清暑益気湯の特徴
主に夏の暑さに負けて、食欲が落ち、倦怠感、下痢などで夏痩せをする人に用いられる漢方薬です。食後にだるくて眠くなるような人や高齢者、胃腸の虚弱な人にも効果を期待されます。
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)をアレンジした処方で、気を益す作用があることより、清暑益期湯と名づけられました。
⇒参考:補中益気湯の効果効能・生薬の成分
中国・明時代の「医学六要(イガクロクヨウ)」に記されています。
次のような人に有効です。
- 夏痩せ、夏負け
- 食欲不振
- 食後の倦怠感や眠気
- 胃腸虚弱
- 下痢、軟便
清暑益気湯の作用
人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、蒼朮(ソウジュツ)、甘草(カンゾウ)は胃腸の働きを助け、体力を増進する作用があります。
陳皮(チンピ)は気を巡らせて、体力を増進する作用があります。
当帰(トウキ)は血を補い、血行を促進する作用があります。
黄柏(オウバク)は熱を冷ます作用があります。
麦門冬(バクモンドウ)、五味子(ゴミシ)は体液の産生を促進する作用があります。
清暑益気湯の成分
清暑益気湯は、9種類の生薬からなります。
・蒼朮(ソウジュツ):キク科ホソバオケラの根茎を乾燥させたもの。薬効は、水分の循環をよくし、消化を整える作用があります。
・人参(ニンジン):ウコギ科オタネニンジンの根を乾燥させたもの。薬効は、免疫機能を賦活し、体力を増進する作用があります。
・黄耆(オウギ):マメ科キバナオウギの根を乾燥させたもの。薬効は、気を補い、腫れを抑えて、傷の治りを早める作用があります。
・陳皮(チンピ):ミカン科ウンシュウミカンの果皮。薬効は、消化を整える作用があります。
・当帰(トウキ):セリ科トウキの根を乾燥させたもの。薬効は、血を補い、血液循環をよくする作用があります。
・黄柏(オウバク):ミカン科キハダの樹皮。薬効は、熱を除き、炎症を抑える作用があります。
・甘草(カンゾウ):マメ科カンゾウの根を乾燥させたもの。薬効は、消化を整え、痛みを止める作用があります。
・五味子(ゴミシ):マツブサ科チョウセンゴミシの根を乾燥させたもの。薬効は、咳を止め、体液の産生を促進する作用があります。
・麦門冬(バクモンドウ):ユリ科ジャノヒゲの根を乾燥させたもの。薬効は、熱を除き、体液の産生を促進させる作用があります。咳を止める作用があります。
清暑益気湯の副作用
配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり、血圧が上る「偽性アルドステロン症」と呼ばれる症状がでる可能性があります。アルドステロン症、ミオパシー(筋肉障害)、低カリウム血症の人は使用できません。肝臓治療薬であるグリチルリチン(グリチロン等)を服用している人は注意してください。
清暑益気湯の服用方法
ツムラ清暑益気湯エキス顆粒によると、通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用するとされています。年齢、体重、症状により適宜増減してください。