啓脾湯の特徴
体力が衰弱し、食欲不振、水っぽい下痢が続き、腹痛や嘔吐などの症状に用いられる漢方薬です。消化不良や慢性胃腸炎や病後の胃腸の強壮に応用されます。
四君子湯(シクンシトウ)に山薬(サンヤク)、山査子(サンザシ)、陳皮(チンピ)、蓮肉(レンニク)、沢瀉(タクシャ)を加えた処方です。
⇒参考:四君子湯の効能・効果・生薬の成分
中国・明時代の「万病回春(マンビョウカイシュン)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 虚弱体質
- 水様性の下痢
- 食欲不振
- やせて顔色が悪い
啓脾湯の作用
人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)は胃腸の働きを改善し、体力を増進する作用があります。
山薬(サンヤク)、蓮肉(レンニク)は胃腸を助けて、下痢を止める作用があります。
蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、沢瀉(タクシャ)は水の代謝を改善する作用があります。
山査子(サンザシ)は食べ物の滞りを改善する作用があります。
陳皮(チンピ)は気を巡らせ、食欲を増進する作用があります。
啓脾湯の成分
啓脾湯は、9種類の生薬からなります。
・蒼朮(ソウジュツ):キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・茯苓(ブクリョウ):サルノコシカケ科マツホドの菌核を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・山薬(サンヤク):ヤマノイモ科ヤマノイモの根茎を乾燥させたもの。薬効は、消化を助け、下痢を止める作用があります。
・陳皮(チンピ):ミカン科ウンシュウミカンの果皮。薬効は、消化を整え、痰や咳を鎮める作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痛みを止める作用があります。
・蓮肉(レンニク):マスイレン科ハスの種子。薬効は、消化を整え、下痢を止める作用があります。
・山査子(サンザシ):バラ科サンザシの果実。薬効は、消化を助け、下痢を止める作用があります。
・人参(ニンジン):ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進し、消化を補う作用があります。
・沢瀉(タクシャ):オモダカ科サジオモダカの塊茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、尿を出す作用があります。
啓脾湯の副作用
配合生薬の甘草(主な成分はグリチルリチン酸)の大量服用により、むくみが出たり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。甘草が含まれている他の漢方薬や、グリチルリチン酸を長期で服用する際は注意が必要です。
啓脾湯の服用方法
ツムラ啓脾湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。