関節リウマチの治療に使う「生物学的製剤」とは、上の写真のように注射で行う関節リウマチの薬のことを言います。
生物学的製剤は高分子の蛋白質であるため、腸からそのままの形では吸収することができないため、注射として体の中に取り入れる形をとっています。点滴注射や皮下注射の方法があります。
比較的新しい薬ですが、日本でも2003年頃から使用されはじめています。
20年近い使用の歴史を重ねることで、使用方法の注意点や、使用後に関節がどのような状態になるかという知見が集まってきています。
つまり、開発当時より安全に使う方法が知られるようになってきました。
生物学的製剤とは
タンパク質、細胞や組織などの、生体由来の物質、あるいは生物の機能を利用して製造される医薬品のことを、生物学的製剤とよびます。
モノクローナル抗体製剤をはじめとするタンパク質がその代表です。
この図は、炎症を起こすサイトカイン(TNF-αやIL-6)を生物学的製剤の抗体が抑えることで、関節リウマチの原因となる【炎症を起こす化学物質(サイトカイン)】を抑え、関節の炎症を抑えます。
生物学的製剤と同等の効果を示す飲み薬に、JAK阻害薬があります。
次の表は、生物学的製剤とJAK阻害薬の比較です。
生物学的製剤とJAK阻害薬は、効果は同等と言えます。
ただ、JAK阻害薬は多数のサイトカインを同時に抑えることから、抑えすぎることで関節炎以外の部分で悪さをしないかという点に注意しながら治療をしていく必要がある薬剤です。
まとめ
生物学的製剤は、バイオテクノロジーを用いて製造された薬剤で、関節リウマチでの炎症の原因となる特定の分子を標的とした治療に使われる薬剤です。
蛋白の成分の形状が大事なため、腸から吸収することが難しく、点滴や皮下注射の形態で使用されます。