柴苓湯の特徴
吐き気や食欲不振があり、排尿が少なく、むくみがあり、のどが渇く人に用いられる漢方薬です。腎炎や肝硬変、水様性の下痢に応用されます。
小柴胡湯(ショウサイコトウ)と五苓散(ゴレイサン)を合わせてできた方剤で、小柴胡湯の症状があり、口がかわいて尿量が少ない場合に柴苓湯を用います。
中国・元時代の「得効方(トクコウホウ)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 食欲不振
- 吐き気がある
- 口が渇く
- 尿量が少ない
- むくみがある
柴苓湯の作用
柴胡(サイコ)黄芩(オウゴン)は熱を冷まし胸脇苦満(胸苦しい感じ)を和らげる作用があります。
半夏(ハンゲ)、生姜(ショウキョウ)は胃を温めて吐き気を抑える作用があります。
人参(ニンジン)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)は体力を増進し、胃腸の働きを助ける作用があります。
沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)は体内の余分な水分を排泄する作用があります。
桂皮(ケイヒ)は体を温め、水分の代謝を促進する作用があります。
柴苓湯の成分
柴苓湯は、下記の12種類の生薬からなります。
・柴胡(サイコ) :セリ科ミシマサイコの根を乾燥させたもの。薬効は、炎症を抑え、ストレスを解除する作用があります。
・沢瀉(タクシャ):オモダカ科サジオモダカの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくして、尿を出す作用があります。
・黄芩(オウゴン) :シソ科コガネバナの根を乾燥させたもの。薬効は、熱をさまし、イライラや炎症を抑える作用があります。
・半夏(ハンゲ):サトイモ科カラスビシャクの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、水の代謝を改善し、気の巡りをよくする作用があります。
・蒼朮(ソウジュツ):キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・猪苓(チョレイ):サルノコシカケ科チョレイマイタケの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、排尿作用があります。
・桂皮(ケイヒ):クスノキ科カツラの木の樹皮。薬効は、体をあたため、痛みを止め、血行を改善し、動悸を抑える作用があります。
・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科マツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・人参(ニンジン):ウコギ科のオタネニンジンを根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進し、消化機能を高める作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、痛みを緩和し、緊張を緩める作用があります。
・生姜(ショウキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。薬効は、体を温め、消化機能を整える作用があります。
・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実。薬効は、胃腸の機能を整え、精神を安定させる作用があります。また、筋肉の緊張による痛みや腹痛を和らげる作用があります。
柴苓湯の副作用
配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
まれに、間質性肺炎、肝機能障害の副作用が報告されています。
柴苓湯の服用方法
ツムラ柴苓湯エキス顆粒によると、通常、成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。