病と関節リウマチ

関節リウマチの治療は、持病をお持ちの方でも受けていただけます。持病との兼ね合いを大切に、治療をしていきます。

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リウマチと社会保障制度 

関節リウマチは、長く付き合っていく疾患だからこそ、利用できる社会制度について医療機関が詳しい方がよいと考えています。
社会保障制度について相談も承っていますので、気になる方はご相談ください。

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