リウマチ血液検査ガイド|数値の読み方と診断のポイント

関節リウマチ(RA)の確定診断に欠かせない血液検査を専門医が解説します。
RF(リウマチ因子)・抗CCP抗体・CRP の基準値、感度・特異度、検査でわかること/わからないことをまとめました。

リウマチの血液検査で分かること、分からないこと。リウマチの血液検査について解説します。


早期発見のセルフチェックも掲載しています。

こんな疑問を解決!

  • RF が低陽性だけど要注意?
  • 抗CCP 陽性率はどれくらい?
  • 血液は正常でも RA の可能性がある?

リウマチの血液検査でわかること・わからないこと

  • わかること
  • 自己抗体(RF・抗CCP)→ 免疫異常の有無
  • 炎症マーカー(CRP・ESR)→ 活動性の目安
  • わからないこと
  • 関節破壊の進行度 → 画像診断が必要
  • 痛みの原因が 関節リウマチ以外の場合 → 鑑別が必須

リウマチ血液検査の基準値と診断精度

検査項目基準値感度特異度
RF< 15 IU/mL68 %82 %
抗CCP 抗体< 5 U/mL76 %96 %
CRP< 0.3 mg/dL活動性指標活動性指標

出典:Aletaha et al. 2010, NORD-STAR 2023


RF(リウマチ因子) と抗CCP の組み合わせでみるリスク層別化|リウマチ診断血液検査

RF抗CCPリスク推奨対応
陰性陰性炎症がなければリウマチは否定的
低陽性陰性関節超音波で滑膜炎確認が望ましい
陰性高陽性中–高早期専門医紹介
高陽性高陽性非常に高 即日受診推奨
RF(リウマチ因子)抗CCPリスク評価推奨対応
陰性陰性関節超音波やMRIで滑膜炎がなく、CRP陰性であれば関節リウマチは否定的
低陽性陰性関節超音波検査で滑膜炎確認

リウマチ因子が偽陽性である可能性
陰性高陽性中~高抗CCP抗体陽性は関節リウマチやPreclinical RAの可能性あり専門医受診を
痛みがあればすぐに専門医受診
高陽性高陽性非常に高即日リウマチ専門医へ

4. “セロネガティブ RA” に注意|血液検査陰性でもリウマチの可能性はあります

RF・抗CCP が両方陰性でも 15 % は RA が潜むと報告されています。

  • 画像検査(超音波、MRI)でびらんや滑膜血流を確認
  • 早期の CSA(Clinically Suspect Arthralgia)スコア が有用
  • CRP上昇は特に注意

RF・抗CCP が両方陰性でも 約15 % は RA が潜んでいます。
✔︎ こんな症例に注意

  • 40代男性、RF/CCP陰性・CRP 0.2 でも手関節腫脹、関節腫脹熱感あり、関節超音波で診断
  • 高齢女性、変形性関節症として経過観察 → 検査で骨びらん発見

血液検査前の準備と注意点

  1. ビオチン系サプリは 48 時間前に中止
  2. 感冒薬・NSAIDs は検査値へ影響なし
  3. 食事制限は不要だが 食後 2 時間以上 が望ましい

セルフチェック|こんな症状+検査値ならリウマチ外来を要受診

✅ 朝のこわばり 30 分以上
✅ 手指または足趾の複数関節が腫れる
✅ RF 陽性 or 抗CCP 陽性

3 項目中 2 つ以上 当てはまる → 早期受診を推奨します。

関節リウマチ外来での定期的なフォローアップ血液検査

フォローアップでは、炎症の改善具合をフォローすることや、薬剤の副作用チェックなどをします。

治療経過例

指標初診4 週12 週
CRP (mg/dL)1.80.60.2
ESR (mm/h)452512
DAS28-CRP4.83.22.1
寛解判定部分寛解達成

ガラクトース欠損IgG抗体というリウマチの血液検査

– 日本で2023年から保険適用
感度 85 %/特異度 90 %(RF・CCP陰性例にも有用)
– 数値≧1.0 U/mLで進行リスク↑

鑑別疾患を除外すための血液検査や検査

抗核抗体・抗dsDNA → SLE
UA → 痛風
ALP・γGTP → 血管炎やウイルス感染後の関節炎の評価

生物学的製剤前の感染症スクリーニング


関節リウマチ血液検査でのよくある質問(FAQ)

RF が高い=重症という意味ですか?

RF 値と病勢は必ずしも比例しません。CRPやSDAIや DAS28 などの疾患活動性を合わせて評価します。最近では、治療抵抗性のリウマチの予測因子としてリウマチ因子が有用という報告もあります。

抗CCP が陰性なら RA ではないですか?

陰性例(セロネガティブ)でも 関節リウマチの場合があります。特に初期には抗体陰性の場合も多く、痛みがあれば画像検査が重要です。

採血の結果待ちはどれくらい?

通常は1週間前後です。疼痛が強い場合は、治療の結果を待たずに疼痛治療を開始する場合があります。

子どもや妊婦でも検査できますか?

採血量が少なく問題なく実施できます。

自己判断で処方薬を止めて検査すべき?

中断せず服用を継続した状態で測定し、医師が総合的に判断します。

参考文献

  1. Aletaha D, et al. 2010 ACR/EULAR Classification Criteria for RA. Ann Rheum Dis 2010;69:1580–1588.
  2. van Steenbergen HW, et al. Clinically Suspect Arthralgia Scoring. Ann Rheum Dis 2024 Suppl1.
  3. Smolen JS, et al. EULAR 2023 Guideline. Ann Rheum Dis 2023;82:3–16.

ご予約・ご相談

「検査値が気になる」「もう一度詳しく調べたい」 という方は、
下記より 24 時間オンライン予約をご利用ください。

予約フォームへ
診断フロー総覧に戻る

コメント

コメントする