抗CCP抗体陽性と早期関節リウマチ治療

抗CCP抗体とは

抗CCP抗体とは、関節リウマチを診断するための血液検査です。血液検査をすることで、関節リウマチの可能性を調べることができます。

発症前から出現することもあり、関節リウマチの早期診断に役立つ検査です。また、関節リウマチ以外の病気で出る事が少ないため、「関節が腫れている+抗CCP抗体陽性」の場合は、高確率で関節リウマチと考えることができます。

このページでは、関節リウマチが心配な方や、抗CCP抗体が陽性と言われ、困っている方に向けて、抗CCP抗体と関節リウマチについて解説します。

 

抗CCP抗体~関節リウマチを何%発見できて、何%くらい関節リウマチらしいのか~

理想の血液検査とは、

1.病気があれば100%発見できること

2.検査が陽性であれば、100%その病気と診断できること

この2つが100%だと、理想的な検査になります。世の中の全ての検査は、この理想を目指していますが、今の科学技術だと100%という検査はありません。ですが、抗CCP抗体はこの2つの目標という点で、非常に優れた検査です。

抗CCP抗体の血液検査は、関節リウマチの検査の中では、病気の見つけやすさ、陽性の時の関節リウマチらしさが一番優れた検査になります。

 

1.関節リウマチがあれば発見できる確率

この特徴を感度と言いますが、関節リウマチ患者さんの70~85%で陽性になるとされています。つまり、関節リウマチであれば70~85%の確率で陽性と出てきます。

ただし、発症早期は陽性になる確率が50%近いという報告もあり、リウマチを発症した直後は陰性でも、あとから陽性に出てくる場合があります。

 

2.抗CCP抗体が陽性あれば、関節リウマチと診断できる確率

抗CCP抗体は、関節リウマチ以外の病気で出現する確率は2~5%ほどです。そのため、この検査が陽性であれば、非常にリウマチらしいと考えることができます。

他の病気での陽性率に関しては、後半部分で解説しますが、「関節炎で抗CCP抗体が陽性の場合、リウマチ以外の病気の確率は2~5%」と言うことができます。

 

 

抗CCP抗体陽性だが、まだ関節リウマチではないと言われた時

関節が痛く抗CCP抗体が陽性だったが、まだ関節リウマチではない、とかかりつけの先生に言われた時は、どのように考えるかというと、2通りを考えます。

1.関節炎があるが、発見できていない

2.まだ関節リウマチを発症しておらず、今の時点では関節リウマチではない

この2通りです。

 

1.関節炎があるが、発見できていない

関節炎を見つける方法としては、触診法(医師の手で触って押す)、関節超音波検査(エコーで見る)、MRIで見る、の3つの方法があります。

手で触るよりも超音波検査の方が精度が高いため、検査すると見つかる関節炎があるけれども触診法だと見つけられていない、という場合があります。(このパターンのことはとても多いです)。そのため、当院では関節が痛い患者さんには、関節超音波検査(関節エコー検査)をおすすめしています。

関節超音波検査と当院の取り組み

 

2.まだ関節リウマチを発症しておらず、今の時点では関節リウマチではない

抗CCP抗体は、実は関節リウマチ発症の数年前から陽性になることがあります。

こちらは、関節リウマチ発症前に、抗CCP抗体やリウマチ因子(RF)が何割くらい陽性になるかという研究です。

このように、関節リウマチ発症前に抗CCP抗体陽性になっている方もおり、発症した直後に早期治療をはじめる、という考え方も出てきております。

関節リウマチは免疫の病気であり、免疫現象が体の中にあるけれども発症する前の段階をPre clinical RA(リウマチ発症前の段階)と呼ぶ考え方が主流になってきています。

 

N Engl J Med 2023; 388:529-542より

 

当院では、抗CCP抗体が陽性で、まだ説明を受けていない方に向けて、初診では30分ほどお時間を用意し、関節エコーの評価~相談を実施しています。

 

抗CCP抗体陽性の場合、リウマチ専門医を受診した方がよい理由

抗CCP抗体は、関節リウマチ診断に使われる検査ですが、実は関節の変形リスクとも強く関連しています。

抗CCP抗体が陽性の場合、関節が変形しやすいとされています。

Ann Rheum Dis. 2015 Jan;74(1):e3. doi: 10.1136/annrheumdis-2014-206623(下記表より)

抗CCP抗体陽性やリウマチ因子陽性の場合、診断しやすい代わりに変形リスクも高いです。

 

そのため、抗CCP抗体陽性の場合、早期からの専門的な治療の必要性が高いと考えられます。

 

 

ACPA産生から関節リウマチ発症まで

抗CCP抗体産生の過程は少し複雑でわかりにくいので、説明は少しにとどめます。
最初のステップとして、シトルリン化自己蛋白が生成されます。このステップはシトルリン化と呼ばれる過程で生じます。

シトルリン化は蛋白質の翻訳後修飾というプロセスで生じます。酵素であるPADIがアルギニン残基をシトルリン残基に変換します。
このシトルリン残基は通常のアミノ酸にはない独特のものです。

アルギニンからシトルリンへの変換が、自己抗体産生に重要とされています。アルギニンは陽性に荷電していますが、シトルリンは中性です。

このため、蛋白質のコンフォメーションが変化し、さらにシトルリン残基が追加される可能性があります。また、荷電の変化で蛋白質の一部の折りたたみ構造(folding)が広がり、イオン結合や水素結合も変化し、さらにfoldingに影響する可能性があります。

 

 

抗CCP抗体は、最初は関節外で産生されます。その一つが肺で、一つが歯周病と考えられています。

MHCクラスⅡ分子のHLA-DRB1のように、遺伝的感受性を有する方々では、タバコな刺激で肺の自己蛋白シトルリン化が誘導される可能性があります。
これらの集団では、すでにシトルリン化蛋白との結合が増強しているため、抗CCP抗体が産生されます。

肺で産生された抗CCP抗体は、最終的に関節に至ると考えられます。

 

抗CCP抗体の特徴ー抗CCP抗体の数値の見方は?ー

抗CCP抗体は、関節リウマチの診断のための基準の一つとして使われます。施設によりますが、4.5 U/ml以下が正常で13.5以上が高値です。

 

抗CCP抗体はリウマチ以外でも陽性になるか?~リウマチ以外で抗CCP抗体が高い原因~原因はリウマチだけ?

全体の2~5%ですが、別の病気で抗CCPが陽性になることがあります。
そのため、今の症状をお伺いし、他の検査も組み合わせて総合的に診断をします。

 

抗CCP抗体が陽性だった場合、

1.関節に炎症があるかどうか(超音波検査などで評価)

2.他の病気が原因ではないかどうか(血液検査や問診)

3.今後、定期的に診察を継続したほうがよいかどうか

などの判断が必要になります。

 

抗CCP抗体 高いとどうなる?

抗CCP抗体の数値が>10以上なのか、10以下なのかで、関節の変形リスクが変わってくるとされています。

傾向としては、高いと骨びらんの可能性が高いと考えます(絶対的なものではありませんし、治療を行うことで骨びらんは抑制できます)

 

薬の種類によっては、抗CCP抗体が高い時に効果が高い可能性がある研究結果なども出ています。

 

まとめ

抗CCP抗体の役割を解説しました。抗CCP抗体は、関節リウマチを診断するために大切な検査で、将来の関節変形のリスクにも関わる(陽性だと変形のリスクがあがる)抗体です。
そのため、抗CCP抗体陽性の場合、一度リウマチ専門医受診をおすすめします。