ヤマノイモ科のヤマノイモ又はナガイモの周皮を除いた根を乾燥させた補気薬に分類される生薬の一つです。
長野や中国を産地とし、デンプンやマンナンを成分としています。また、消化酵素(アミラーゼ)を大根の約3倍量含むほか、活性酸素の除去するカタラーゼも豊富に含んでいます。
日本では江戸時代から滋養強壮の効果が認められ、いわゆる「とろろ」として一般的に食べられているものです。薬膳では、ナガイモを皮をむかずにそのまま炙って、毛を焦がし落としてから皮ごと食用する事が一般的です。
【中医学的に見る山薬の効能】
脾、肺、腎を帰経とし、味は甘、性を平とする生薬です。
山薬には、脾を元気にする働きがあり、固渋作用もある為、弱っているときの下痢症状に良いです。また、肺を元気にする効果もあり、慢性の咳にも効果があります。
その他にも、補腎作用がある為、アンチエイジングや老化による頻尿や女性のおりものが多い時にも使用されます。
【山薬を使う主な漢方薬】
- 牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
主に、下肢の痛み、腰痛、下肢の浮腫に用いられる。山薬はこの漢方薬において、補腎益精作用を発揮しています。
- 八味地黄丸(ハチミジオウガン)
一般的に中年以降の老化現象に伴う病態(下肢痛、泌尿器疾患、かすみ目など)に使用されます。山薬はこの漢方薬において、補腎益精作用を発揮しています。
- 六味地黄丸(ロクミガン)
八味地黄丸から桂枝と附子を取り去った漢方です。陰虚が関連する病態には幅広く適用する事が可能です。また、長期間服用しても弊害がない為、男女ともに中年以降は補腎の目的で常用すると良い漢方薬です。山薬はこの漢方薬において、補腎益精作用を発揮しています。
【西洋医学的に見る山薬】
血圧降下作用(ヘテログリカン)や男性ホルモンの増加作用が報告されています。