緊張型頭痛に対する鍼灸治療の効果:エビデンスによる詳細解説

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緊張型頭痛の原因と症状

緊張型頭痛(Tension-Type Headache; TTH)は、世界で最も一般的な一次性頭痛の一つであり、成人の約3割以上が経験するとされています​。頭全体を締め付けるような両側性の痛みで、痛みの強さは軽度から中等度、日常の身体活動で悪化しないことが一つの特徴です​。持続時間は30分から数日間に及ぶことがあり、吐き気や嘔吐といった随伴症状は通常あません。発症要因としては、長時間のデスクワークや精神的ストレスによる筋肉の緊張、姿勢不良、睡眠不足などが考えられます。しかし緊張型頭痛の正確な病因は未解明で、筋膜の圧痛や炎症、疼痛感受性の亢進(中枢性感作)など複数の要因が絡む多因子疾患と考えられています​

慢性化した緊張型頭痛(15日以上/月)は、末梢の筋緊張による痛みだけでなく、中枢神経系で痛みの閾値が下がることによる慢性的な痛覚過敏(例えば一酸化窒素関連の機序や脳内セロトニン低下)が重要な役割を果たすと報告されています​。

緊張型頭痛の一般的な治療法

急性期の対症療法としては、鎮痛薬(例えばアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)が第一選択になります​。これらは多くの場合痛みを緩和しますが、乱用すると薬物乱用頭痛(MOH)の原因になり得るため注意が必要です​

また鎮痛薬は、頻用による胃腸障害(胃潰瘍や出血など)の副作用にも留意します​。慢性的に頭痛が続く患者には、予防療法として抗うつ薬のアミトリプチリンが最も一般的に用いられます​。三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンは鎮痛作用と筋弛緩作用があり、慢性緊張型頭痛の発作頻度を減少させる有効性が複数の臨床試験で示されています。実際、アミトリプチリンは慢性緊張型頭痛の第一選択予防薬とされており​、効果不十分な場合にはノルトリプチリンやミルナシプラン、ガバペンチン、筋弛緩薬などが併用または代替されることもあります​

緊張型頭痛では、薬物治療以外にも、日常生活でのセルフケアやストレス管理が重要です。十分な睡眠や休養、適度な有酸素運動やストレッチ、リラクゼーション法(ヨガやマインドフルネスなど)は頭痛の頻度軽減に有用とされています​

理学療法士による姿勢矯正やマッサージも筋緊張の改善に役立つ場合があります。欧州神経学会のガイドラインでも「緊張型頭痛の管理には薬物以外の治療法を検討すべき」とされており​、こうした非薬物療法の一つとして伝統的な鍼灸治療が注目されています。

鍼灸治療の作用メカニズム

鍼灸は中国に起源を持つ伝統医療ですが、その鎮痛作用の科学的なメカニズムが徐々に解明されつつあります。鍼刺激により身体の自己鎮痛システムが活性化し、中枢神経および末梢神経系に多面的な変化をもたらすことが分かっています​

具体的には鍼を刺入すると、その刺激が脊髄後角や脳内の痛覚制御系に伝達され、エンドルフィンやエンケファリンといった内因性オピオイドの放出が促進されます​。これら内因性の鎮痛物質はオピオイド受容体に作用して痛みの伝達を抑制し、モルヒネ様の鎮痛効果を発揮します。また鍼刺激はセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌にも影響を与え、下行性疼痛抑制系(脳幹から脊髄への痛み抑制経路)を賦活することが報告されています​これにより痛覚の閾値が上昇し、痛みを感じにくくなります。

さらに鍼治療は末梢の筋緊張や血流にも作用します。筋膜のトリガーポイントに鍼を刺入すると、その局所で発痛物質であるサブスタンスPの濃度が減少し、逆にβ-エンドルフィンなど鎮痛物質が増加することが示されています​。この効果により凝り固まった筋肉がほぐれ、筋肉内の血流も改善して、結果的に緊張型頭痛の原因の一つと考えられる筋肉の持続的収縮による痛みが和らぎます。実際、動物実験では鍼刺激によって脳底動脈や椎骨動脈の血流速度が増加し、脳組織への血液・酸素供給が向上することが確認されています​

鍼治療により血中の一酸化窒素(NO)の調節も起こり、頭蓋内血管の拡張・収縮バランスが整うことで鎮痛効果が得られるとの報告があります​。緊張型頭痛では筋血流の鬱滞や局所虚血が痛みを引き起こす一因と考えられるため、こうした血行改善作用は理にかなっています。

さらに近年の研究は、鍼が自律神経系のバランスを調整する作用にも注目しています。慢性的なストレス下では交感神経が優位となり、筋肉の緊張や痛みの増悪に繋がりますが、鍼治療は交感神経の過剰な興奮を抑え、副交感神経を高めることでリラックス効果をもたらします​

例えば鍼治療中や後に心拍変動(HRV)の指標で副交感神経活性が上昇し、コルチゾール(ストレスホルモン)の低下が認められたとの研究があります。これは鍼が視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)をダウンレギュレートし、ストレス反応を緩和することを示唆しています​

このように鍼灸は神経内分泌免疫系にも作用し、脳内の炎症性サイトカインやグリア細胞の活性を抑えることで、中枢性感作(痛み過敏)の進行を抑制する可能性も示されています​

以上のように、鍼灸治療は末梢から中枢まで多面的な作用メカニズムを持ち、緊張型頭痛の疼痛経路に包括的に働きかけると考えられます。

緊張型頭痛に対する鍼灸の臨床エビデンス

ランダム化比較試験(RCT)の結果

緊張型頭痛への鍼灸効果を検証した無作為化比較試験(RCT)は多数報告されていますが、その中でも質の高い研究が近年発表されています。例えば2022年に権威ある医学雑誌「Neurology」に掲載されたRCTでは、慢性緊張型頭痛患者218名を対象に、本物の鍼治療(deqi感覚を得る刺激)とシャム鍼(浅く刺入しdeqiを起こさない対照)を比較しました​

8週間で計20回の鍼治療を行い、その後も観察期間を設けています。その結果、治療終了後16週時点で頭痛日数が50%以上減少した「レスポンダー」の割合が、本物鍼群で68.2%に達し、シャム鍼群の48.1%を大きく上回りました(オッズ比2.65, p<0.001)​

この効果は治療終了から約6か月後(32週時点)でも持続しており、真鍼群68.2%に対しシャム群50.0%で、有意な差が認められました​

また月間頭痛日数の減少幅も、真鍼群は平均13.1日減少したのに対し、シャム群は8.8日減少にとどまり、約4日分の有意な差がありました​。鍼治療群では軽度の副作用( 一過性の疼痛や内出血など)が報告されましたが、その発生はごく稀で重篤な有害事象はありませんでした。​

この研究は米国神経学会のエビデンス分類で「Class Iエビデンス」(最も信頼性が高い臨床試験データ)に該当し、「鍼治療は慢性緊張型頭痛の発作頻度を有意に減少させる」という掲載の根拠の一つとなった論文です。

他のRCTでも概ね類似した傾向が見られます。ドイツや中国で行われた複数の研究では、鍼治療群の約50%前後で頭痛頻度が半減し、これはシャム鍼群や通常ケア群と比較して有意に高い改善率でした​

例えば過去の大規模試験では、3か月後に頭痛頻度が半減した患者の割合が、通常ケアのみでは19%だったのに対し、鍼治療を併用した群では48%に達したとの報告があります​

また別の試験では、急性期の薬物治療のみを行った対照群で4%しか改善が見られなかったのに対し、鍼治療群では45%が頭痛半減を達成しました​

これらの結果から、適切なコースの鍼治療を受けることで約2〜3人に1人の患者が頭痛の頻度を半分以下に抑えられることが示唆されます。プラセボ対照(シャム鍼)との比較では効果の差はやや小さいものの、それでも鍼治療群の約50%が頭痛半減に到達し、シャム群の約40%前後を有意に上回るとのメタ解析結果があります​

このように、偽の鍼治療によるプラセボ効果を差し引いてもなお、真の鍼治療には追加的な有効性が認められると考えられます。

メタ分析・系統的レビューの結果

個別のRCT結果に加え、複数の試験を統合して全体的な効果を評価したメタ分析やシステマティックレビューも発表されています。2016年のコクランレビューでは、11試験を含む解析により「少なくとも6回以上の鍼治療セッション」を受けることで、頻発性または慢性の緊張型頭痛患者に有益な効果があるとの結論が示されました​

このレビューによれば、治療終了3〜4か月後に頭痛頻度が半減した患者は、通常ケアのみの群で約20%だったのに対し、鍼治療群では約50%と2〜3倍の達成率を示しました​

一方で鍼治療とシャム鍼を直接比較した解析でも、3〜4か月後の頭痛半減率は鍼群52%に対しシャム群43%とやや上回り、統計的にも有意差が確認されています(リスク比約1.3)​

コクランレビューは、エビデンスの質自体は中程度〜低程度としつつも、「鍼治療は慢性および頻発性緊張型頭痛の有用な非薬物療法となり得る」と結論付けています​

さらに近年では、中国や欧米で実施されたRCTを網羅した最新のメタ分析が登場しています。2023年に発表された系統的レビューでは、対象とした30件のRCT(計2,742名)において、鍼治療はシャム鍼よりも治療反応率(頭痛頻度50%減少の割合)を約30%向上させ​、頭痛の頻度も有意に減少させることが示されました​

2024年には様々な鍼治療手法の優劣を比較検討したネットワークメタ分析も報告されています​

この解析では42件のRCT(計4,103名)を網羅し、通常の手技鍼(体鍼)のほか電気鍼、頭皮鍼、吸玉併用、瀉血など多彩なアプローチの効果を比較しています。その結果、頭痛頻度の削減効果が最も高かったのは電気鍼(EA)であり、次いで手技鍼+梅花鍼の併用や手技鍼+西洋薬併用が効果的とされました​。頭痛発作の持続時間短縮にも電気鍼が最良の成績を示しています​。一方、痛みの強度軽減に関しては、手技鍼と西洋薬の併用が単独の鍼治療より優れる結果となりました​。さらに「治療反応あり」(頭痛が明らかに改善)の割合は、電気鍼+吸玉療法の組み合わせが最も高く、通常の薬物療法単独と比べ有意な優越性を示しました(オッズ比28.66)​。これらの結果から、電気刺激を加えた鍼治療や他の補助療法との併用によって効果が増強される可能性が示唆されます。ただし著者らは「最適な治療法の選択は患者個々の状態に応じて判断されるべき」であるとも述べており​、鍼治療の種類や組み合わせは今後さらなる研究が必要です。

鍼灸治療の施術プロトコルと代表的な経穴(ツボ)

緊張型頭痛に対する鍼治療では、頭頸部の筋緊張を緩和し鎮痛作用を発揮する経穴が重視されます。実際に報告された臨床研究や伝統的な処方から、頻繁に用いられる代表的なツボが明らかになっています​

中でも風池(ふうち, GB20)は後頭部の筋緊張をほぐす要穴で、頭痛治療に重要なツボとされています。百会(ひゃくえ, GV20)は頭頂部の経穴で、自律神経を調整し全般的な頭痛改善に寄与します。太陽(たいよう, EX-HN5)はこめかみ付近の圧痛点で、側頭部の緊張緩和や眼精疲労を伴う頭痛に効果的です。手の合谷(ごうこく, LI4)は頭面部への全身調整作用がある有名な鎮痛点で、しばしば足の太衝(たいしょう, LR3)と組み合わせて“四関(しかん)”と呼ばれる経穴ペアを形成し、気血の巡りを改善して痛みを和らげます。これら5つの経穴(風池、百会、太陽、合谷、太衝)は、あるデータマイニング研究において緊張型頭痛の治療で最頻用と解析されたツボであり、臨床的にも妥当な組み合わせと考えられています​

この他にも、頸部や肩のこりが強い場合は肩井(けんせい, GB21)天柱(てんちゅう, BL10)が、顎や後頭部の緊張には完骨(かんこつ, GB12)などが追加で用いられることがあります。耳介への鍼(耳鍼)も自律神経調整の目的で併用されるケースがあります。

施術プロトコルとしては、一般的に週1〜2回の頻度で数週間から数か月にわたり継続することが推奨されます。欧州のガイドライン(NICE)では5~8週間で最大10回程度のセッションを行うことを推奨しており​

実際の臨床試験では、2~3日に1回のペースで計10~20回程度の鍼治療を行うプロトコルがよく採用されています​

前述のNeurology掲載RCTでは8週間で20回(週2〜3回)の集中的な治療を実施しました​。各セッションでは15~30分間鍼を留置し、適度に刺激(捻鍼や電気刺激)量を調整しています。​

ガイドラインにおける鍼灸治療の位置づけ

緊張型頭痛に対する鍼灸療法の位置づけは、国際的な診療ガイドラインでも徐々に推奨される方向に変化しつつあります。欧州神経学会(EFNS)が2010年に発表したガイドラインでは、頻発性/慢性緊張型頭痛の管理において理学療法や鍼治療を有用な選択肢として検討できるものの、当時は有効性の科学的証拠が十分ではないとされました​

このため欧州での推奨度は限定的で、「薬物療法に反応しない患者に対する補助療法」と位置づけられていました。しかしその後の研究蓄積を受けて、イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)は2012年の頭痛管理ガイドラインで鍼治療を正式に推奨しています​

NICEガイドラインでは、「月15日以上の頭痛発作がある慢性緊張型頭痛患者に対し、5~8週間で最大10回の鍼治療を予防目的で考慮する」よう推奨が掲載されました。エビデンスグレードとしては“consider”(考慮すべき)という比較的緩やかな表現ですが、慢性頭痛患者に対する具体的な介入策として鍼を明記している点で重要です。

一方、米国のガイドラインにおいては鍼治療の扱いは慎重です。米国神経学会(AAN)や米国頭痛学会(AHS)は偏頭痛や群発頭痛に関するガイドラインを公表していますが、緊張型頭痛に関しては明確な指針が少ないため鍼治療も挙げられていません。ただし、アメリカ退役軍人省/国防総省(VA/DoD)が2020年に策定した慢性頭痛管理ガイドラインでは、非薬物療法の一環として鍼治療が検討されており、そのエビデンスは「痛みの軽減効果はシャム鍼と比較して小さいか一貫性に欠ける」と評価されています​

このように米国における位置づけは現時点ではやや控えめですが、上述のようなRCT(Neurology 2022)で有効性が証明されたこともあり、今後のガイドライン改訂で推奨度が引き上げられる可能性があります。世界保健機関(WHO)も鍼治療を推進する動きを見せており、頭痛は鍼が有効たりうる適応症の一つとしてリストアップされています。中国や東アジアのガイドラインでは伝統医学の観点から鍼治療が強く推奨される傾向にありますが、これは文化的背景もあり直接の比較は難しいでしょう。重要なのは、エビデンスの蓄積に伴って欧米の医学界でも鍼治療の有用性が再評価されつつあるという点です。

鍼灸治療による効果の改善度・持続性と安全性

鍼灸治療を受けた緊張型頭痛患者の多くは、頭痛の頻度・強度の明らかな改善を報告しています。その改善度合いは個人差がありますが、平均すると頭痛の日数が数日から1週間以上減少し、痛みの強さも1〜2段階(10段階評価で)軽減するとされています​

月あたりの頭痛日数が鍼治療によって約13日減少し、対照と比較して約4日多く減らせたという結果でした​加えて、50%以上の改善(レスポンダー率)を示す人の割合も鍼治療群で有意に高く、約半数以上が頭痛発作の減少を経験しています​

有効性は短期的な治療直後だけでなく、中長期的にも持続しうることが示唆されています。例えば治療終了から半年後でも、鍼治療群の改善効果がプラセボ群より勝っていたとの報告があり​、、実際に臨床現場でも「鍼をやめた後もしばらく頭痛が起きにくい状態が続いた」という声が聞かれます。もっとも慢性頭痛は再発しやすいため、必要に応じてメンテナンス的に定期施術を行うことも考慮されます。例えば半年~1年ごとに数回の鍼治療を追加で受けることで、良好な状態を維持できるケースもあります。

効果の持続性には個人の生活習慣改善や体質変化も関与するため、リラクゼーション法や、姿勢・枕の見直しなどセルフケアの併用が望ましいでしょう。鍼灸師は患者に再発予防のアドバイスを行い、患者主体の管理を支援します。

安全性(副作用)の面では、鍼治療は全般的に非常に安全性の高い治療法とされています。前述のコクランレビューでも、約千人以上の鍼治療被験者で深刻な有害事象は一件も報告されなかったことが示されています​

術者が行えば、感染症や神経損傷といった重大なリスクも極めて低く抑えられます。実際の研究でも、鍼治療群とシャム鍼群で報告される副作用発生率に有意差はなく、安全性においてプラセボと同程度という結果でした​

以上より、鍼灸治療は緊張型頭痛患者にとって効果が期待できる上に副作用の少ない選択肢と言えます。

おわりに

緊張型頭痛に対する鍼灸治療は、古くからの経験に支えられた療法でしたが、近年その効果が科学的に検証されつつあります。最新の研究では、鍼治療により頭痛の頻度や強度が有意に減少し、その効果が少なくとも数ヶ月持続することが示されました。作用メカニズムも、末梢の筋緊張緩和から中枢の痛覚制御強化まで多岐にわたり、緊張型頭痛の病態に包括的にアプローチでき、薬物療法だけでは十分に症状が抑えられない患者や、薬の副作用に悩む患者にとって、鍼灸は有効かつ安全な代替・補完療法となり得ると考えられます。国際的なガイドラインでも徐々に評価が高まりつつあり、特に慢性の難治性頭痛に対しては鍼治療を積極的に検討する時代となってきました。もちろん、すべての患者に効果があるわけではなく、個人差も存在しますが、十分な回数の施術と適切な経穴選択により、約半数以上の患者で顕著な改善が期待できます。


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