【愛知県豊田市】うつ病への鍼灸・代替療法をお探しの方へ

うつ病は、生涯有病率5.7%で、およそ20人に1人が罹患する疾患です。

心のつらさ、不眠、落ち込みなど、本人にとってとてもつらい症状にお悩みの方も多いです。

この記事を解説するのは、医師でありクリニックに併設する鍼灸院を経営している高杉です。

医師としては、ひだまりこころクリニックでメンタル疾患の治療に携わり、公認心理師の国家資格を持つ。うつ病の早期診断と精神科への橋渡しを大切に診療を行っている。

鍼灸に関しては、医師と鍼灸師の橋渡しとして様々な学会・勉強会で講演し鍼灸師と顔の見える連携を重視。

この記事では、うつ病の患者さんに受けていただきたい受診の流れと、鍼灸のエビデンスや効果について解説します。

目次

うつ病とは

DSM-5より

A)以下の症状のうち5 つ以上 が同一の 2 週間 に存在し、病前の機能からの変化を起している: これらの症状のうち少なくとも 1 つは、1.抑うつ気分または 2. 興味または喜びの喪失である。

1.抑うつ気分
2.興味または喜びの消失
3.体重の増加あるいは減少(1 か月で 5 %)、食欲の増加あるいは減退
4.不眠あるいは睡眠過多
5.精神運動性の焦燥あるいは制止
6.易疲労性または気力の減退
7.無価値観または過剰な(不適切な)罪責感
8.思考力や集中力の減退または決断困難
9.死についての反復思考・自殺念慮・自殺企図

B)症状は臨床的に著しい苦痛 または 社会的・職業的・他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C)エピソードが物質や他の医学的状態による精神的な影響によるものではない。

DSM-5 より

まとめると、9つの症状のうち 2 つの基本症状 (抑うつ気分、 興味・喜びの喪失)のどちらがあり、他の症状と合わせて 5 つ以上 が 2 週間以上続いているて、それが社会的に障害が生じている状態と定義されます。

鍼灸院に受診するうつ病患者さんの特徴

当院も懇意にしていただいている、米倉まな鍼灸師の報告では、10施設の鍼灸院でのメンタル不調の鍼灸相談の中で、

内科・受診がない患者さんが50%を占めている
②精神科・心療内科受診中の患者さんが12%しかいない

医師:高杉

内科外来をしていても、うつ病でメンタルクリニックを受診するまでのハードルが高いなという印象はありますが、鍼灸院でも同様とのことです。

私はそれもあり、メンタルクリニックで勉強し、公認心理師を取得し、精神科へのアクセスや連携を大事にできるよう考えていました。

とよた鍼灸サロンHALでも、医療機関との連携を大切に、アクセスが遅れることなく、患者さんと相談しながら最適な方法を提案していきます。

隣接する豊田土橋リウマチクリニックから、おすすめの精神科や心療内科外来に紹介も致しますので、鍼灸師に相談し場合によりクリニックにもご相談ください。

うつ病患者さんの不眠症に対する電気通電鍼灸の効果のランダム化比較試験(JAMA)

Electroacupuncture(電気による鍼灸)で、睡眠の質が改善したという研究結果が出ています。

多施設で行われたランダム化された比較試験では、偽鍼(SA)および標準治療と比較して、通電鍼療法(EA)治療は介入期間終了時(8週目)に有意に低いPSQIスコアを示し、この睡眠の質の改善は24週間の観察期間中も持続しました。通電鍼療法群の患者は、介入終了時には不眠症、うつ病的気分、不安症状の重症度がより大きく低下していました。臨床試験中には重篤な有害事象は報告されず、通電鍼療法はうつ病と不眠症の合併症を持つ患者に対する安全な治療法である可能性が示唆されました。

抗うつ薬との併用による効果増強の論文

Zhang, Zhinan, et al. “Electroacupuncture as a rapid-onset and safer complementary therapy for depression: A systematic review and meta-analysis.” Frontiers in Psychiatry 13 (2023): 1012606.

電気鍼療法(EA)の効果は抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)および三環系抗うつ薬(TCAs)を含む)と同等以上でした。電気鍼療法および電気鍼療法 + SSRIsは、初期治療段階でのうつ病の重症度低減においてSSRIs単独よりも効果的でした。
また、中程度のエビデンスによれば、EAおよびEA + SSRIsはSSRIs単独よりも安全でした。

2018年のレビューでは、うつ病に対する鍼療法(EAおよびMAの両方)の総合的な有効性を探る中で、鍼療法の有効性と安全性は抗うつ薬と同等以上であり、鍼療法と抗うつ薬の併用は単独の抗うつ薬よりも効果がある可能性があるとする弱いエビデンスが見つかりました。一部のレビューはEAを特定のうつ病のサブタイプに焦点を当てており、産後うつ病などの特定のサブタイプに対するEAの有効性は他の治療法と同等であり、安全性が優れているという結果が得られています。ただし、これらのレビューの多くはサブグループの比較を行っておらず、エビデンスのグレードは主に含まれる研究が不足しているため低いものでした。うつ病に対する代替療法の需要が増していることを考慮し、EAの可能な迅速な効果を考えると、これはうつ病の治療に有望な方法となり得ます。2018年の最新の包括的なレビュー以降、いくつかのRCTが発表されています。さらに、これまでのレビューでは対象となる試験がわずか14件であり、エビデンスのレベルを向上させるためにはもっと多くのRCTが必要であり、うつ病の特定のサブタイプに焦点を当てることが求められています。そのため、このレビューでは、最新の試験データを含めて、異なる時間軸でのEAの効果と安全性を評価および更新するためのメタアナリシスを実施する予定です。

と結ばれています。

うつ病に対する鍼通電療法は、SSRIなどの薬物治療と併用することで、
・効果の発現(早く効果が出始める)、
・眠りの質を改善させられる
可能性があり、当院では精神科や心療内科と協力して治療をしていきたいと考えています。

百会、神庭に通電するプロトコルと、症状に合わせてtVNS等で通電する耳通電をあわせています。

うつ病に対する鍼灸は、現在保険適応ではありません。

エビデンス(科学的根拠)が増えていき、治療が保険適応になれば良いなと思いますが、現時点では保険適応ではありません。自費施術になります。

東洋医学での、うつに対する鍼灸について

東洋医学的アプローチで行う鍼灸治療もあります。刺激量としては、ていしん(刺さない鍼)<置鍼<電気通電

という強度で、エビデンスが出ている治療としては鍼通電になりますが

伝統的にメンタルや気血水の調子を整える鍼灸で心とカラダが楽になる方も多く経験するため、当院では東洋医学の鍼灸と鍼通電の2つのメニューをご用意しております。

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