苓甘姜味辛夏仁湯の特徴
体力が低下し、胃腸が虚弱で、冷え性の人で風邪が長引いて体内に冷えと水が滞り、水様性の痰がでたり、咳嗽や喘鳴を伴う場合に用いられる漢方薬です。水のような鼻水が出るアレルギー性鼻炎にも効果があります。
7つの配合生薬を取って名づけられました。
中国・漢時代の「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 体力が低下、胃腸虚弱
- 水様性の痰を伴う咳
- 貧血症状
- 冷え性
苓甘姜味辛夏仁湯の作用
杏仁(キョウニン)、半夏(ハンゲ)、五味子(ゴミシ)は咳を止める作用があります。
茯苓(ブクリョウ)、甘草(カンゾウ)は痰を抑え、胃腸を補う作用があります。
細辛(サイシン)、乾姜(カンキョウ)は体を温めて痰をとる作用があります。
苓甘姜味辛夏仁湯の成分
苓甘姜味辛夏仁湯は、下記の7種類の生薬からなります。
・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科マツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・半夏(ハンゲ):サトイモ科カラスビシャクの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、痰や咳を鎮め、吐き気を抑える作用があります。
・五味子(ゴミシ):マツブサ科チョウセンゴミシの果実。薬効は、咳を止め、下痢を止める作用があります。
・細辛(サイシン):ウマノスズクサ科ウスバサイシンの根茎を乾燥させたもの。
薬効は、体を温め、痰を出す作用があります。
・杏仁(キョウニン):バラ科アンズの種子。薬効は、咳を止め、腸を潤し、便通をよくする作用があります。
・甘草(カンゾウ) :マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、消化を整え、痛みを止める作用があります。
・乾姜(カンキョウ):ショウガ科ショウガの根茎を蒸して乾かしたもの。薬効は、腹や肺を温め痰を鎮める作用があります。
苓甘姜味辛夏仁湯の副作用
配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
苓甘姜味辛夏仁湯の服用方法
ツムラ苓甘姜味辛夏仁湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。