リウマチ治療の流れを説明します。

現代の関節リウマチの治療の主な流れは、薬による薬物療法ですが、実際にどんな流れで良くなっていくか、という時間経過が分からないという方もいらっしゃいます。

関節リウマチの治療を始めても、薬の効果が時間がかかり、「このまま治るのか」「時間がかかるのが普通なのか違うのか」「その間の痛みをどうしよう」とお悩みの方も多いです。そのため、関節リウマチの治療の時間軸や、その間の対処方法を解説しました。

このページでは、関節リウマチの治療を始めた時の「時間軸」と、「治療の流れ」がわかりやすくなるように解説していきます。

①関節リウマチの診断

まず、関節が痛い原因が関節リウマチかどうか、診断を行います。

血液検査の結果が判明するまでに、数日~1週間前後のことが多いです。

関節超音波検査で明らかな関節炎がある場合や痛みが強い場合には、初診の診察日から治療を開始していくことがあります。

②早期治療

関節リウマチの診断後、治療を開始します。メトトレキサートという薬剤で初期治療を開始することが多いですが、メトトレキサートが使用できない患者様もいらっしゃるため、その場合は他の薬剤を使用します。

生物学的製剤に関しては、お薬の添付文書で「すくなくとも1剤の抗リウマチ薬で効果不十分な場合」という文言がついている事が多く、初期治療で効果不十分な場合に使用していきます。シムジアなどのように、その文言がついていない製剤もあります。

メトトレキサートや、その他の抗リウマチ薬は、治療効果が出てくるまでに少し時間がかかります

また、副作用が出にくいように、少なめの量からはじめて、徐々に増量する場合もあります。

メトトレキサートを使用する際には、ガイドラインにそった事前の検査が望まれるため、その検査も行います。

早い場合は初診時に治療前の感染症検査を行うこともあります。

横軸は週数

横軸は週数ですが、4週(1ヶ月)、8週(2ヶ月)、12週(3ヶ月)で、
病気の活動性(痛い関節や腫れている関節は10点満点での過ごしやすさ)が上記のように改善してきます。

なかなか改善が乏しい場合には、薬の調整を行っていきます。

②-2抗リウマチ薬が効いてくるまでの間に痛みがあったらどうすればよい?

抗リウマチ薬が効いてくるまでの間、痛みが強い場合には、対処方法は大きく3つあります。

1.ロキソニンなどのNSAIDsを併用する

ロキソニンなどの薬は、飲んで6時間ほど痛みを取るイメージがあると思いますが、関節炎の領域では抗炎症作用を期待して使用します。約1週間ほど連続して服用すると、抗炎症作用が出て痛みが和らいできます。その間にメトトレキサートなどの抗リウマチ薬の効果が出てくるのを待ち、痛みが改善したら中止します。

2.少量ステロイドを併用する

ステロイドも、痛み止めとして使用することがあります。ステロイドについては、好き嫌いもあるため、説明し使用するかどうか相談することが多いです。当院では、副作用が出にくいよう、また後で中止しやすいよう、隔日内服という方法を提案しています。

3.関節注射を行う(ケナコルト)

ケナコルトという関節注射をすると、2-3日で症状がだいぶ和らぎます。症状が強い場合などは注射を併用します。

治療の目標に向けて、治療強度を調整する

痛みが和らいできたら、次は「痛い関節がない、腫れている関節がない」という寛解状態を目指せそうか考え、治療の目標を相談します。高齢な方や持病により難しい場合はありますが、患者様にとって、よりよい状態を目指し相談します。

寛解状態が維持できたら、減薬を検討する

この表では左側の部分です。

Deep remission(深い寛解)は、減量に向けた関節リウマチの治療目標の一つであり、関節の炎症や破壊を最小限に抑えることと薬剤の減量を両立するための大事な考え方です。