甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ):ツムラ72番の効能・効果、副作用

甘麦大棗湯の特徴

主に、女性と小児に使われる漢方薬です。ヒステリーや夜泣き、ひきつけに対し使用されています。泣いたり、笑ったりと気分の変化が激しい場合や、理由なく悲しみ、少しのことで泣き出す場合にも処方されます。精神を安定させ、不安や悲哀感を緩和する作用があります。

甘い味なので、子供にも飲ませやすい漢方薬です。

中国・漢時代の「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。

次のような人に有効です。

  • 比較的体力がない
  • 理由なく悲しくなる
  • 気分の変化が激しい
  • 両側の腹直筋が張って硬い
  • 生あくびをする・生あくびがでる

甘麦大棗湯の作用

小麦(ショウバク)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)は甘味があり、滋養作用があります。また気血を補い、精神状態を安定させる作用があります。

甘麦大棗湯の成分

甘麦大棗湯は、3種類の生薬からなります。

・小麦(ショウバク):イネ科コムギの種子。薬効は、精神を安定させる作用があります。

・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実。料理にも使われるナツメの実です。薬効は、胃腸の機能を整えたり、精神を安定させたり する作用があります。

・甘草(カンゾウ)マメ科の甘草の根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和の他、緊張を緩める働きがあります。

甘麦大棗湯の副作用

配合生薬に小麦が含まれているので、小麦アレルギーのある人は注意が必要です。

また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。

甘麦大棗湯の服用方法

ツムラ甘麦大棗湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5 gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。

基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。

参考文献
・NHKきょうの健康 漢方薬事典(主婦と生活社)
・今日から使える漢方薬のてびき(講談社)
・漢方薬の服薬指導(南山堂)
・治りにくい病気の漢方治療(創元社)
・漢方薬の選び方・使い方(土屋書店)
・漢方相談ガイド(南山堂)
・漢方のエッセンス(日経BP社)

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