帯状疱疹に使用される漢方薬と使いわけの解説

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、ヘルペス系のウイルスによる感染症でヘルペス系のウイルスは8種類ほどあります。単純ヘルペスウイルスは通常、健康な人の体内にもありますが、過労やストレス、風邪など体力が弱まり免疫が低下したときに、ウイルスが活性化され発病します。

帯状疱疹を起こすのは、帯状疱疹ウイルスですが、水ぼうそうもその中のひとつです。知覚神経が分布しているところの皮膚上へ発病し、水ぶくれや熱感、腫れが現れ、チリチリと痛みがあるのが特徴です。また皮膚の炎症が治まっても、その後神経痛が起こる場合があり、強い痛みのために夜眠れないということもあります。睡眠不足が続けば、疲労やストレスがかかるため、筋肉の緊張や交感神経の興奮で身体の血流が悪くなり、更に症状が悪化します。西洋医学での治療は抗ウイルス薬や消炎鎮痛剤が使われ、神経痛には神経ブロックなどが使われます。

治療の基本は、早期発見・早期西洋治療です。それと啓蒙です。3人運動というのをオススメします。一人、残念ながら帯状疱疹となってしまった人がいたら、その人が3人に、帯状疱疹の啓蒙をするのです。どのように痛くなったか、治療をしたほうがよいということを伝えるのです。ここでもう一つ伝えたいことは、みために赤く水ぶくれが出てきていかにも、という症状が出てくる前に、ピリピリとした感じが先行する場合があり、これはとても良い治療のタイミングになります。なので、そういったことを啓蒙していきましょう。

補助的に役立つ場合があるのが、漢方薬です。漢方薬は初期の炎症や痛み、症状が続いたための精神不安や、西洋薬でも改善しない慢性的な痛みなどに効果を発揮します。また、ヘルペスを発病させないための免疫の向上や予防の目的として使われます。

【帯状疱疹におすすめの漢方薬】

越婢加朮湯』 ◇炎症が強い初期症状に‐

越婢加朮湯は、関節炎や結膜炎、アレルギー性鼻炎、皮膚炎などに幅広く使われる薬です。いずれも強い炎症や熱感、腫れやむくみによる痛みに対して用いられます。ヘルペスであれば赤く腫れて痛みがはじまり、水ぶくれができる急性の症状に適しています。構成生薬の石膏は炎症している患部の熱を冷まし、朮や麻黄が体内でだぶついている水をさばきます。越婢加朮湯に適した体質は、普段から体力があり、胃腸が丈夫で、体内の水の巡りが悪く、浮腫みがあったり、喉が渇いて水を飲むわりには、尿が出にくいタイプとされます。水の症状が無い場合は、黄連解毒湯も考慮してみてください。

著しく胃腸の虚弱な人、動悸、高血圧、狭心症など循環器系の障害がある人、腎障害などがある人は使用を控えるか、専門家に相談することをおすすめします。また甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。

補中益気湯 ◇免疫低下の予防に‐

外出から帰宅すると、疲れてすぐに横になりたくなるような事が普段からあり、胃腸の調子もすぐれない。すぐに喉が痛くなったり熱が出たりするような人の免疫アップとヘルペス発病予防に補中益気湯は適しています。ヘルペス後の神経痛の予防も期待ができ、ヘルペス発症時から服用することがよいとされています。また、補中益気湯のような疲れがあり、強い冷えを伴う人には十全大補湯が適しています。不安、不眠などの精神的な症状を伴う場合には、人参養栄湯もよいでしょう。3つの漢方薬に共通している黄耆と人参は、「補気」といい、気を補い胃腸を元気にします。病気に負けない身体作りは健康の基本です。

補中益気湯は甘草を含んでいるため、他の漢方薬との併用や甘草を含む食品の摂取に注意してください。また副作用として、間質性肺炎や肝機能障害が記載されています。

麻黄附子細辛湯』 ◇虚弱で冷えの強い人の神経痛に‐

ヘルペス後の神経痛があり、風呂に入るなどして身体を温めると痛みが和らぐタイプは、麻黄附子細辛湯が適しています。麻黄、細辛、附子と非常にシンプルな構成で、全て身体を強く温める作用があります。自分でエネルギー(熱)を作り上げることが出来なくなった身体を内側から温めて、冷えや痛みを改善します。

麻黄附子細辛湯は、ドラッグストアではあまり見かけません。理由は定かではありませんが、病状や体質に合えば非常に素晴らしい効果を発揮してくれます。方剤名にも使われている「附子」とはトリカブトの事で、非常に毒性の強い植物です。もちろん毒を極力省いた安全なものが使われていますが、稀にのぼせや舌のしびれが現れることもあるため、やはり漢方外来のドクターや漢方薬局などの専門家と相談しながら服用することがよいでしょう。体力があり、暑がりでのぼせが強い人、高血圧で循環器系に障害がある人、著しく胃腸が弱い人は服用を控えてください。副作用として肝機能障害などが記載されています。

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