平胃散の特徴
暴飲暴食などによる胃の荒れや、急性胃腸炎によく用いられる漢方薬です。他にも、急性・慢性の胃カタル、胃アトニー、消化不良、食欲不振などに効果があります。
平胃散と五苓散(ゴレイサン)を合わせると、胃苓湯(イレイトウ)になります。また、藿香正気散(カッコウショウキサン)と五積散(ゴシャクサン)は平胃散を基本にした漢方薬です。
中国・宋時代の「和剤局方(ワザイキョクホウ)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 食欲不振
- 腹部膨満感
- 消化不良
- 胃がもたれる
- 食後にぐるぐると腹が鳴って下痢する
平胃散の作用
蒼朮(ソウジュツ)は胃腸の働きを助けて、余分な水を排泄する作用があります。
厚朴(コウボク)、陳皮(チンピ)は気をめぐらせて、食欲を増進する作用があります。生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)は胃腸を助けて、他の生薬の作用を増強する作用があります。
平胃散の成分
平胃散は、下記の6種類の生薬からなります。
・蒼朮(ソウジュツ):キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、関節などの水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・厚朴(コウボク):モクレン科ホオノキの樹皮を乾燥させたもの。薬効は、胃もたれ、吐き気、咳、イライラ感を抑える作用があります。
・陳皮(チンピ): ミカン科ウンシュウミカンの果皮を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、咳や痰を鎮める作用があります。
・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科ナツメの果実。薬効は、消化を補い、精神を安定させる作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科の甘草の根や根茎を乾燥させたもの。薬効は、疼痛緩和の他、緊張を緩める働きがあります。
・生姜(ショウキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。薬効は、部を温め、発汗させ、嘔気を止める作用があります。
平胃散の副作用
配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
平胃散の服用方法
ツムラ平胃散エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。