不妊症に使用する漢方薬(効果効能・使い分け)

不妊とは・・特徴、原因

結婚をして赤ちゃんを希望している夫婦は、一年後には約80%、二年後には約90%が妊娠しますが、残りの約10%が何らかの原因で不妊症であると言われています。

不妊には、女性側の卵巣・卵管の問題、男性側の問題など、様々な原因がありますが、原因不明の不妊も少なくありません。

不妊症の西洋医学の治療

不妊の原因を調べるために、まずは検査を行います。男性はきちんと作れているかを調べる検査として、奇形率や絶対数を調べます。女性は、女性は、月経の周期に応じて、基礎体温、子宮卵管造影検査、超音波検査、ホルモン検査、クラミジア感染の検査、抗体検査など様々な検査を行います。

明らかな原因が見つかれば、それに対する治療を行います。そして、排卵日に合わせて自然妊娠を目指すタイミング法の指導をしたり、女性の子宮内に注入する人工授精をします。

タイミング法や人工授精でも妊娠に至らなかった場合は、体の外で精子と卵子を受精させ、受精卵を子宮内に戻す体外受精、ガラス管等を使って精子を卵子に注入させ受精させる顕微授精へステップアップをしていきます。

不妊治療が高度になると、公的医療保険が使えず、1回あたり数十万円の費用がかかり、精神的、肉体的、経済的に負担がかかるのが現状です。

不妊症の漢方医学の治療

漢方医学では、冷えや胃腸障害、やせや肥満などの体質を改善することによって、自然な妊娠がおこりやすい状態に整えることが目的として治療します。

また、最近、排卵障害や黄体機能不全に当帰芍薬散や桂枝茯苓丸、温経湯などの漢方薬が有効であるという報告がされています。

男性では、運動性や濃度の改善として、補中益気湯が効果があるという報告がされています。

不妊症に対して用いられる主な漢方処方

以下に体力別に用いられる漢方処方を挙げます。

  • 体力がある人
  • 頭痛、のぼせ、めまい、足腰の冷え、便秘、月経不順→桃核承気湯
  • 体力が中程度な人
  • 頭痛、肩こり、上半身ののぼせ、疲労感、不眠、不安、イライラ→加味逍遙散
  • 頭痛、のぼせ、めまい、肩こり、動悸、息切れ、足の冷え、月経不順、月経困難、子宮内膜炎→桂枝茯苓丸
  • 体力がない人
  • 頭痛、腰痛、下腹部の冷え、月経不順、月経困難、排卵の誘発→温経湯
  • 貧血、めまい、動悸、疲労感、足腰の冷え、下腹部痛、排卵の誘発→当帰芍薬散
  • 手足の冷え、頭痛、吐き気、下腹部痛、腰痛→当帰四逆加呉茱萸生姜湯

ライフスタイルで注意すること 
バランスの取れた食事、適度な運動をして、可能な範囲でストレスをためないようにしていきたいです。不妊治療は女性側に精神的、肉体的に負担になりますので、周りと自分を比較せず、気持ちを焦らせないことも大切です。

参考文献
・漢方薬・生薬の教科書(新生出版社)
・漢方薬事典(主婦と生活社)

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