滋陰降火湯の特徴
気管支炎などの病気が長引き、喉の潤いがなく痰が出なくて咳き込む場合に用いられる漢方薬です。急性・慢性の気管支炎、乾性肋膜炎、肺結核に用いられます。
中国・明時代の「万病回春(マンビョウカイシュン)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 体力が低下している
- 空咳がでる
- 口が渇く
- 呼吸困難
- 皮膚が浅黒い
- 微熱がある
滋陰降火湯の作用
当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)は血を補う作用があります。
地黄(ジオウ)、麦門冬(バクモンドウ)、天門冬(テンモンドウ)は体液を補い、咳を止める作用があります。
黄柏(オウバク)、知母(チモ)は体液不足により生じた熱をさます作用があります。
蒼朮(ソウジュツ)、陳皮(チンピ)、甘草(カンゾウ)は胃腸の働きを助ける作用があります。
滋陰降火湯の成分
滋陰降火湯は、下記の10種類の生薬からなります。
・蒼朮(ソウジュツ):キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・地黄(ジオウ): ゴマノハグサ科アカヤジオウの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくする作用があります。
・芍薬(シャクヤク):ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくし痛みを止める作用があります。
・陳皮(チンピ):ミカン科ウンシュウミカンの果皮。薬効は、消化を整え、痰や咳を鎮める作用があります。
・天門冬(テンモンドウ):ユリ科サスギカズラの根を乾燥させたもの。薬効は、肺を潤して、痰を鎮め、便通をよくする作用があります。
・当帰(トウキ):セリ科トウキの根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。
・麦門冬(バクモンドウ):ユリ科ジャノヒゲの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、肺を潤して、咳を止める作用があります。
・黄柏(オウバク):ミカン科キハダの樹皮。薬効は、熱を除き、炎症を抑える作用があります。
・甘草(カンゾウ): マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痛みを止める作用があります。
・知母(チモ):ユリ科ハナスゲの根茎を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き体液の産生を促す作用があります。
滋陰降火湯の副作用
配合生薬の地黄により、胃腸が虚弱な人が用いると、食欲不振、下痢などの胃腸障害が起こることがあります。
また、配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
滋陰降火湯の服用方法
ツムラ滋陰降火湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。