円形脱毛症の診断・治療と鍼灸の併用について医師が解説します。

当院では、育毛鍼を行っています。

施術内容は、医師監修でもあり、医療との相乗効果のある機序で施術を行っております。一方で、円形脱毛症は、医学の治療として進歩の目覚ましい分野のため、ぜひ医療機関での治療も受けていただきたい分野であるため、詳しく解説します。

円形脱毛症は治療薬が大きく進歩し、従来だとなかなか改善しなかった脱毛が改善しやすくなってきました。というのも、自己免疫疾患（自分の免疫が自分の体を攻撃してしまう病態）であるため、免疫学的見地からの治療が進んできたためです。

このページでは、最新の円形脱毛症の診断や治療を医師が解説します。

円形脱毛症の場合は、まず皮膚科で治療をうけていただきながら、並行して鍼灸を検討いただくことを推奨しています。

円形脱毛症とは

円形脱毛症（alopecia areata, AA）は、境界明瞭な円形から楕円形の脱毛斑を生じる自己免疫性の非瘢痕性脱毛症です。あらゆる年齢で発症し得て、頭皮の毛包（特に成長期の毛包）が自己免疫の標的となり突然の脱毛を引き起こします

軽症では小さな円形脱毛が1～数個できる程度ですが、重症例では脱毛範囲が拡大し頭部全体（全頭脱毛症）や全身（汎発脱毛症）に及ぶこともあります。その経過は人によって異なり、自然寛解と再発を繰り返すことも多く、患者のQOLに大きく影響します。

診断

視診と触診: まず脱毛の分布や形態を視診し、頭皮の状態や毛孔の有無を確認します。円形脱毛症では突然出現した円形の無毛斑で、皮膚に瘢痕や炎症がないのが典型です。脱毛部周囲の毛が先細りの感嘆符様毛（ビックリ毛）になっていることがあり、活動期には短く切れた毛や黒い点状の折れ毛なども認めます。

また、患者の爪をチェックし、点状陥凹（ピッツ）など爪の変化がないかも確認します。円形脱毛症の約10–30%に爪の異常がみられ、特に重症例で多い傾向があります。

ダーモスコピー検査: ダーモスコープ（拡大鏡）による頭皮所見は診断に有用です。活動期の病変では、黄白色の点状構造（イエロードット）や黒色点、感嘆符状の短毛、折れ毛などが高頻度に観察されます。これらは円形脱毛症に特徴的な所見であり、特に黄白色点は毛包開口部に角質や皮脂が貯留した像で非瘢痕性脱毛の特徴とされています。

必要に応じた検査: 診断が不明瞭な場合や他疾患との鑑別が難しい場合には、頭皮の一部を採取して病理組織検査（皮膚生検）を行うことがあります​。急性期の生検所見では成長期毛包周囲に蜂の巣状のリンパ球浸潤像（“bee-swarm” pattern）がみられることが知られています​

また血液検査も有用で、甲状腺機能異常（橋本病など）や膠原病の有無、貧血や鉄欠乏、ビタミンD不足など脱毛に関与しうる全身状態をチェックします​。最近の考え方では、円形脱毛症は自己免疫疾患の一つであるため、自己免疫性甲状腺疾患や尋常性白斑、アトピー素因など他の自己免疫疾患が合併していないか調べることもあります。

鑑別診断: 円形脱毛症と類似の所見を示す脱毛症との鑑別が重要です。他の脱毛症との違いを以下にまとめます。

• 男性型脱毛症（AGA）: 思春期以降の男性（や女性）に生じる進行性の毛髪の軟毛化・細毛化です。前額部や頭頂部から徐々に薄毛が進行するパターンで、急激に境界明瞭な無毛斑が生じる円形脱毛症とは経過と分布が異なります。またAGAでは毛包は破壊されずミニチュア化して産毛状の毛が残るのに対し、円形脱毛症ではその部位は完全につるっと無毛になる点も異なります。
• 尋常性白斑: 自己免疫性機序により皮膚のメラニン色素が破壊される病気で、境界明瞭な白斑を生じます。一見すると患部の毛が目立たないため脱毛と紛らわしいことがありますが、皮膚自体が色素脱失している点で識別できます。白斑部の毛髪は脱毛というより白毛化することが多く、円形脱毛症のような完全脱毛とは異なります。
• 膠原病による脱毛: 全身性エリテマトーデス（SLE）や皮膚筋炎、強皮症など膠原病でも脱毛が起こることがあります。特に円板状エリテマトーデス（DLE）では頭部に瘢痕性の脱毛斑を生じます。この場合、紅斑や鱗屑を伴い治癒後は瘢痕が残って毛包開口部が消失するため、非瘢痕性で毛孔が保たれる円形脱毛症とは明確に区別できます。
• 抜毛症（トリコチロマニア）: 患者自身が無意識あるいは故意に毛を引き抜く行為による脱毛です。頭髪の抜去癖は小児や若年女性に見られ、脱毛部の境界が不整で様々な長さの切れ毛が残る点が特徴です。円形脱毛症では毛がスッと抜け落ちるため折れ毛は少なく、抜毛症ではしばしば毛先が不揃いな断毛が多数認められます。ダーモスコピーでも抜毛症ではフレームヘアーやV字サインなど独特の所見があります。
• その他: 白癬（真菌症）では頭部白癬で脱毛とともに強いフケや炎症を伴うことがあります。また梅毒による脱毛（いわゆる蛀蝕（むしばみ）状脱毛）は不規則なパッチ状の脱毛を呈しうるため鑑別に挙がります。先天性三角形脱毛症（思春期前にこめかみ付近に生じる持続的な三角形の脱毛斑）も誤診例がありますが、生来の局所的な毛髪欠如であり進行性ではない点で区別されます。
  
  いずれの場合も、皮膚科専門医が総合的に判断し必要な検査を行うことで鑑別診断するため、まず皮膚科受診が望ましいです。

エビデンス：治療法ごとの科学的根拠とデータ

各治療法に関して、臨床研究や試験から得られた知見を補足します。

• ステロイド外用：炎症を抑えるステロイドの塗り薬は、単発型～多発型など比較的軽症の円形脱毛症に使用されます。炎症性の自己免疫反応を局所で抑制することで毛包への攻撃を鎮め、発毛を促す狙いです。小児にも行いやすい治療ですが、刺激性が強いため顔や敏感な部位への使用は注意が必要です。長期連用は局所皮膚の萎縮や毛細血管拡張など副作用の恐れがあるため、皮膚科医の指示の下、一定期間で効果判定しながら継続するか検討します。比較試験のデータでは、外用単独での有効率はおおよそ30～40%程度と報告され、症状が軽いほど有効との知見があります(1)。
• ステロイド局所注射：プラセボ比較試験こそ不足していますが、多くの臨床報告で有効性が示されています。例えば、ある前向き研究では局所注射した病変の90%以上で発毛が確認され、未治療部位との差が統計学的に有意でした(2)。効果維持のため発毛後も数週間おきに追加注射を行うことで、再発を防ぐ工夫も提案されています。とはいえ、大規模試験がないため厳密な有効率の算出は難しく、エビデンスの質は中等度です
• 局所免疫療法（DPCP/SADBE）：古典的研究としてHappleらの報告以来、この療法の有効性は世界中で検証されています(4)。たとえばカナダの大規模追跡では約60%の患者で50%以上の毛髪再生が得られ、そのうち30%は寛解状態まで改善しました(5)。一方で約10%は全く反応を示さず、特に汎発型では無効例が多いことも知られています​
• エキシマ光線療法：紫外線による免疫調整作用を利用した治療も円形脱毛症に応用されます。特に308nmエキシマ光線療法（XECL：エキシマライト）は局所的に強い紫外線B波を照射でき、皮膚炎を誘導せず穏やかに免疫反応を変調させる治療です。週1～2回の頻度で脱毛部に照射を繰り返すことで、数か月かけて発毛を促します。エキシマ光線はもともと乾癬や白斑の治療に使われてきたもので、円形脱毛症にも中等度の効果が認められています(4)。特に局所免疫療法ができないような小児患者や、かぶれ療法を嫌がる患者に代替手段として有用と考えられています。限定的な研究ながら、エキシマライト単独で30～50%の有効率（顕著な発毛が得られる割合）が報告されており、他治療との併用で効果増強も期待されています(4)。
• PUVA療法：広範囲の脱毛には、ソラレンという感作物質を服用した上で長波長紫外線Aを全頭に照射するPUVA療法も試みられます。免疫抑制効果で知られるPUVAは円形脱毛症への有効例と無効例があり、現時点でエビデンスは限定的です(4)。

免疫抑制剤・JAK阻害薬による全身治療

近年、円形脱毛症の自己免疫機序が解明されるにつれ、全身的な免疫調整薬の使用も注目されています。その代表がJAK阻害薬（Janus kinase阻害薬）です。JAK阻害薬は炎症性サイトカインのシグナル伝達をブロックする免疫抑制剤で、本来は関節リウマチなど自己免疫疾患や骨髄疾患の治療薬として開発されました​

円形脱毛症ではインターフェロンγやインターロイキン15といったサイトカインが毛包を攻撃するT細胞を活性化するため、JAK経路を遮断することでこの炎症ループを断ち切り毛包の免疫特権を回復させることが期待されます​。

トファシチニブ（JAK1/3阻害剤）やルキソリチニブ（JAK1/2阻害剤）による治療は2010年代中頃から報告され、難治性の重症患者で顕著な発毛が得られる症例が相次ぎました​

例えばコロンビア大学のグループによる中等症～重症円形脱毛症患者12名の試験では、75%の患者で顕著な毛髪再生がみられ、平均で92%の毛が回復したと報告されています​。この成果は画期的で、従来有効策がなかった全頭脱毛症や汎発脱毛症にも希望をもたらしました​

現在までにJAK阻害薬の中ではバリシチニブ（JAK1/2阻害薬オルミエント®）が最もエビデンスを積み、重症円形脱毛症に対して2022年に米国FDA承認を取得しています​（日本でも近く承認見込み）。相次いでリトシチニブ、デュルックスリチニブといった経口JAK阻害薬も成人および12歳以上の小児で承認され、新たな標準治療の一角になりつつあります​

主要臨床試験では、バリシチニブ4mgを36週投与した群で約35–38%の患者が頭髪の80%以上の再生（SALTスコア20以下達成）に至り、プラセボ群の3–6%を大きく上回りました​。リトシチニブでも24週時点で約23%がSALT20以下（80%以上再生）となり、1年継続で40%以上に増加しています​

JAK阻害薬は大規模試験で有効性が実証された初の全身療法であり​、眉毛やまつ毛の再生効果も確認されています。​

一方でJAK阻害薬は全身の免疫を抑えるため、感染症のリスク増大、脂質異常、肝酵素上昇、血栓傾向、悪性腫瘍リスク上昇などには注意しながら使用していく必要があります。

薬剤費も高額であるものの、

従来治療に反応しない難治例における希望の光であり、今後の安全対策と適応拡大に期待が寄せられています。

円形脱毛症への治療効果が現れるまでの時間と経過管理

治療ごとの効果発現期間：髪が生え始めるまでの期間は治療法や個人差によって異なりますが、「抜けてしまった毛が再び十分成長して外見上目立たなくなるまで3～6か月以上は要する」と考えましょう​。

髪の成長サイクル上、毛根が刺激を受けてから産毛→硬毛へ育つまでに時間がかかるためです。例えばステロイド局所注射だと早い人で4週間前後から産毛の発生が確認できますが、太く長い毛に戻るにはさらに数か月かかります。外用療法（塗り薬）は効果が緩徐なため3か月程度塗ってみて発毛の有無を判定します。

局所免疫療法の場合、初回かぶれ誘発後おおよそ12週（3か月）ほどで産毛が生え始めるケースが多く、6か月経っても変化がなければ他治療への切替えを検討します。光線療法も3～6か月照射を続けて改善が乏しければ中止します。JAK阻害薬は比較的早期に反応が出やすく、臨床試験では3か月時点で既に全体の30～40%で目に見える毛髪改善が始まると報告されています。

再発リスクと長期管理：円形脱毛症は再発しやすい病気でもあります。初発で軽症の方でも約3割は将来再発を経験し、重症だった方では半数以上が何度も脱毛と発毛を繰り返します。特に治療をやめた直後や強いストレスがかかった時などに再発しやすいため、注意深い経過観察が必要です。

引用文献：
1）日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版（日皮会誌 127: 2741-2762, 2017）
2）Tang L, Cao Y, Shi J, et al. Intralesional corticosteroid injection for alopecia areata: A systematic review and meta-analysis. J Am Acad Dermatol. 2021;85(1):124-134.
3）Rossi A, Campo D, Garelli V, et al. Steroid treatment of alopecia areata: A systematic review. Dermatol Ther. 2020;33(6):e14227.
4）Alkhalifah A, Alsantali A, Wang E, et al. Alopecia areata update: Part II. Treatment. J Am Acad Dermatol. 2010;62(2):191-202.
5）Olsen EA, Carson S, Turney EA, et al. Alopecia areata investigational assessment guidelines – Part II. J Am Acad Dermatol. 2004;51(3):440-447.
6）King B, Ohyama M, Kwon O, et al. Two Phase 3 Trials of Baricitinib for Alopecia Areata. N Engl J Med. 2022;386(18):1687-1699.
7）Dai T, Li J, Song N, et al. Add-on effect of plum-blossom needling in alopecia areata: A qualitative evidence synthesis. Ann Palliat Med. 2021;10(7):8030-8042.

	育毛鍼	服薬治療	ミノキシジル 外用薬
女性の 使用	◯	✕	△ 使用できるものが限られる
副作用 リスク	なし	肝機能障害 など	かゆみや 発疹、炎症 など
効果	◯	✕	◯
髪質	◯	✕	△

育毛鍼の一番のメリットは、「副作用がないこと」です。ミノキシジルや育毛剤で感じることのある「皮膚が厚くなる、皮膚が硬くなる、再発、白髪、他の部位と毛の感じが違う、気持ち悪くなる」などの副作用が出ず、髪の毛本来の状態を取り戻すアプローチができることが最大のメリットです。

鍼灸の最大のメリットは、
副作用がないこと！

育毛鍼は「振動圧刺激」という刺激方法で
髪の根幹である毛母細胞の血流や栄養状態に働きかける

育毛にとって最も重要である毛母細胞の血流量を増加させる方法が「振動圧刺激」です。この刺激方法により髪の毛の根っこにある毛母細胞へ栄養を行き渡らせ、発毛育毛を効果的に促進します。

女性型脱毛症の誘発因子である
ストレス・女性ホルモンバランス・自律神経バランスを整えます

鍼灸治療の得意分野である「自律神経失調症」におけるストレス管理や自律神経バランスの調整に働きかける施術で、脱毛の原因にも働きかけることができます。

「黄帝内経」素問には、「腎」が蟄を主り、頭髪の華と骨の充実に関連しているとの記述があります。腎は精を蔵し、その栄華が髪や骨に現れるとされています。また、腎と骨は密接に関連しており、腎の合は骨であり、その栄華は髪に表れると述べられています。

この視点から見ると、古典医書では「髪」は身体の健康やエネルギーの流れに密接に関わる重要な要素であるとされています。身体の各部位や器官が、エネルギーの流れやバランスによって影響を受け、その健康状態が反映されると解釈できます。

次に、「黄帝内経」霊枢における「気血」と「経絡」の関係に焦点を当ててみましょう。

『黄帝内経』霊枢では、「気血」が経絡を通じて全身に流れ、経絡の滞りが病気の原因とされています。これは東洋医学における基本的な概念であり、気血の流れが滞ることで身体の調和が崩れ、様々な症状が現れるとされています。

これらの視点から、「気血」や「経絡」の流れが円滑であることが、「髪」や身体の健康にとって重要であると言えます。従って、古典医書では脱毛症や頭髪の問題に対しても、気血や経絡のバランスを整えるアプローチが重要であるとされていたことが読み取れます。

西洋現代医学の視点から脱毛症を考察すると、白血球の役割が注目されています。白血球は免疫細胞であり、全身を循環して健康維持に寄与します。特に、白血球の種類である顆粒球やリンパ球は、自律神経系のバランスに影響される部分がありその点に鍼灸が関与できると考えられています。

脱毛症においても、自律神経の状態や白血球の分画が異なることが研究で示されています。交感神経の緊張がアドレナリン濃度の上昇を引き起こし、これが顆粒球の増加と活性化を促すことが考えられています。この過程で、活性酸素の放出が増加し、組織の破壊が脱毛の原因とされています。

とよた鍼灸サロンHALは
現役の医師が運営する
クリニック併設鍼灸院です

とよた鍼灸サロンHALは「医学的根拠に基づく鍼灸治療」を提供する、医師が運営するクリニック併設の鍼灸サロンです。「従来の治療薬では大きな効果が得られない」「体に負担の少ない方法で症状を和らげたい」「悩みを忘れてもっと快適に生活を送りたい」

こういったお声に対して、医師が鍼灸のマネージメントを行う「医療鍼灸：Medical Acupuncture（MA）」を用いた、効果と安全性を両立した医療ベースの鍼灸治療の取り組みを通じて、多くの医師、メディアから評価を受けています。

ぜひ一度、鍼灸を経験してみてください。きっと良い結果が得られますよ！

鍼が終わった後は調子が悪かった箇所はとても楽になり、受けて本当によかったです。

※これらは個人の感想であり、効果効能を保証するものではありません

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不定愁訴や倦怠感などは、西洋医学だけだと解決が難しい場合も多く、多くの方が困ると同時に、多くの医師も良い解決方法が提案できず困っています。そういった中で、不定愁訴や不眠に鍼灸は良いと思うので、是非うけてみていただきたいです。

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脱毛症、薄毛、AGAなど
頭髪のお悩みに
育毛鍼をお試しください

育毛鍼は継続することが大切になりますが、当院の技術指導鍼灸師の種市先生の臨床データでは、月１回程度の育毛鍼治療で結果は出ていますので、予算と相談して継続通院しやすいご提案をさせていただきます。

もちろん通院回数が増えた方が発毛・育毛速度が早いというデータもございますが、先に述べた通り、継続することが何よりも大切です。目標と目的をご相談の上、最善を尽くします。

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