ケブザラ®とはどんな薬？
ケブザラ®は、関節リウマチの治療に用いられる注射のお薬です。
生物学的製剤とも言われ、関節リウマチの「痛み」や「腫れ」を取ることに加え、関節の変形を抑える効果も高い薬剤です。
「注射製剤」というと、針が付いた注射のような見た目を想像される方もいらっしゃいますが、実際の見た目は下の絵のような見た目で、「握って皮膚に押しつける」という操作で、注射をすることができます。
注射製剤の中では、ボタンを押す操作があるものとないものがあります。ボタンがない方が操作しやすい方が多く、そのためケブザラは握りやすく注射しやすい製剤と言えます。
ケブザラ®はなぜ効くの？
上記は、関節リウマチの炎症の原因を模式化したものです。IL-6というなかに、ケブザラ（Sarilumab)があります。
関節リウマチの炎症の流れを止めて、治療するイメージになります。
インターロイキンー６（IL-6)の働き
IL-6は様々な組織に作用します。関節の炎症や関節破壊に関わる細胞（T細胞やB細胞や破骨細胞）の活性化を起こします。肝細胞では、C反応性蛋白（採血で実施するCRP）の合成に関与します。ケブザラ（サリルマブ）アクテムラ（トシリズマブ）でIL-6の働きを抑制すると、関節炎の改善、関節破壊の抑制効果、CRPの低下がおこります。
ケブザラ ® の効能や効果は？
様々な研究が出ていますが、メトトレキサート単独で使用した場合と比較して、ケブザラ+メトトレキサートの組み合わせたほうが関節症状の改善結果が出ています。
また、関節破壊（関節の変形）を抑える効果も、高い効果を示しています。
ケブザラはどんな患者さんに向いている？
関節リウマチの注射製剤は、沢山の種類があります。
それぞれの注射に特徴があります。注射ごとの利点による使い分けがされています。
ケブザラの特徴は、メトトレキサートと併用する場合、併用しない場合、どちらでも効果が高いことです。
TNFα阻害薬関連は、基本的にはメトトレキサート併用が望ましいですが、ケブザラやアクテムラの場合は、メトトレキサートを使えない場合で、良い選択肢となります。上記はヒュミラであるアダリムマブとケブザラの比較です。
メトトレキサートを使用できない場合は、TNFα阻害薬よりもIL-6阻害薬の方が効果があるという報告が多いです。メトトレキサートが使用できない患者においては、ケブザラやアクテムラの方が軍配があがるかと考えています。
生物学的製剤の選択：バイオフリー（将来生物学的製剤の注射を卒業する）
バイオフリー（将来生物学的製剤の注射を卒業する）を目指す場合、中止の研究結果があるかどうかが大切です。
サリルマブは、まだ販売後の期間が長くないため、これからエビデンスを蓄積していく必要があります。
作用機序としてはトシリズマブと似た機序です。
中止のstudyがある
- インフリキシマブ
- アダリムマブ
- セルトリズマブ
- アバタセプト
- トシリズマブ
減量のstudyがある
- エタネルセプト
- アバタセプト
- セルトリズマブ
- サリルマブ
- トシリズマブ
ケブザラ（サリルマブ）は完全ヒト化といって、薬に対する抗体ができにくいことから、治療中に効果が落ちること（二次無効）が少ない可能性があると言われています。
ケブザラ 薬価
ケブザラは上記のような値段です。
全体的には,関節リウマチにおけるケブザラを選ぶ場面としては
・メトトレキサートが使用できない場合
・TNF-α阻害薬で効果が乏しかった場合の変更先
・CRPが高い病勢の時
などに選ばれることが多い生物学的製剤です。