甘麦大棗湯の特徴
主に、女性と小児に使われる漢方薬です。ヒステリーや夜泣き、ひきつけに対し使用されています。泣いたり、笑ったりと気分の変化が激しい場合や、理由なく悲しみ、少しのことで泣き出す場合にも処方されます。精神を安定させ、不安や悲哀感を緩和する作用があります。
甘い味なので、子供にも飲ませやすい漢方薬です。
中国・漢時代の「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 比較的体力がない
- 理由なく悲しくなる
- 気分の変化が激しい
- 両側の腹直筋が張って硬い
- 生あくびをする・生あくびがでる
甘麦大棗湯の作用
小麦(ショウバク)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)は甘味があり、滋養作用があります。また気血を補い、精神状態を安定させる作用があります。
甘麦大棗湯の成分
甘麦大棗湯は、3種類の生薬からなります。
・小麦(ショウバク):イネ科コムギの種子。薬効は、精神を安定させる作用があります。
・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実。料理にも使われるナツメの実です。薬効は、胃腸の機能を整えたり、精神を安定させたり する作用があります。
・甘草(カンゾウ)マメ科の甘草の根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和の他、緊張を緩める働きがあります。
甘麦大棗湯の副作用
配合生薬に小麦が含まれているので、小麦アレルギーのある人は注意が必要です。
また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
甘麦大棗湯の服用方法
ツムラ甘麦大棗湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5 gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。