大防風湯の特徴
下肢の関節が腫れて痛み、こわばって歩きにくいなどの症状がある関節リウマチ、慢性関節炎、痛風に用いられる漢方薬です。関節が変形した慢性期のリウマチにも用いられます。冷え症、虚弱体質、倦怠感をともなう人に効果的です。
中国の「和剤局方(ワザイキョクホウ)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 虚弱体質、倦怠感がある
- 関節の疼痛、腫脹、麻痺、強直があり屈伸しづらい
- 歩きにくい
- 冷え性
大防風湯の作用
人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、大棗(タイソウ)、蒼朮(ソウジュツ)、甘草(カンゾウ)は胃腸の働きを助け、体力を増進する作用があります。
地黄(ジオウ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、当帰(トウキ)は血行を促進する作用があります。
杜仲(トチュウ)、牛膝(ゴシツ)は足腰の強化作用があります。
乾姜(カンキョウ)、附子(ブシ)は体を温めて、痛みを和らげる作用があります。
防風(ボウフウ)、羌活(キョウカツ)は痛みを和らげる作用があります。
大防風湯の成分
大防風湯は、下記の15種類の生薬からなります。
・黄耆(オウギ): マメ科キバナオウギの根を乾燥させたもの。熱を除き、イライラや炎症を抑える作用があります。
・地黄(ジオウ): ゴマノハグサ科アカヤジオウの根を乾燥させたもの。熱を除き、血液循環をよくする作用があります。
・芍薬(シャクヤク): ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。
・蒼朮(ソウジュツ): キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、関節などの水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・当帰(トウキ): セリ科トウキの根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。
・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科ナツメの果実。薬効は、消化を補い、精神を安定させる作用があります。
・杜仲(トチュウ): トチュウ科トチュウの樹皮を乾燥させたもの。薬効は、下半身や腰を温め、その機能を強化したり、痛みを取る作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痛みを止める作用があります。
・防風(ボウフウ): セリ科ボウフウの根を乾燥させたもの。薬効は、痒みや痛みを止める作用があります。
・乾姜(カンキョウ): ショウガ科ショウガの根茎を蒸して、乾かしたもの。薬効は、腹や肺を温め、痰を鎮める作用があります。
・牛膝(ゴシツ):ヒユ科ヒナタイノコズチの根を乾燥させたもの。薬効は、血液循環をよくし、下半身の筋力を強化する作用があります。
・川芎(センキュウ):セリ科センキュウの根茎を乾燥させたもの。薬効は、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。
・羌活(キョウカツ):セリ科のNotopterygium incisum Ting ex H.T.Chang又は Notopterygium forbesii Boissieuの根茎及び根を乾燥させたもの。薬効は、関節を温めて、痛みを抑える作用があります。
・人参(ニンジン):ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進し消化を補う作用があります。
・附子(ブシ):キンポウゲ科トリカブトの根を加熱処理したもの。薬効は、体を温め、痛みを止める作用があります。
大防風湯の副作用
暑がりで、のぼせやすい人には適しません。
配合生薬の附子(主な成分はアコニチン、メサコニチン)は、過量投与で中毒症状(吐き気、動悸、冷や汗、舌がしびれる、不整脈、血圧低下)がでる場合があります。小児は中毒が起こりやすいため、原則として使用できません。
配合生薬の地黄により、吐き気、胃痛、食欲低下、腹痛、下痢が生じる場合があります。胃腸の弱い人には注意が必要です。
また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
大防風湯の服用方法
ツムラ大防風湯エキス顆粒によると、通常、成人1日10.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。大防風湯は「散寒剤」ですので、お湯に溶かし温めて服用するとより効果的です。