茯苓飲の特徴
吐き気、胸焼け、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、尿量の減少をともなう胃炎、胃下垂などに用いられる漢方薬です。心窩部膨満感や不快感に胸焼けや嘔気をともなう場合にも使用されます。また、食欲はあるのに、食べ物がうまく入っていかないような時にも用いられます。
中国・漢時代の「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 体力があまりない
- 胃がチャポチャポする
- 食欲不振(食欲がない)
- 尿があまり出ない
胃がん手術後の吐き気、嘔吐に対して、茯苓飲が残胃側吻合部の粘膜下層の浮腫を軽減し自覚症状をすみやかに改善すると報告もあります。
(参考文献:胃切除術後早期 吻合部狭窄に対する茯苓飲の効果.日消外会誌 28: 966-970,1995)
茯苓飲の作用
人参(ニンジン)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)は胃腸の働きを助ける作用があります。生姜(ショウキョウ)は胃腸を温め、吐き気を止める作用があります。陳皮(チンピ)や枳実(キジツ)は気をめぐらせ、胃の機能を高める作用があります。
茯苓飲の成分
茯苓飲は、6種類の生薬からなります。
・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科マツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ):キク科ホソバオケラ(白朮はオケラ)の根茎を乾燥させたもの。薬効は、関節などの水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・人参(ニンジン) :ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進し、消化を補い、体液の産生を促進し、精神を安定にする作用があります。
・陳皮(チンピ):ミカン科ウンシュウミカンの果皮を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痰や咳を鎮める作用があります。
・枳実(キジツ):ミカン科ダイダイの未熟果実を乾燥させたもの。薬効は、痰を鎮め、イライラを抑える作用があります。
・生姜(ショウキョウ) :ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。薬効は、腹部を温め、発汗させ、嘔気を抑える作用があります。
茯苓飲の副作用
体力のある人は適しません。
配合生薬の人参により、のぼせ、湿疹、蕁麻疹、皮膚炎の悪化などの症状があらわれる可能性があります。
茯苓飲の服用方法
ツムラ茯苓飲エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5 gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。