四君子湯の特徴
胃腸虚弱、慢性胃炎、胃もたれ、嘔吐、下痢、夜尿症に使われる漢方薬です。便秘、小児の食あたりに用いられる漢方薬です。少し食べても胃が張り、元気がない人に好んで使用されます。
蒼朮(ソウジュツ)、人参(ニンジン)、茯苓(ブクリョウ)、甘草(カンゾウ)の四つは、いずれも主薬(君薬)なため、四君子湯と名づけられました。
中国・宋時代の「和剤局方(ワザイキョクホウ)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 体力がない人
- 胃腸虚弱
- 疲れやすい
- 食欲不振
- 腹壁は軟らかく無力で水が溜まっている感じがする
気虚とよばれる、「体がだるい」、「疲れやすい」、「食欲がない」、「気力がない」、「どちらかというと顔色が悪い」という状態に使われる代表的な漢方薬です。
漢方の領域では、こういった補う働きのものを補剤と良います。
四君子湯の作用
人参(ニンジン)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、甘草(カンゾウ)は、胃腸の働きを助けて、体力を増進する作用があります。
生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)は他の生薬の作用を増強する作用があります。
臨床では、慢性胃炎、胃下垂に応用されています。
四君子湯の成分
四君子湯は、下記の6種類の生薬からなります。
(エキス製剤や薬局製剤では生姜と大棗を配合する場合があります。)
・蒼朮(ソウジュツ):キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、関節などの水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・人参(ニンジン):ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進し、消化を補う作用があります。
・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科マツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和の他、緊張を緩める働きがあります。
・生姜(ショウキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。薬効は、腹部を温め、発汗させ、嘔気を止める作用があります。
・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科ナツメの果実。薬効は、消化を補い、精神を安定させる作用があります。
四君子湯の副作用
配合生薬の人参により、のぼせ、湿疹、蕁麻疹、皮膚炎の悪化などの症状があらわれる可能性があります。
また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
四君子湯の服用方法
ツムラ四君子湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。