当帰湯の特徴
背中に寒冷を感じ、血色も悪く、体力がない人で、水おちが痛んだり、胸から背中にかけて痛む場合に用いられる漢方薬です。肋間神経痛、仮性狭心症に応用されます。
中国・唐時代の「千金方(センキンホウ)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 背中に冷感を感じる
- 胸から背中にかけて突き抜けるような痛みを感じる
- 腹部膨満感を感じる
※ただし、病院でしっかりとこの痛みの原因を調べる必要はあります。大動脈解離や狭心症や心筋梗塞など、上に上げられるような痛みの中には、非常に怖い病気が隠れている場合があるためです。糖尿病や女性や糖尿病の方などは、痛みを感じる感覚が低下しているため、実は重たい病気でも軽い症状に感じる方も居ますので、さらに注意が必要です。
当帰湯の作用
当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)は血を補い、痛みを和らげる作用があります。
人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、甘草(カンゾウ)は体力を増進する作用があります。
桂皮(ケイヒ)、山椒(サンショウ)、乾姜(カンキョウ)は胃腸を温め、痛みを止める作用があります。
半夏(ハンゲ)、厚朴(コウボク)は気を巡らせる作用があります。
当帰湯の成分
当帰湯は、下記の10種類の生薬からなります。
・当帰(トウキ):セリ科トウキの根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。
・乾姜(カンキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を蒸して乾かしたもの。薬効は、肺や腹を温める作用があります。
・人参(ニンジン):ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進させる作用があります。
・山椒(サンショウ):ミカン科サンショウの果皮を乾燥させたもの。薬効は、腹を温め、腹痛を止める作用があります。
・半夏(ハンゲ):サトイモ科カラスビシャクの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、痰や咳をおさえ、吐き気を抑える作用があります。
・桂皮(ケイヒ):クスノキ科カツラの木の樹皮。薬効は、体を温め、痛みを止める作用があります。
・厚朴(コウボク):モクレン科ホオノキの樹皮。薬効は、胃もたれ、吐き気、咳、イライラを抑える作用があります。
・芍薬(シャクヤク):ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、消化を整え、痛みを止める作用があります。
・黄耆(オウギ):マメ科キバナオウギの根を乾燥させたもの。薬効は、気を補い、汗を止め、腫れを抑える作用があります。
当帰湯の副作用
配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
当帰湯の服用方法
ツムラ当帰湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。