リウマチの原因とは?
関節リウマチを発症すると、「何が原因だったんだろう」「何が良くなかったんだろう」「何が悪かったんだろう」と理由を探してしまう方も多いです。また、ご家族様にリウマチを発症されているかたが居る方ですと、遺伝が心配になり、相談いただくことも多いです。
リウマチの原因は、まだ完全にわかっていないことも多いですが、予防方法も知られています。また、遺伝的な要素は遺伝素因という考え方で、若干の遺伝素因はあるものの、全ての方に遺伝するわけではありません。私の母もリウマチを患ってはいますが、遺伝的な素因は1.5-2倍程度リウマチを発症しやすいと言われています(0.5% in the general population and 0.8% among those with a family history of RA)。そのため、喫煙予防や歯周病予防など、できる対策を実施しています。
このページでは、関節リウマチの原因や予防方法について解説します。
1. 自己免疫の異常
リウマチは、免疫系の異常が根本的な原因とされています。正常な免疫系は、細菌やウイルスといった外敵から身体を守りますが、リウマチの場合、自分自身の関節や組織を攻撃してしまいます。この原因として、次の要因が考えられています。
- 自己抗体の生成:関節リウマチでは「リウマトイド因子(RF)」や「抗CCP抗体」といった自己抗体が見られ、これらの抗体は炎症を引き起こすことがあることが知られ、これらの抗体陽性の方では関節リウマチを発症しやすくなります。
2. 遺伝的要因
リウマチは遺伝的要因も関与しており、家族内でリウマチを発症するケースが見られます。
- HLA-DRB1遺伝子:この遺伝子は、リウマチの発症に強い関連があるとされています。
- 遺伝要因だけでなく環境因子との相互作用も発症に影響するため、遺伝的な素因があるからといって必ずしも発症するわけではありません。
3. 環境因子
遺伝以外にも、以下の環境要因がリウマチの発症リスクを高めるとされています。
- 喫煙:喫煙者はリウマチの発症リスクが大幅に上昇します。特にHLA-DRB1遺伝子を持つ人が喫煙すると、リスクが倍増することが報告されています。
- 歯周病:歯周病でのP. gingivalisという菌種が抗CCP抗体陽性を引き起こすことが知られています。
喫煙を避け、歯周病予防などに取り組むことは、リウマチ発症に予防的に働きます。
4. ストレスとリウマチの関連
精神的・身体的なストレスも免疫調整機能を低下させ、リウマチを悪化させる可能性があります。ストレス管理がリウマチ治療の一環として重要視されており、日本においては、関節リウマチ診療はリウマチ科はもちろん専門家として診療しますが、心療内科なども関節リウマチを診療しておられるのは、心理的な影響が重要であるからです。当院でも、院長の私はリウマチ専門医の資格に加え、公認心理師の資格も取得し、総合的なアプローチを実施するべきと考えています。
ストレスを減らし、睡眠をしっかり取ることは発症予防にも重要です。
まとめ
リウマチは、遺伝的要因、環境因子、ストレスなどが複雑に絡み合って発症します。現在のところ、完全な予防法は確立されていませんが、生活習慣の見直しや早期発見・治療によって、症状をコントロールすることが可能です。
もしリウマチについて悩みがある、相談したい、という場合は、いつでも御相談ください。