胃苓湯の特徴
水様性の下痢、嘔吐、口の渇き、食あたりに用いられる漢方薬です。冷え腹、急性胃腸炎にも処方されます。
平胃酸(ヘイイサン)と五苓散(ゴレイサン)を合わせた方剤です。
中国・明時代の「万病回春(マンビョウカイシュン)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 体力は中程度
- 吐き気がある
- 口が渇く
- 尿量が少ない
- むくみがある
胃苓湯の作用
蒼朮(ソウジュツ)、白朮(ビャクジュツ)、沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、は胃腸の働きを助けて、余分な水を排泄する作用があります。
桂皮(ケイヒ)は体を温めて、利水作用があります。
厚朴(コウボク)、陳皮(チンピ)、は気をめぐらせて、食欲を増進する作用があります。
生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)は胃腸を助けて、他の生薬の作用を増強する作用があります。
胃苓湯の成分
胃苓湯は、下記の11種類の生薬からなります。
・厚朴(コウボク) :モクレン科ホオノキの樹皮。薬効は、胃もたれ、吐き気、咳、イライラを抑える作用があります。
・蒼朮(ソウジュツ):キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・沢瀉(タクシャ) :オモダカ科サジオモダカ科の塊茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくする作用があります。
・猪苓(チョレイ):サルノコシカケ科チョレイマイタケの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、排尿作用があります。
・陳皮(チンピ):ミカン科ウンシュウミカンの果皮。薬効は、消化を整え、痰や咳を抑える作用があります。
・白朮(ビャクジュツ):キク科オケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、水分の循環をよくする作用があります。
・桂皮(ケイヒ):クスノキ科カツラの木の樹皮。薬効は、体をあたため、痛みを止め、血行を改善し、動悸を抑える作用があります。
・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科マツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、痛みを緩和し、緊張を緩める作用があります。
・生姜(ショウキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。薬効は、体を温め、消化機能を整える作用があります。
・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科のナツメの果実。薬効は、胃腸の機能を整え、精神を安定させる作用があります。また、筋肉の緊張による痛みや腹痛を和らげる作用があります。
胃苓湯の副作用
配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
胃苓湯の服用方法
ツムラ胃苓湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。