クラミジア感染症は、産婦人科や泌尿器科が診療する病気のイメージですが、
実はリウマチ膠原病科医が診断、治療を行うことも多い疾患です。
クラミジア感染症と反応性関節炎
反応性関節炎(Reactive arthritis :ReA)は、クラミジアトラコマティス感染や細菌性下痢感染後に発症する関節炎です。
反応性関節炎の症状はの特徴は急性非対称性の“単” または “少”関節炎です。
つまり、1箇所から4箇所くらいの関節が急に腫れてきます。
痛くなる場所は下肢の荷重関節(特に膝)に多いです。
仙腸関節炎は約20%で、腱付着部炎は約20~90%に起こるとされます。
非淋菌性尿道炎、子宮頸管炎の症状として、排尿困難(尿のだしづらさ)、排尿時痛(おしっこをする時に痛い)、粘性膿性分泌物(おりものや陰部から膿のようなものがでる)
小児は成人に比べて発熱、胸膜炎、脾腫、リンパ節腫長などの全身症状が強いとされています。
関節炎や尿道炎以外の症状として
-結膜炎 35% (ブドウ膜炎<5%)
-口腔内潰瘍
-皮疹(膿漏性角化症 )
-爪の変化(乾癬様)
-性器病変
を伴うことがあります。
年間罹患患者数は増加してきています。反応性関節炎はクラミジア感染の5%に認めるとされており、数でいうと関節リウマチ患者数に匹敵するほどの数とも言われます。
性器クラミジア感染症の年齢別発生率
反応性関節炎を起こしやすい感染症
反応性関節炎に関連する微生物は、先進国と後進国で出現頻度が異なります。
先進国では
- 尿道炎起炎菌
–クラミジア・トラコマティス Chlamydia trachomatis
–マイコプラズマ種
- 上気道炎起炎菌
–クラミジア・ニューモニエ Chlamydia pneumoniae - その他 (Reported)
–Mycobacterium bovis BCG
–大腸菌
発展途上国では
- 腸内細菌
–サルモネラ Salmonella
–赤痢菌 Shigella flexneri
–エルシニア Yersini
–キャンピロバクタ Campylobacter
–クロストリジウム・ディフィシル Clostridium difficile
感染から関節炎発症までの期間は、感染から1-4週間後に多いとされます。(感染後4週以上経過しての発症は稀)
そのため、感染症は関係ないと思っている患者様も多いため、問診や検査で確認する必要があります。
女性では尿道・頸管炎起こしていても無症状(症状がない)場合も多いです。
反応性関節炎の検査
反応性関節炎の検査では、炎症反応上昇(CRP>10mg/dlのこともあります)
クラミジアトラコマティスPCR(尿、頸管)検査も行います。
nucleic acid amplification tests (NAAT) are recommended test by Centers for Disease Control and Prevention (CDC)。
HLAB27は日本では陽性率が高くないですが、重症例では陽性率が高いと言われています。
クラミジアトラコマティスの検査
女性では経膣ぬぐい液がfirst choiceとされており、尿検査の場合は膣や子宮頸部の検査より10%感度が落ちるとされています。男性の場合は、swabと初尿は同じくらいの検出力とされています。
尿検査が保険収載されているため、クラミジアの検査を行い調べることができます。
反応性関節炎の症状の推移
感染の治療後、80-90%は自然軽快し、通常4-5か月で改善することが多いです。
時々、軽度の関節痛が1年続く方や10-30%で慢性化する場合がありますが、骨びらんは通常ないとされています。
長期的な関節炎が残る場合もあるため、予防や初期治療が大切です。
初期感染の治療
- クラミジアトラコマティスの場合、パートナーも忘れずに治療をしましょう。
–AZM 1g x single dose
–Doxy 100mg bid x7days
–Levofloxacin 500mg qd x7days
これらの薬剤を使用します。