関節リウマチ通院中の血液検査についてリウマチ専門医が解説します。

血液検査の結果を定期的にもらうけど、数値の意味がよく分からないです

関節リウマチの血液検査はなぜ必要か

関節リウマチの初期診断や病状の進行度を把握するために、血液検査は不可欠です。また、血液検査の項目では、肝臓や腎臓や血球数の検査を行います。これらは副作用の評価や、他の持病が出てきていないかを確認します。

医師 高杉

関節リウマチ治療を安全に実施するために、必要な検査です。

血液検査で分かること

血液検査では、関節リウマチの活動性や全身状態を詳しく評価することができます。

このあたりの検査は、リウマチの診断に必要なんですね。

血液検査の種類と目的

関節リウマチの血液検査は複数の項目を組み合わせて総合的に評価します。

医師 高杉

定期的な血液検査により、病状の変化を早期に発見できます

血液検査の数値を詳しく理解しよう

血液検査の数値を正しく理解することは、関節リウマチの治療において非常に重要です。

炎症マーカーの見方

炎症マーカーは、関節リウマチの活動性を評価する重要な指標です。

血球数(白血球、赤血球、血小板)の基準値と意味

血球数は、貧血や感染症の有無を評価する重要な指標です。

白血球の数値が低い場合は、どう考えたらよいですか?

医師 高杉

抗リウマチ薬の種類によっては、白血球数が少なくなる場合があります。その場合、絶対数とって数値を計算します。(好中球数やリンパ球数)

軽度の低下であれば、薬の減薬や調整で改善することも多いです。

例えばメトトレキサート内服中であれば、メトトレキサートの量や飲み方の調整・フォリアミン(葉酸)の量の調整で改善させられる場合があります。

また、血液の病気の早期発見にも繋がります。

白血球数(WBC)とは

白血球数は免疫系の働きを反映する重要な指標です。

リンパ球数とは

リンパ球は獲得免疫を担う細胞で、18~59%が基準値です。リンパ球の絶対数が 1,000/μL以下の場合、「リンパ球減少」と考えます。使用する薬剤によっては、ST合剤(バクトラミン)などを併用する場合があります。

好中球数とは

好中球は急性炎症時に増加し、40~74%が基準値です。好中球絶対数を計算し(白血球数✕好中球割合)が1,000~1,500/μLを軽度、500~1,000/μLを中等度、<500/μLを重度(高度)の好中球減少といいます。

好酸球数とは

好酸球はアレルギー反応で増加し、0~6%が基準値です。

Hb数とは

ヘモグロビン値は貧血の程度を示し、13.5~17.6g/dLが基準値です。

RBC数とは

赤血球数は酸素運搬能力を示し、427~570×10^4/μLが基準値です。

MCVとは

平均赤血球容積は82.7~101.6fLが基準値です。MCVが80以下の場合、多くは鉄欠乏性貧血といい、鉄分が不足している貧血の場合が多いです。関節リウマチ患者様は女性が多く、女性の場合鉄欠乏を併発している方が多いので、鉄分の補充を検討します。MCVが100を超えている場合は、メトトレキサートと葉酸の量のバランス調整を検討します。絶対的な基準はないのですが、経過をみて105を超えてくるようだと、メトトレキサートと葉酸の量のバランスを開始することが多いです。

肝機能の指標(肝酵素)

肝機能の検査値は薬剤の副作用を監視するために重要です。

定期的な肝機能検査により、薬剤の副作用を早期に発見できます。

脂肪肝やアルコール性肝障害などの合併も多いです。

肝障害がある場合は、運動、摂取、体重コントロール、薬剤の見直しなどを実施し、数値を改善させていく必要があります。

腎機能の指標

腎機能は薬剤の投与量調整に重要です。

NSAIDsや一部の薬剤や膠原病も腎障害を起こすこともあるため、数値の変化があれば原因を考えます。

自己抗体と特殊検査

自己抗体検査は診断と予後予測に重要です。

リウマチ因子は、最近では治療抵抗性リウマチの指標の一つとして使われることも増えてきました。
リウマチ因子が特に高力価の場合:
・従来型DMARDsへの反応が不良になりやすい
・生物学的製剤の効果も減弱する可能性
・結果として治療抵抗性リウマチの状態に移行するリスクが上昇すると言われています。

そのため、診断のときだけではなく、治療経過中に測定することも多いです。

MMP-3は伝統的に日本では測定することが多い、関節リウマチ治療のマーカーの一つで、
上昇する場合
・活動性関節リウマチの急性期
・関節破壊の進行時
・疾患の再燃時
・治療効果不十分時
などに上昇することが多く、適切な治療介入後や改善後や寛解期は低下していることが多く、参考になります。

基準値と異常値の読み方

関節リウマチの経過や治療効果を正確に評価するためには、血液検査の数値の読み方を理解する必要があります。

年齢別の正常範囲

血液検査の基準値は、年齢によって異なる値を示すことがあります。

医師 高杉

年齢とともに基準値が少しずつ変化することを知っておくと、検査結果の解釈がより正確になると考えています

検査値の変動要因

血液検査の値は、様々な要因で変動することがあります。

検査前の生活習慣で数値が変わるなんて知りませんでした

経過観察のポイント

治療効果を評価する際は、複数の検査項目を組み合わせて判断します。

緊急性の判断基準

一部の検査値は、緊急対応が必要な状態を示すことがあります。

医師 高杉

緊急性の判断には、複数の検査値と症状を総合的に評価することが重要です。