葛根(カッコン)の効能・使用される漢方薬 西洋医学との関わり

葛根(カッコン)

葛根とは、マメ科のクズの根(周皮を除く)を乾燥させた、辛涼解表薬に分類される生薬です。日本、中国、韓国を産地としており、でんぷんやイソフラボン配糖体を主成分としています。いわゆる葛湯や葛饅頭に用いられており、それらのとろみ成分は葛根(葛澱粉)によるものです。

中医学的に見る葛根

葛根は脾胃に帰経とし、味を甘、辛、性を涼とする生薬です。発散の性質を持っていますので、肌の表面にある外邪を発散させたり汗をかかせることによって追い出します。特に外感風熱による発熱、軽い悪寒、喉の渇き、口の渇きに用いられます。また、他の清熱薬や補脾薬と配合して下痢止めとしても用いられます。

そのほか、葛根は血圧が高い時に生じる頭痛やふらつきの症状を改善することもありますが降圧作用自体の報告はありませんので、そういった症状が出た際は必ず降圧剤も服用してください。

葛根は強い解表薬ではありませんが、多汗している患者や出血している患者には脱水症状等に陥らないように慎重に使用してください。

葛根が使われる主な漢方薬

  • 葛根湯(カッコントウ)

:悪寒を伴う風邪の初期に使用されることが一般的であるが、血管収縮が強い為に生じた上半身の筋肉のこわばりを改善する為、肩こりにも使用される。葛根はこの漢方薬において、辛温解表作用を発揮しています。

葛根湯(カッコントウ)の効果効能・副作用

  • 葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)

:葛根湯に散寒作用を持つ川芎と解表作用を持つ辛夷を加えた漢方薬です。葛根湯の適応とほぼ一緒ですが、辛夷には鼻閉を改善する効能がある為、慢性副鼻腔炎や蓄膿症に用いられる事が一般的です。葛根はこの漢方薬において、辛温解表作用を発揮しています。

葛根湯加川芎辛夷の効果効能・副作用

  • 桂枝加葛根湯(ケイシカカッコントウ)

:葛根湯から解表作用を持つ麻黄を抜いた漢方薬です。頭から背中にかけて筋肉がこわばり、肩こりが強い人に用いられます。葛根はこの漢方薬において、辛温解表作用を発揮しています。

西洋医学的に見る葛根

葛根の粉末の水懸濁液はウサギの胃内投与によって、解熱作用を示します。またイソフラボン配糖体のダイゼイン、プウェラリンは強い鎮痙解熱作用を、プウェラリン自体には血糖降下作用もある事が報告されています。

なお、葛根には鎮痙作用と拮抗すると思われる平滑筋臓器に対して収縮作用を呈することが報告されている為、妊婦さんに使用する際は場合によっては注意が必要です。

  • URLをコピーしました!
目次