治打撲一方の特徴
名前の通り、打撲による腫れや痛み、捻挫に使われる漢方薬です。
体力にかかわらずに用いることができます。
血液の循環をよくし、炎症を抑える作用があり、主に打撲傷や手術後の創傷に用いられています。
江戸時代中期の医者「香川修庵(カガワシュウアン)」によって考えられた処方です。
治打撲一方の作用
大黄(ダイオウ)は熱をさまし、血液の循環をよくする作用があります。川芎(センキュウ)は血流を促進する作用があります。
桂皮(ケイヒ)、丁子(チョウジ)は体を温め、気血をめぐらす作用があります。
川骨(センコツ)は浮腫を改善し、水の循環を良くする作用があります。撲樕(ボクソク)、甘草(カンゾウ)は炎症を抑える作用があります。
治打撲一方の成分
治打撲一方は、下記の7種類の生薬からなります。
・桂皮(ケイヒ): クスノキ科カツラの木の樹皮を乾燥させたもの。薬効は、体を温め、痛みを止め、血行を改善する作用があります。
・川芎(センキュウ): セリ科センキュウの根茎を乾燥させたもの。薬効は、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。
・川骨(センコツ):スイレン科コウホネの根茎を乾燥させたもの。薬効は、血液循環と水分の循環をよくし、内出血を治す作用があります。
・甘草(カンゾウ): マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痛みを止める作用があります。
・大黄(ダイオウ):タデ科ダイオウの根茎を乾燥させたもの。薬効は、便通をよくし、血行を改善する作用があります。
・丁子(チョウジ):フトモモ科チョウジノキの蕾。薬効は、腹を温め、痛みを止める作用があります。
・撲樕(ボクソク):ブナ科クヌギの樹皮を乾燥させたもの。薬効は、皮膚の排膿を促す作用があります。
治打撲一方の副作用
配合生薬の大黄(主な成分はセンノサイド)は、過量投与で腹痛、下痢、胃腸障害が起こる場合があります。さらに、子宮収縮作用、下腹部の充血作用があるので、下痢傾向の人や、妊娠している人には適しません。
また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
治打撲一方の服用方法
ツムラ治打撲一方エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。