関節リウマチと骨粗鬆症と骨密度測定

骨粗鬆症とは、骨強度が低くなり(つまり骨の強さが弱くなり)、骨折の危険性が増大する骨の病気です。

・手首の骨
・太ももの付け根の骨
・背中の骨

など、大切な部分の骨が骨折しやすいとされます。



HAQという「日常生活動作の過ごしやすさ」の点でいうと、関節リウマチのHAQが0.2-0.3下がるという報告もあり、とても大切です。

骨粗鬆症は何人くらいの患者さんがいるの?

骨粗鬆症の患者さんは、とても多いです。70歳以降の女性では、3人に1人が骨粗鬆症があると言われています。

関節リウマチの患者さんでは、何歳で調べてみるとよいか

上記は、関節リウマチや持病や、お薬をベースに考えられた、国際的な基準の一つです。
骨密度低下と関連ある疾患罹患の場合、女性も男性も全年齢で調べるとされています。

関節リウマチは、骨密度が低下しやすい疾患であり、年齢性別問わず調べてみることが望まれます。

当院での骨密度測定と、手のレントゲン測定の同時測定

骨密度測定には多数の方法があります。
当院では、「手の骨密度」と「両手レントゲン撮影」を同時に撮影できるよう、DIP法で評価を行います。

アルミ板をおいて濃度測定します。DIP法は被ばく線量は少なく測定が容易なためスクリーニングに適しているとされています。

手のレントゲン検査では、何をみているの?

関節リウマチでの骨びらんや関節裂隙の狭小化を測定するスコアがあり、それを定期的にフォローします。

経過の比較もできるため、定期的に撮影します。

骨密度検査は、何ヶ月に1回くらいするとよい?

骨粗鬆症の検査は、

・もともとの骨密度
・低下しやすい要素(持病や薬)

などで、検査感覚が異なります。

医療保険での算定は4ヶ月に1回可能ですが、関節リウマチだけだと1年~2年毎、もともとの骨密度が低ければもう少し間隔を短く測定していくとよいと考えます。

関節リウマチがある場合、定期的に(1-2年おき)に骨密度を測定しましょう。

手の骨密度と、手の変形スコアの相関について

手の変形スコアと、手の骨密度が関連があるとする論文です。こちらの研究は測定方法がDEXA法ですが、

手のレントゲンでの関節リウマチ進行スコアと、骨密度低下が関連している傾向がみれます。

関節リウマチと骨粗鬆症治療

骨そしょう症には、

・予防
・治療

の考え方があります。新薬も出てきているため、骨密度を増やす治療方針などもあります。

関節リウマチと骨粗鬆症の両方に保険が通っている薬剤もあり、その場合は両方にとって良い治療を行うことができます。

骨粗しょう症の予防

適正体重の維持/やせの防止
禁煙
過度の飲酒の制限
骨粗しょう症検診
転倒予防
運動療法

これらを組み合わせて行っていきます。

運動療法では、

•有酸素荷重運動
•下肢筋力訓練(特に大腿四頭筋:週2−3回)
•バランス訓練(片足立ち1分×3セット/日)
•ウォーキング(30分/日または8000歩/日を週2−3日)
•背筋筋力訓練

これらが骨密度上昇・背筋強化・転倒予防ができるとされています。

•カルシウム薬(アスパラカルシウム、乳酸カルシウム)
•女性ホルモン薬(エストラジオール:ジュリナ®)
•活性型ビタミンD薬(アルファロール®、ロカルトロール®、エディロール®)
•ビタミンK2薬(ケイツーカプセル®、グラケー®)
•ビスホスホネート薬(ボナロン®、アクトネル®、ベネット®、フォサマック®)
•SERM(ビビアント®、エビスタ®)
•カルシトニン薬(エルシトニン®)
•テリパラチド(フォルテオ®、テリボン®)
•ロモソズマブ(イベニティ®)
•デノスマブ(プラリア®)

上記の薬剤を、医療保険や患者さん個人個人の必要度に応じ、使い分けていきます。

まとめ 

関節リウマチは、骨粗鬆症の合併に注意するべき疾患です。
骨粗鬆症は、治療薬開発も進んできており、治療方法も選択できます。

手の評価と併せて検査することができるため、関節リウマチの患者様は是非御相談ください。