ヒュミラ®とはどんな薬?
ヒュミラ®は、関節リウマチの治療に用いられる注射のお薬です。
生物学的製剤とも言われ、関節リウマチの「痛み」や「腫れ」を取ることに加え、関節の変形を抑える効果も高い薬剤です。
「注射製剤」というと、針が付いた注射のような見た目を想像される方もいらっしゃいますが、実際の見た目は下の絵のような見た目で、「握ってボタンを押す」という操作で、注射をすることができます。
ヒュミラ®はなぜ効くの?
上記は、関節リウマチの炎症の原因を模式化したものです。TNF inhibitorsというなかに、ヒュミラ(Adalimumab)があります。
関節リウマチの炎症の流れを止めて、治療するイメージになります。
ヒュミラの効能や効果は?
様々な研究で、メトトレキサート単独で治療するよりも、ヒュミラ(アダリムマブ)とメトトレキサートを併用したほうが寛解率や関節炎症状の改善をするというデータがあります。
また、関節破壊(関節の変形)を抑える効果も、ヒュミラとメトトレキサートの併用が高い効果を示しています。
ヒュミラはどんな患者さんに向いている?
関節リウマチの注射製剤は、沢山の種類があります。
それぞれの注射に特徴があります。注射ごとの利点による使い分けがされています。
ヒュミラの特徴は、抗体の形(Yの形)をとっていることです。
TNF-α阻害薬は5種類ありますが、大きく使い分けると3つに分類します。
Yの形(ヒュミラ・レミケード・シンポニー)
Vの形(エンブレル)
/の形(シムジア)
ざっくりとした表現になりますが、Yの形の薬は、バイオフリー(将来生物学的製剤の注射を卒業する)を目指して治療を行う場合に選ばれることが多いです。
TNF阻害薬の効果を発揮する機序は2つあり、エタネルセプト(エンブレル)やセルトリズマブペゴル(シムジア)は、補体を介したCDCの作用機序がないことが、バイオフリーの達成率に関わっているのではないか、と考えられています。
生物学的製剤の選択:バイオフリー(将来生物学的製剤の注射を卒業する)
バイオフリー(将来生物学的製剤の注射を卒業する)を目指す場合、中止の研究結果があるかどうかが大切です。
中止のstudyがある
- インフリキシマブ
- アダリムマブ
- セルトリズマブ
- アバタセプト
- トシリズマブ
減量のstudyがある
- エタネルセプト
- アバタセプト
- セルトリズマブ
- ケブザラ
- トシリズマブ
アダリムマブ(ヒュミラ)やインフリキシマブ(レミケード)などのモノクローナル抗体のTNF阻害薬は、バイオフリー(将来生物学的製剤の注射を卒業する)報告が他の薬剤よりもあることがメリットです。
ただし、メトトレキサートと併用することで効果が発揮しやすい薬剤なので、メトトレキサートが併用できている方が望ましいです。
ヒュミラを上手に使うー二次無効を減らすー
ヒュミラを使う際には、二次無効(はじめは効果があったが、次第に効果が薄れてしまう)を防ぐことが重要です。
上の表は、緑が病勢、赤が2次無効の出現しやすさです。aのように、病勢をしっかり抑えきれると、二次無効が出現しにくいですが、病勢が良くなった時に自己中断して病勢がぶり返すようなときに、二次無効が起こりやすいとされています。
バイオフリーを目指すときには、中止のための治療戦略があります。
その戦略に沿って、中止を試みてみる必要があります。