抗 CCP 抗体の診断精度の解説します【最新版】

抗 CCP 抗体はリウマチ診断の切り札と言われますが、実際の感度・特異度はどの程度か?
直近のメタ解析をもとに RF との併用、偽陽性/偽陰性を防ぐポイントをまとめました。

目次

抗 CCP 抗体とは

  • シトルリン化ペプチドに対する自己抗体
  • 2003 年に ELISAキット (CCP2) が登場 → 2010 ACR/EULAR分類基準に採用

感度・特異度:CCP2 vs CCP3/3.1[1][2]

キット感度(%)特異度(%)
CCP265–7594–98
CCP370–8090–95
CCP3.172–8391–95

CCP3.1 は IgA 抗体も検出するため感度が+7–10 %向上し early RA で有利。ただし特異度はわずかに低下。

RF と組み合わせた場合の診断戦略[3]

  • CCP+/RF+ → 陽性尤度比 ≈ 13.8 で“ほぼ確定”
  • CCP+/RF− → 特異度維持しつつ感度上昇
  • CCP−/RF+ → 偽陽性の可能性(感染・肝疾患)に注意

CCP3.1 (IgG+IgA)を測定できる場所と依頼方法

検査形態具体例ポイント
院内検査(大学病院など)・大学病院・基幹病院の臨床検査部
 (Bio-Flash® chemiluminescence analyzer を導入)
◻︎ キットは クアンタフラッシュ CCP3.1(INOVA/Werfen Japan)で国内承認済み。病院が装置を保有していればその場で 30 分程度で測定可能。Werfen
外部委託(商業ラボ)1) 保健科学研究所(HKK)
2) 一部の BML 地域センター
3) 大学ラボ経由の共同利用
◻︎ 大手の SRL・LSIメディエンス・BML 本社 は現状 CCP2 。今後が期待される
研究・先端医療施設・国立成育医療研究センター 免疫検査室
・東京医科歯科大 医歯総合研究棟ラボ 等
◻︎ 臨床研究目的で CCP3.1 を用いているケース。検体紹介には倫理審査または共同研究契約が必要。

保険収載の現状(3.1 世代(Quanta Lite CCP-3.1 IgG/IgA : Inova))

  • 保険点数表では「抗CCP抗体定量」は 区分 144 点、試薬世代の指定がないため CCP3.1 でも算定可だが、まだ。
  • ただしまだ診療レベルでの取り扱いではなく研究レベルのことが多く、大半の医療機関は第2世代(CCP2)で請求しているのが実情。今後が期待される

当院でも、コマーシャルベースで検査が可能な状況になり次第採用予定です。

抗CCP抗体の偽陽性・偽陰性を減らす検体取扱い[4]

要因影響対策
室温での長時間放置CCP 価が低下採血後 2 h 以内に冷蔵
溶血偽陰性遠心分離を徹底
高リウマトイド因子偽陽性RF 吸収処理 or CCP2 併用

CCP 陽性だけど症状がない場合は?

5 年以内発症リスクが OR ≈ 10 なので、半年ごとに関節エコーと血液検査を推奨します。

CCP 陰性でもリウマチの可能性がありますか?

早期RAやIgA優位型では偽陰性があります。臨床症状とエコー所見を併用し診断します。

検査はどこで受けられますか?

当院を含め多くの医療機関で抗CCP抗体を保険適用(D013、144点)で実施可能です。

参考文献

  1. Nishimura K, et al. Meta-analysis of diagnostic accuracy of anti-CCP. Ann Rheum Dis. 2007.:contentReference[oaicite:0]{index=0}
  2. Zeng F, et al. Diagnostic value of CCP3.1 vs CCP2. J Int Med Res. 2021.:contentReference
  3. Combined CCP & RF test meta-analysis. Clin Exp Rheumatol. 2014.:contentReference
  4. Review: Handling errors impacting CCP accuracy. Autoimmun Rev. 2023.
  5. New MCSM multiplex assay outperforms CCP. Clin Chim Acta. 2025.:contentReference
  • URLをコピーしました!
目次