関節リウマチの治療方法

関節リウマチでは、どのような治療が行われますか?

関節リウマチの治療には、「薬物療法・リハビリテーション・手術」などがありますが、現在は、効果の高い薬剤を使う治療が中心です。

 

飲み薬、または注射薬で治療します。

 

以前までの関節リウマチ治療は、痛みを和らげるだけ、いわゆる対症療法しかありませんでした。そのため関節の変形を止められず、手術やリハビリテーションが必要な方が多くいらっしゃいました。

 

しかし、現在では効果的な薬剤の開発(生物学的製剤やJAK阻害薬)や、メトトレキサートの使用方法のガイドラインなどの出現により、腫れや痛みを抑えるだけでなく、関節の変形・破壊を防ぐことができる時代になってきています。

 

当院で使用可能な生物学的製剤・JAK阻害薬

生物学的製剤
TNF-α阻害薬:ヒュミラ、シンポニー、エンブレル、シムジア
IL-6阻害薬:アクテムラ、シムジア
CTLA4-Ig:オレンシア

JAK阻害薬
JAK阻害薬:ゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフ、リンヴォック、ジセレカ

 

生物学的製剤やJAK阻害薬を積極的に考えるべき患者様、予後悪化因子とは

→生物学的製剤とはどんな薬?

関節リウマチ治療とステロイドについて

 

関節リウマチの治療を中断してしまった方へ

 

関節リウマチの治療は、なぜ必要なのか。

関節リウマチの治療の目標は、

・関節の腫れや痛みを取る=日常生活で感じる「痛み」を抑える
・関節破壊の進行抑制=将来の「関節の変形」を抑える

 

を行うことです。痛み・腫れ・変形を抑えることで、将来変形し手足が使いにくくなることを防いでいきます。

 

関節リウマチの診断がついたら、まずメトトレキサートという薬を使用できるかどうかを検討します。

メトトレキサートが使用できない場合は、csDMARDsと呼ばれる別の抗リウマチ薬を使用します。

csDMARDsは、日本だとサラゾスルファピリジン(商品名アザルフィジン‎Ⓡ)、ブシラミン(商品名リマチル‎‎Ⓡ)、イグラチモド(商品名ケアラム‎Ⓡ)、タクロリムス(商品名プログラフ‎Ⓡ)などが用いられます。

 

治療の達成状況により、生物学的製剤(TNF-α阻害薬であるヒュミラ Ⓡ 、シンポニー Ⓡ 、エンブレル Ⓡ 、レミケード、シムジア等、IL-6阻害薬であるアクテムラ Ⓡ 、ケブザラ Ⓡ 、CTLA4-Ig製剤であるオレンシア Ⓡ )等を使用していきます。最近ではこれらと同等近い効果の飲み薬であるJAK阻害薬が使用されます。

 

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関節リウマチの治療薬は、治療効果(痛みや腫れの改善)までの期間が長いです。

つまり飲み始めてから効果を実感するまで時間がかかり、約2-3ヶ月ほどかかります。

 

関節リウマチの治療効果は、3ヶ月から6ヶ月ごとに目標が達成できているかを確認し、できていなければ治療の見直しを行います。治療目標の一つに、「疾患活動性評価」があります。

痛い関節の数、腫れている関節の数、自己評価、血液検査の炎症反応で評価していきます。

 

 

治療目標を医師と共有しよう

患者様の中には、痛みがある程度落ち着いていて困っていない、というところで満足している方も居ます。困っていないことは喜ばしいことである一方、もう一つの治療の目標である「関節破壊(変形)」を抑えるためには、寛解を目指して治療する必要があるか、リウマチ科医と相談が望ましいです。  

 

この認識は、医師と話し合っていきましょう。

 

 

メトトレキサートで寛解状態であれば、その状態を維持していきます。

 

 

メトトレキサートで寛解状態でない場合は、治療の見直しを行います。

つづいて、「メトトレキサートの使用状況」と「リウマチの病勢」に応じた、治療の流れを解説します。

 

①メトトレキサート内服しているが、関節炎症状が強く残っている場合

こういった場合、大きく分けると、

① 生物学的製剤やJAK阻害薬を併用し、治療を強化する

② csDMARDs(効果が少しマイルドな抗リウマチ薬)を併用する。

 

の2つの方法を取ることが多いです。

 

生物学的製剤には、メトトレキサートとの併用が望ましい薬と、併用を必ずしも必須としない薬があります。

メトトレキサートが使用できる場合には、メトトレキサート併用の方向で治療方法を組み立てていくことが多いです。

 

それぞれの薬剤のエビデンス、使用方法、ニーズに合わせ、治療方法を決めていきます。

 

 

メトトレキサートが内服できない場合

当院にも時々いただく相談で

「メトトレキサートが飲めないが、治療方法をどうしたらよいか」

という質問をいただきます。

 

メトトレキサートが使用できない基礎疾患や、使用できない患者様には、使用しない場合の治療方法がありますので、

そちらを提案していきます。

 

今は、メトトレキサートなしで効果が期待できる薬剤も増えてきており、いわゆる「単剤治療」といい、メトトレキサートなしの場合の治療成績を各種の薬剤が報告してきております。

 

患者様のニーズや状態に合わせ、最新の情報を提供し、治療方針を一緒に検討していきます。

 

生物学的製剤と薬価と社会保障へのリンク

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