茵蔯五苓散の特徴
激しく口が渇いて、尿量が減少し、便秘のない人に用いられる漢方薬です。蕁麻疹、むくみ、肝炎、腎炎、ネフローゼに応用されます。
五苓散に茵蔯蒿(インチンコウ)を加えたものです。
小柴胡湯(ショウサイコトウ)や大柴胡湯(ダイサイコトウ)と併用することがあります。黄疸症状、便秘症状のある場合は、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)が用いられます。
中国・漢時代の「金匱要略(キンキヨウリャク)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 激しく口が渇く
- 尿量が減少
- 軽い黄疸、少量の腹水
- 下痢、または軟便
茵蔯五苓散の作用
沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)は、体内に溜まった余分な水を排泄する作用があります。
桂皮(ケイヒ)は体を温め、水分の分布を促す作用があります。
代表的な利水薬である五苓散に黄疸を治す作用の茵蔯蒿(インチンコウ)を加えた処方です。
茵蔯五苓散の成分
茵蔯五苓散は、下記の6種類の生薬からなります。
・沢瀉(タクシャ):オモダカ科サジオモダカの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、尿を出す作用があります。
・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科マツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・蒼朮(ソウジュツ):キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・猪苓(チョレイ) :サルノコシカケ科チョレイマイタケの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環を良くして、排尿作用があります。
・茵蔯蒿(インチンコウ):カワラヨモギの花の部分。薬効は、湿を取り去り、黄疸を治す作用があります。
・桂皮(ケイヒ):クスノキ科カツラの木の樹皮。薬効は、体を温め、痛みをとめて血行を改善する作用があります。
茵蔯五苓散の副作用
特に重い副作用はありませんが胃の不快感、食欲不振が起こることがあります。
茵蔯五苓散の服用方法
ツムラ茵蔯五苓散エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。
基本的に漢方エキス製剤は、お湯に溶かしてから服用すると良い効果が期待されます。