肋間神経痛とは
肋間神経痛とは、肋骨に沿って走る「肋間神経」に痛みが起こる神経痛です。肋間神経は脊髄から出て肋骨の間を通り、肋間筋や腹筋の運動を支配する神経です。何らかの原因で肋間神経が障害され、胸や背中・わき腹など肋間神経に沿って痛みが起こるのが肋間神経痛です。
肋間神経痛の原因
肋間神経痛には原因がはっきりしないものと、他の病気などが原因で起こるものがあります。
肋間神経痛を起こす病気には次のようなものがあります。
- 脊椎の病気による肋間神経の圧迫(脊椎腫瘍、椎間板ヘルニア、骨折、背骨のゆがみなど)
- 帯状疱疹ウイルスによる肋間神経痛
- 咳や外傷などによる肋骨の骨折
- 肋骨周辺にある内臓(肝臓・肺・すい臓など)の疾患に関連する痛み
- その他、妊娠中の子宮による圧迫、姿勢、一時的な肋骨への強い負担など
病気以外のものではストレスや疲労などが関係するとされていますが、はっきりしていません。
狭心症の発作や悪性腫瘍による痛みを肋間神経痛と間違えられるケースもあるので注意が必要です。はじめてこれらの症状が出たときには、まず内科で精査してみることが大事です。
肋間神経痛の症状
体のどちらか片側に、比較的強い痛みが短時間走るのが一般的ですが、原因などにより異なります。キューッとしめつけられるような痛み、ピリッと電気が走るような痛み、チクチクした痛みなどと感じることもあります。
痛みの持続時間は数秒程度が多いですが、帯状疱疹のように痛みが長く続く場合もあります。このような痛みが肋骨の間や背中、わき腹などに起こるのが特徴的です。呼吸や咳、体を動かした時などに痛みを感じることもあります。
肋間神経痛の治療
肋間神経痛の治療は対症療法であり、痛みや炎症を抑える内服薬や湿布などで様子を見るのが一般的です。肋間神経痛の原因が明らかな時はその治療を行います。肋骨の骨折などがある場合はベルトで固定することで痛みを軽減することができます。消炎鎮痛剤で効果がない場合は神経ブロックの注射が効果的です。その他、ハリや低周波治療、ストレスが強い場合は精神安定剤の服用などが有効なことがあります。
肋間神経痛で使用される漢方薬治療と対策
肋間神経痛を東洋医学では、胸における気・血・水の滞りが原因と考えます。ストレスなどにより気の巡りが悪くなる(気滞)、気滞が高じることや外傷の影響で血の流れが悪くなる(お血)、胃腸の不調により水が滞ることで痛みや冷えなどが生じる(水毒)、といった状態を改善する漢方薬が効果的です。
柴胡桂枝湯・・・胃腸の働きを整え、自律神経に関わる肝の働きを良くして気の巡りを改善する作用があります。肋間神経痛や胃潰瘍などストレスによって起きた症状にも広く使用される漢方薬です。体力中等度以下で、疲れやすい、食欲がない、みぞおちの辺りがつかえるなどの症状がある人に向いています。
大柴胡湯・・・炎症を抑え、肝の機能を整えて他の臓器との調和をはかり、気の巡りを良くする作用があります。体力があるがっちりタイプで、ストレスによるイライラや頭痛・のぼせ・便秘、みぞおち周りの張りが強いなどの症状がある人に向いています。
五積散・・・気、血、水、寒(冷え)、食(食物)、の五つの毒の停滞を改善することから名付けられた漢方薬です。気・血・水の巡りを良くし、体を温め、胃腸の働きを整えることで痛みを改善する作用があります。胃腸が弱く体に冷えがある人の、あまり強くない慢性的な痛みに効果的です。
桂枝加朮附湯・・・体を温め、体内の余分な水を除き、痛みを取る作用があります。体力がなく冷えがあり、水の停滞や汗をかきやすいなどの症状があり、冷えると痛みが悪化するような人に向いています。
人参湯・・・お腹を温めて胃腸の働きを整え、冷えによる下痢や嘔吐・腹痛・胸の痛みを改善する作用があります。虚弱な体質で冷えがあり、食欲不振、疲れやすい、冷えると腹痛や下痢をしやすいといった症状がある人に効果的です。