ケアラム®(イグラチモド)という薬を解説します。

関節リウマチの治療薬としてのイグラチモド(ケアラム®)の基礎知識

イグラチモド(先発名ケアラム®)は、関節リウマチの治療で一部の重要なな役割を果たす抗リウマチ薬です。

発売当時はサラゾスルファピリジンとブシラミンしか選択肢がない状況などでのリウマチへの選択肢が広がり、とても嬉しかった薬剤です。

イグラチモドという薬を処方されましたが、効果や副作用が気になります

医師 高杉

イグラチモドについて解説致します。

関節リウマチ治療における位置づけと特徴

関節リウマチの治療薬として、免疫系に作用して炎症を抑える働きがあります。

位置づけとしては、『免疫調整薬』に分類され、メトトレキサートを使用困難な患者さんや、サラゾスルファピリジンにアレルギーがあるが抗リウマチ薬として治療強化の上乗せをしたいときなどに使用されます。

炎症を抑える効果が期待でき、特にB細胞系の働く経路があるためリウマトイド因子が高い患者さんに効果的という報告があります。

MTX(メトトレキサート)を考慮→csDMARDsとする場合の、csDMARDsの一つとして使用されます。
※csDMADRsとは((疾患修飾性抗リウマチ薬)のことで、抗リウマチ薬としての作用を持っている薬剤のことを指します。


間質性肺炎などでメトトレキサートが使用しづらいケースや、関節リウマチなのか見極めながら治療を開始する場合に使用されることや、メトトレキサートとの相乗効果を期待して処方されることが多いです。

イグラチモドの作用の仕組みと期待できる効果

B細胞という免疫細胞の働きを調整し、炎症を引き起こす物質の産生を抑えることで、関節の痛みや腫れを改善します。

効果の発現には時間がかかりますが、継続的な服用で症状の改善が期待できます。

最新の研究データと治療実績

臨床試験では、24週後に約53.8%の患者さんで症状の改善が確認されています。

メトトレキサートとの併用で、さらに高い効果が期待できると考えています。

イグラチモド(ケアラム®)の服用方法と注意事項

イグラチモド(ケアラム®)は、関節リウマチの症状改善に効果的な治療薬ですが、正しい服用方法と注意事項を理解することが大切です。

標準的な服用量と服用タイミング

朝食後から1日1回25mgで治療を開始し、4週間以上経過した後に1日2回50mgまで増量できます。

はじめは半量で使用し、その後通常量(50mg)にするイメージです。このイメージがないと、1ヶ月で薬を増えたイメージを持たれますが、実際にははじめの1ヶ月が半量で開始というイメージです。

副作用が心配で薬を飲むのが不安です

イグラチモドの副作用については、添付文書で書かれているものはありますが一過性のことが多く、免疫抑制薬ではなく免疫調整薬に分類されるため、比較的安全性が高いとされています。肝障害がないかどうか、定期的な血液検査は必要です。

服用時の生活上の注意点

薬の効果を最大限に引き出すために、以下の点に注意が必要です。

併用する薬との相互作用

他の薬との相互作用に注意が必要です。

NSAIDsの注意点と似ています。イグラチモドは、もともと製造過程において、痛み止めを開発しているときに抗リウマチ薬としての働きがある薬剤ができたという開発経緯のため、痛み止め的な働きも一部有しています。そのため、痛み止めと同じく、消化管潰瘍予防が重要な薬剤です。

長期服用における留意点

長期的な服用では、定期的な検査と体調管理が重要になります。

血液検査って必要でしょうか?

治療効果を安全に得るために必要な検査だと考えています。抗リウマチ薬全般に言えることですが、定期的に血液検査をしたほうが安全に使用できます。

副作用の詳細と対処法

関節リウマチ治療におけるイグラチモド(ケアラム®)の副作用と対処法について説明します。

一般的な副作用の種類と症状

副作用の早期発見と適切な対処が重要です。

特に肝障害のフォローアップが重要です。ですが、免疫抑制作用が少ないことは大きなメリットで、またアレルギーも少ないため、使用しやすい薬剤の一つと言えます

副作用への対処と予防方法

日常生活での予防や対処も重要と考えています。

関節リウマチ自体が、疾患活動性が高い時期は感染リスクがあがるとされており、注意が必要です。

定期検査の重要性と項目

安全な治療継続のため、定期検査が必要です。

副作用が出た場合の連絡体制

副作用への迅速な対応が重要です。

わざわざ聞いていいか心配です

医師 高杉

当院では、LINEでチャット相談を受けています。

関節リウマチの治療は、安心して受けていただいた方が治療効果が若干良いとの報告もあり、安心して治療を受けることも大事だと考えています。

副作用の早期発見と適切な対処により、より安全な治療継続が可能と考えています。

治療効果を高める日常生活のポイント

関節リウマチ治療における日常生活管理は薬物療法の効果を高める重要な要素です。

服薬管理の具体的な方法と飲み忘れ時の対応

服薬がばらつくより、確実に飲めたほうがイグラチモドの治療効果を最大限引き出せます。

イグラチモドを飲み忘れることが不安です

医師 高杉

忘れてしまった場合には、忘れてしまった1回分はスキップして次の内服タイミングで処方通り再開いただくのが現実的かと存じます。

受診時の相談のコツ

医師との効果的なコミュニケーションにより、より良い治療につながります。

治療を始める前の準備と心構え

関節リウマチの治療を効果的に進めるためには、治療前の準備と適切な心構えが大切です。

治療開始前の必要な検査

治療開始前には複数の検査が必要になります。

検査結果に基づいて、最適な治療法を決定していきます。

検査の数が多くて不安になってきました

医師 高杉

検査は副作用を早期に発見して、安全に治療を進めるために必要なものと考えています

治療費用と医療保険の利用とイグラチモドの薬価

関節リウマチの治療には、医療保険を上手に活用することが重要です。

イグラチモドの薬価は、1錠25mgで42.60円です。抗リウマチ薬は高額のイメージがありますが、生物学的製剤とJAK阻害薬以外はそれほど高額ではないので、薬剤次第で値段は変わってくるとおぼえておくとよいでしょう。

費用のことは、医療機関に相談すると解決できることも多いです。

かかりつけ医との関係づくり

治療に関する不安や疑問を気軽に相談できる関係性の構築が重要です。

おくすりは、プラセボ効果やノセボ効果といって、心理的な状態によって効きやすくなる、効きにくくなることもあります。

そのため、気になることはメモするなど、相談し忘れを防ぐ工夫も良いと思います。

よくある質問(FAQ)

服用時間は個人に合わせて調整できますか?

原則として朝食後の服用から開始し、4週間以上経過した後に朝夕2回の服用に増やします。服用時間の変更は医師に相談が必要です。

副作用がひどい場合はどうすればよいですか?

副作用が出た場合は医師に相談してください。必要に応じて投与量の調整や一時的な休薬を検討します。

他の関節リウマチ治療薬と併用できますか?

メトトレキサートなど他の抗リウマチ薬との併用は可能です。ワルファリンなどの一部薬剤と併用禁忌のものもあるため、他の医療機関でも薬剤をもらっていて併用する場合などは医師に相談してください。

効果が出るまでどのくらい時間がかかりますか?

通常4-8週間程度で効果が現れ始めるとされます。効果が出る場合は16週までに期待できるとされます。個人差があるため、焦らず継続することが大切です。

長期服用による影響はありますか?

定期的な検査を受けながら服用することで、長期的な安全性が確認されています。異常が見られた場合は早期に対応が可能です。

お酒を飲んでも問題ありませんか?

過度な飲酒は肝臓への負担が増すため控えめにしてください。飲酒量や頻度については医師に相談することをお勧めします。