外反母趾の原因と症状
外反母趾とは、足の親指が変形して小指側へ15度以上曲がった状態のことをいいます。足の痛みやしびれが起こることもあり、足の変形が進行している時に痛みを感じるといわれています。しかし実際は痛みがないまま変形していく場合の方が多く、放っておくと膝痛や腰痛、頭痛、自律神経失調症などの症状を併発することがあるので適切な対処が必要です。
■外反母趾の原因
外反母趾は「足の骨のゆがみ」から引き起こされるもので、その原因としては次のようなものがあります。
- 靭帯の緩み
足裏への刺激不足などが原因で足指が力不足になり、足先を横方向に支えている靭帯が緩んでしまうことで親指が曲がってしまいます。
- 仮骨形成
歩行時に指を上げて親指の付け根で歩くような癖があると、繰り返される衝撃から守るために骨が異常に発育してしまいます(仮骨形成)。親指の曲がる角度は小さいですが、付け根の骨の出っ張りが大きくなります。
- ①と②の混合型
加齢につれて2つのタイプが合併しているケースも多くなってきます。
- 体質や遺伝によるもの
足の指が生まれつき長かったり、浮いていたりといった身体的特徴や、遺伝的要素も原因となります。女性が外反母趾になりやすいのも、男性より足の構造が柔らかくゆがみやすいためです。
- 病気やケガ
リウマチなどの病気や、事故・ケガなどが原因で足親指の変形が起こる場合があります。
効果的な漢方薬治療と対策
漢方では、外反母趾は「湿」と「熱」が原因で起こると考えます。「湿」が足に溜まると足がむくんで腫れ、親指の付け根の骨が突き出てきます。痛みは溜まった湿が生み出した「熱」によるものです。雨の日などに症状が悪化するのは、外の「湿」が皮膚から体内に侵入するためです。漢方治療では、体の余分な水分の排出を促して「湿」をためないようにする、発生した「熱」を冷まして痛みや炎症を抑えるといった処方が効果的です。
・薏苡仁湯・・・体の余分な水分を排出し、熱を冷まして痛みを抑える作用があります患部が腫れや熱をもち、症状が慢性化しているような場合に効果的な漢方薬です。体力中等度以上で、汗かきでないタイプの人に使用します。
・桂枝加朮附湯・・・余分な水分をとり除き、血行を良くし、体を温めて痛みを和らげる作用があります。関節などが腫れて痛み、冷えると悪化するような症状に効果的です。体力が低下していて、冷えがあるタイプの人に向いています。
・防已黄耆湯・・・水の巡りを良くし、むくみを取る生薬を中心に構成されています。汗かきで水太りタイプの人に用いられ、過剰な発汗を抑え利尿作用により水分代謝を改善します。漢方ではむくみを取ることで、足の骨の出っ張りが治まってくるといわれています。
・猪苓湯・・・体内の水分量を調節する他、炎症や熱を抑える作用があります。比較的体質を選ばずに使える漢方薬です。尿量が少なく、むくみやすいような場合に効果的です。
漢方薬では、外反母趾と痛風は同じ「湿」と「熱」が発症原因であるとして、同じ処方が治療薬として使われます。実際上記の漢方薬は痛風の治療にも使われている処方です。また東洋医学では、外反母趾の変形や、痛風の痛みがおこりやすい足親指の関節には、主に消化器系をコントロールしている経路(気の通り道)があります。このため消化器系の不調がこれらの病気の要因と成り得るという共通点があるそうです。消化器(脾胃)からくる「湿熱」を改善する代表的な漢方薬には半夏瀉心湯があります。