乾癬性関節炎(乾癬に関連する関節炎)について

 

乾癬の患者様のうち、6~39%の確率で乾癬性関節炎が出てくるとされています。
(報告により異なりますが、昔考えられていたよりは、関節炎を持っている方は多いと考えられています)

 

実際に、関節リウマチが心配で当院に受診された患者様でも、

・乾癬の治療を受けている
・乾癬と診断されたことがある

という患者様が、多くいらっしゃいます。

このページでは、乾癬性関節炎について解説します。

 

  • 関節リウマチと乾癬関節炎(PsA)は異なる疾患であり、乾癬性関節炎は乾癬に関節症状が合併した疾患です。
  • 乾癬関節炎は脊椎関節炎の一亜型として分類されており、脊椎関節や末梢関節を侵す炎症性関節炎です。
  • 関節リウマチは関節内の滑膜炎を主体とする一方、乾癬関節炎は付着部炎が特徴的であり、腱や靭帯が骨に付着する部位に炎症が生じます。
  • 乾癬関節炎には脊椎炎や仙腸関節病変、炎症性腸疾患やぶどう膜炎の合併が見られることがありますが、これらは関節リウマチではほとんど見られない特徴です。
  • 関節リウマチと乾癬関節炎の病態の違いを理解することは、正しい診断と適切な治療を行う上で重要です。
  • 関節リウマチと乾癬関節炎はそれぞれ異なる治療法があり、早期に正確な診断を行い、適切な治療を開始することで、患者さんの症状の改善や関節の損傷を抑制することができます。
  • 関節リウマチや乾癬関節炎の合併症の予防や管理も、早期発見が重要です。
目次

乾癬性関節炎の初期症状や特徴

・関節が痛い
・関節が腫れている
・指がソーセージのように腫れて膨らむ(指炎)

 

–典型的には皮膚の乾癬は関節炎に先行して起こるが、関節炎から症状が始まる場合もある               

85%の患者様は、乾癬が先に診断されます。

しかし、 5-10%の患者さんは関節炎と乾癬が同時に起こり、5-10%の患者さんでは関節炎が先に出現し、後から乾癬の皮膚症状が出現するとされています。

 

皮膚の乾癬と関節炎の重症度は比例しないものの、乾癬が重症なほど関節炎は発症しやすいとされています。

 

また、遺伝的な因子も関係ある疾患のため(一卵性双生児一致率72%)、家族の方が乾癬を持っているかどうかも診断に有用な情報となります。

 

乾癬には「ケブネル現象」と呼ばれる、こすれた場所が刺激され症状が出やすくなる特徴があります。同じように、関節の近くで、こすれる腱の部分に炎症が出始めます。

乾癬性関節炎を分かりやすく考えると、関節近くの筋肉ー腱ー骨の流れで、腱が骨にくっつくところに炎症が出始め、関節炎となっていきます。

 

症状は、関節リウマチと似ています。(正確にはそれぞれ特徴の差があるため区別出来ます)

 

乾癬性関節炎と変形

関節リウマチの治療目標が

①痛みと腫れを取る
②変形を抑制する

であるのと同様に、乾癬性関節炎も、痛みと腫れを取ることと同時に、変形を抑える目標があります。

 

 

 

乾癬性関節炎の診断

いくつかの分類基準があるため、紹介します。

CASPAR分類基準

関節炎(軸関節、付着部炎含む)を有する患者で
以下1項目1点(現症の乾癬は2点)とし、3点以上をPsAと診断します。

1.乾癬の現症、既往または家族歴(2親等まで)
2.爪病変
3.血清リウマトイド因子陰性
4.指趾炎
5.単純写真上の骨病変

 

特に爪病変は見落とされやすいため大切です。

https://www.aad.org/public/diseases/psoriasis/treatment/genitals/nails

 

https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/22841-nail-psoriasisより

Pitting(点状陥凹)
横溝
爪甲剥離

 

などがみられます。

 

 

乾癬性関節炎の治療

現在は上記のように、多種の薬剤がガイドラインに上げられ、日本でも保険収載された薬剤が多くあるため

それらを患者さんと共有し治療方針を考えていきます。

 

 

 

 

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