関節リウマチ診断におけるガラクトース欠損IgG抗体の意義
関節リウマチ診断の精度を高める新しい検査方法として、ガラクトース欠損IgG抗体の測定という方法があります。
ガラクトース欠損IgG抗体は、関節リウマチの早期診断や病態の把握に役立つバイオマーカーと考えています。
保険診療の中でリウマチ因子や抗CCP抗体と同日測定はできないのですが、補助的な検査として有用とされています。

リウマチの検査をしっかり理解したいです

バイオマーカーの意義を知ることで、より正確な診断に貢献できると考えています
リウマチ診断で注目される自己抗体
関節リウマチの診断には、複数の自己抗体検査を組み合わせて行うことが重要です。
自己抗体 | 特徴 | 診断的価値 |
---|---|---|
リウマチ因子 | 最も古典的な検査 | ◯ |
抗CCP抗体 | 特異度が高い | ◎ |
ガラクトース欠損IgG抗体 | 早期診断に有用 | ◯ |
これらの自己抗体の中でも、ガラクトース欠損IgG抗体は他の2つよりも早期関節リウマチでの陽性頻度(感度)が高いとされています。
従来の検査で陰性の場合の検査について
従来の検査で陰性であっても、ガラクトース欠損IgG抗体検査は関節リウマチの診断に役立つと考えています。
研究でも、リウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性でも、ガラクトース欠損IgG抗体が高値を示す関節リウマチ患者が存在することが明らかになっています。

関節の痛みが気になるのに、リウマトイド因子が陰性で診断がつかなくて不安です
検査項目 | 早期関節リウマチ診断への有用性 | 特徴 |
---|---|---|
リウマトイド因子 | ◯ | 感度・特異度が中程度 |
抗CCP抗体 | ◎ | 特異度が高い |
ガラクトース欠損IgG抗体 | ◎ | 早期診断に有効 |

これらの検査を組み合わせることで、より確実な診断が可能になります。
リウマチ因子と抗CCP抗体陰性でもリウマチの可能性はある
リウマチ因子と抗CCP抗体が陰性であっても、約20~40%の患者さんには血清反応陰性の関節リウマチが発症すると考えています。
関節の腫れやこわばりといった臨床症状がある場合、血液検査の結果が陰性でも関節リウマチの可能性を慎重に検討する必要があります。
症状 | 特徴 |
---|---|
関節の腫れ | 朝に悪化 |
関節のこわばり | 30分以上持続 |
関節の痛み | 左右対称 |
こういった症状があれば、ガラクトース欠損IgG抗体や、関節超音波検査などにより、より正確な診断が可能になります。

ガラクトース欠損IgG抗体とは
ガラクトース欠損IgG抗体は、IgG抗体の糖鎖構造に異常が生じた特殊な抗体です。
通常のIgG抗体にはガラクトースという糖が結合していますが、この抗体ではその糖が欠損しているのが特徴です。
関節リウマチ患者におけるIgG抗体の異常
関節リウマチの患者さんでは、血液中のガラクトース欠損IgG抗体が増加します。
他の自己免疫疾患でも陽性となる場合があるため、総合的な判断が重要です。
患者群 | ガラクトース欠損IgG抗体値 | 臨床的意義 |
---|---|---|
健常者 | 基準値内 | 異常なし |
関節リウマチ患者 | 高値 | 診断に有用 |
他の自己免疫疾患 | 様々(上昇することがある) | 鑑別を要する |
ガラクトース欠損IgG抗体検査の流れ
ガラクトース欠損IgG抗体検査は、通常の血液検査と同様に採血によって行います。
採血された検体は電気化学発光免疫測定法という特殊な方法で測定を行います。

採血は痛くないのかしら

検査の痛みは普段の採血と同じなので、ご安心ください
血液検査で測定する自己抗体検査と検査機関
採血から検査結果が出るまでには1週間程度かかるのが一般的です。
検査項目 | 基準値 | 検査期間 |
---|---|---|
リウマチ因子 | 15 IU/mL未満 | 3日以内程度 |
抗CCP抗体 | 4.5 U/mL未満 | 約1週間 |
ガラクトース欠損IgG抗体 | 700 AU/mL未満 | 約1週間 |
リウマチ診断における検査費用とタイミング
ガラクトース欠損IgG抗体検査は保険適用で、自己負担は3割の場合700円程度です。
※ただし、採血料や診察料などは保険で決まったルールにより別途かかるため、何かの検査の時に追加で検査を実施することが多いです。
検査名 | 費用(3割負担) | タイミング |
---|---|---|
ガラクトース欠損IgG抗体 | 約700円 | 初診時・経過観察時 |
リウマチ因子 | 約500円 | 初診時・定期的 |
抗CCP抗体 | 約1,000円 | 初診時・定期的 |
症状が気になる場合は、早めの検査を受けることをお勧めします。
より正確なリウマチ診断のために
より正確な関節リウマチの診断を行うために、患者さんと医療者の双方が協力して取り組むことが重要だと考えています。
リウマチ因子や抗CCP抗体が陰性でも、関節の炎症症状が継続する場合は、追加の検査や専門医の診察が必要になります。

関節の痛みがあるのに、検査では異常が見つからないのが不安です

血清反応陰性の関節リウマチは、診断まで時間がかかる場合も多いです。ただ、早期診断早期治療のためには、専門医へ相談してみることをおすすめします。
リウマチ専門医への相談を推奨する
専門的な知識と経験を持つリウマチ専門医に相談することで、より適切な診断と治療を受けられます。
専門医相談のメリット | 内容 |
---|---|
正確な診断 | 豊富な経験による見極め |
最新の治療 | エビデンスに基づく治療選択 |
継続的な管理 | 定期的な経過観察と調整 |
よくある質問(FAQ)
- 採血でガラクトース欠損IgG抗体を調べるのは痛いですか?
-
通常の血液検査と同じ採血方法で行います。注射1本分程度の痛みで、数秒で終わります。
- ガラクトース欠損IgG抗体検査の費用はいくらですか?
-
健康保険が適用され、3割負担の場合は約700円です。
- 検査結果が出るまでどのくらい時間がかかりますか?
-
採血から結果が出るまで通常1週間程度かかります。電気化学発光免疫測定法という特殊な検査方法を使用するためです。
- リウマチ因子が陰性でもこの検査は有効ですか?
-
はい。リウマチ因子や抗CCP抗体が陰性でも、ガラクトース欠損IgG抗体が陽性を示すことがあります。早期診断に役立つ重要な指標となります。