尿路結石症の特徴
尿路結石とは、腎臓の尿路部分や尿管、膀胱、尿道のいずれかにできた結石のことです。
結石の約90%以上はカルシウムを含むカルシウム結石からなり、種類としては、シュウ酸カルシウムリン酸カルシウムがあります。そのほかにも尿酸結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、シスチン結石などがあります。
腎臓や尿管に結石ができ、尿路壁を刺激すると、背中から脇腹にかけて突然激痛(腎疝痛といいます)が走ります。膀胱内に結石があると、頻用や排尿痛、血尿などの症状が現れます。膀胱内の結石が尿道にまで降りてきて、そこに留まると、排尿障害や排尿痛、血尿が現れます。
尿路結石は近年増加傾向にあり、10人に1人は尿路結石になると言われています。
西洋医学の治療
尿路結石は、約70%が自然に排出されます。X線検査で結石は白く写り、大きさが5-7mm以下であれば、水分を沢山とって、上下運動をしたり、尿管を弛緩する薬を服用することによって、結石が排出されることもあります。
結石が排出されない場合は、体外から衝撃波をあて、結石を砕く治療や、内視鏡や外科手術、尿道口から鉗子をいれるなどして結石の除去を行います。
漢方医学の治療
漢方医学では、古くから尿に混じって石がでることを「石淋」や「砂淋」と呼ばれていました。石の排出を促したり、痛みを鎮める漢方薬が用いられます。
また、体質的に結石ができやすい人に対しては、体質改善で再発を予防する目的でも用いられています。
尿路結石に対して用いられる主な漢方処方
以下に体力別に用いられる漢方処方を挙げます。
- 体力のある人
- 排尿を改善:下腹部痛、発熱、便秘→大黄牡丹皮湯
- 排尿を改善:頭痛、のぼせ、めまい、便秘→桃核承気湯
- 排尿改善:排尿痛、残尿感、血尿→竜胆瀉肝湯
- 結石排出:皮下脂肪が多い、肩こり、便秘→防風通聖散
- 体力が中程度の人
- 排尿改善:頭痛、のぼせ、下腹部痛、血尿→桂枝茯苓丸
- 結石排出:むくみ、疲労感、しびれ、頻尿→六味丸
- 体力がない人
- 痛み緩和:腹部の冷え、嘔吐、膨満感→大建中湯
- 結石排出:血色不良、むくみ、下腹部痛→当帰芍薬散
- 体力無関係
- 痛み緩和:排尿痛、激痛→芍薬甘草湯
ライフスタイルで注意すること
塩分を控え、水分を十分摂り、バランスの良い食事を規則正しく摂ることが大切です。動物性タンパク質やシュウ酸が多く含まれている食べ物を食べ過ぎると、結石ができやすくなるという報告もあります。シュウ酸が多く含まれている、ほうれん草などを食べる際は、一緒にカルシウムを摂取すると結石の産生が防ぐことができます。
参考文献
・漢方薬・生薬の教科書(新生出版社)
・漢方薬事典(主婦と生活社)