排膿散及湯の特徴
患部に発赤、腫れ、痛みを伴った化膿性の皮膚疾患に用いられる漢方薬です。消炎鎮痛効果と、排膿促進効果があります。
発熱頭痛を伴う化膿症の場合は、葛根湯(カッコントウ)か小柴胡湯(ショウサイコトウ)に桔梗石膏(キキョウセッコウ)を加えて用います。また、化膿しやすい体質の人には、十味排毒湯(ジュウミハイドクトウ)を用います。
金匱要略(キンキヨウリャク)に記されている排膿散と排膿湯を合わせたもので、吉益東洞(ヨシマストウドウ)の考案した処方です。
次のような人に有効です。
- 局所に炎症を伴う化膿症
- 発熱、悪寒などの全身症状はない
- 急性の化膿症
排膿散及湯の作用
桔梗(キキョウ)は膿を排出する作用があります。
枳実(キジツ)は気を巡らせる作用があります。
芍薬(シャクヤク)は体液の産生を促し、痛みを抑制する作用があります。
生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)は胃腸の働きを補う作用があります。
排膿散及湯の成分
排膿散及湯は、下記の6種類の生薬からなります。
・桔梗(キキョウ):キキョウ科キキョウの根を乾燥させたもの。薬効は、膿を出して腫れを抑える作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、消化を整える作用があります。
・枳実(キジツ) :ミカン科ダイダイの未熟果実。薬効は、イライラを抑える作用があります。
・芍薬(シャクヤク):ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。薬効は、血液循環をよくし、痛みを止める作用があります。
・大棗(タイソウ):クロウメモドキ科ナツメの果実。薬効は、消化を補う作用があります。
・生姜(ショウキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。薬効は、腹部をあたため、胃腸の働きを強くする作用があります。
排膿散及湯の副作用
配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
排膿散及湯の服用方法
ツムラ排膿散及湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。