今回は、TBSの人気番組『Human Insight』(2025年5月23日放送)をご紹介します。
「東洋医学って本当に効くの?」「鍼灸ってなんとなく効きそうだけど、どうして?」そんな素朴な疑問に、島根大学医学部の大野智教授がしっかりと答えてくれる内容でした。
動画では、私たち施術者も「なるほど!」と感じる科学的な根拠や、現場で実感している効果の裏付けとなる話が満載。この記事では、その見どころを、なるべくやさしくまとめてみました。
「人を見る医学」と「病気を見る医学」
東洋医学は「人を見る医学」、西洋医学は「病気を見る医学」と言われています。
鍼灸や漢方などに代表される東洋医学は、体全体のバランスを整えることを目的としています。一方、西洋医学は、細胞や臓器レベルで異常を突き止め、薬や手術で対処するスタイル。
どちらが良い悪いではなく、「見る角度が違う」だけなんですね。
なぜ鍼は効くのか?
動画では「鍼が効く理由」についても解説されています。
鍼を打つと、まず皮膚の下で軸索反射が起こって血管が広がり、血流がよくなります。すると、そこにたまっていた“痛み物質”が洗い流されていく。そんな働きが、体の末梢レベルで起こります。
さらに、脊髄の中では「痛みの信号を脳に届けるかどうかをコントロールする門(ゲート)」があって、鍼刺激によってこのゲートが閉じると、痛みを感じにくくなる。
脳の中では、ベータエンドルフィンという“脳内の鎮痛ホルモン”が出てきて、痛みや不快感を和らげる。
つまり、鍼は末梢・脊髄・脳という3段階で働きかけてくれるんです。
「気・血・水」ってどういう意味?
漢方の世界では「気・血・水(き・けつ・すい)」という言葉がよく出てきます。
- 「気」は元気の 気 であり、自律神経や代謝に関係
- 「血」は体をめぐる栄養、現代医学で言う血液そのもの
- 「水」はリンパ液やホルモンのような存在
この3つのバランスが崩れると、体のあちこちに不調が出やすくなるという考え方です。
例えば「気」が不足すれば疲れやすくなり、「水」が滞ればむくみやすくなります。
鍼灸がうつ病にも効果?
動画では、うつ病に対する鍼灸の研究も紹介されていました。イギリスで行われた臨床試験では、薬やカウンセリングに加えて鍼治療を受けたグループの方が、症状の改善度が高かったという結果が出ています。
こうしたデータは、「薬に頼らない選択肢がほしい」「副作用がつらい」という人たちにとって、大きな希望になるのではないでしょうか。
情報にあふれる時代、信頼できる医療情報をどう見極める?
現代は、ネットを開けば医療や健康の情報があふれています。でも「どれを信じていいか分からない」という方も多いのでは?そんなときに役立つのが「PICO(ピコ)」という読み解き方です。
- Patient(誰に)
- Intervention(何をして)
- Comparison(何と比べて)
- Outcome(どうなったか)
この4つを意識して読むことで、医療情報の「本質」が見えてきます。
大野教授は「かかりつけ医だけでなく、薬剤師や鍼灸師なども含めて、相談できる“頼れる人”を持つことが、これからの時代にとても大切です」と語っていました。
とよた鍼灸サロンHALも、その一人として皆さんの健康の選択肢のひとつになれたら嬉しいです。
東洋医学の魅力は、組み合わせにあり
「効くかどうか分からない」ではなく、「なぜ効くのか」に科学が迫る時代になってきました。東洋医学と西洋医学は、どちらかを選ぶものではなく、組み合わせることで力を発揮する時代へ。
番組を通して、「鍼灸ってちょっと面白そうかも」と感じてもらえたらうれしいです。