桂皮(ケイヒ) の効能・使用される漢方薬 西洋医学との関わり

 

桂皮とは、クスノキ科の肉桂の樹皮を乾燥させた裏温薬に分類される生薬です。中国南部、ベトナム北部を産地とし、フェニルプロパノイドやタンニンを成分としています。いわゆる、カプチーノなどにかかってくるシナモン・ニッキのことです。

 

桂枝は桂皮と基原植物は同じですが使用されるのは若い枝ですので、別の生薬です。効果は共に温めるという点では共通しておりますが、桂枝の働きはマイルドで体表面部分を温めたり発汗させますが、桂皮の働きは強めで体の中から(つまりは内臓から)温めます。しかしながら日本の漢方では桂皮と桂枝の区別はしてない事が多く、どの漢方薬も桂皮で調合されている事が多いです。

 

【中医学的に見る桂皮の効能】

心・肺・膀胱系を帰経とし、味を辛、甘、性を温とする生薬です。また腎陽を補う主薬である為、老化や極度の疲労による冷え、頻尿、インポテンツや月経による腹痛、冷えが原因の瘀血による無月経にも用いられます。

 

【桂皮が使われる主な漢方薬】

桂枝湯(ケイシトウ)

:体力が不足して自己免疫力が低下した時に、外的ストレスなどが原因で生じる風邪の初期症状の時に対して、血行を良くし自律神経系を整え、抵抗力をつける働きをします。桂皮はこの漢方薬において、辛温解表作用(=血行を良くして体を温める事によって、体表部を整えて抵抗力を上げること)を発揮しています。

桂枝湯の効果・効能・副作用

 

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

:基本的な活血化瘀剤です。本剤は、体力があってもなくても、赤ら顔であってもなくても血瘀症状には広く使用できる漢方薬です。元来は、子宮筋腫や子宮内膜症の為に使用されていたが、現在は血瘀症状全般に使用されています。なお現在では、本剤は女性ホルモン調整作用があると考えられているため、女性ホルモンの乱れに起因するにきび等にも使用されます。桂皮はこの漢方薬において、理気作用を発揮しています。

桂枝茯苓丸の効果・効能・副作用

 

葛根湯(カッコントウ):生薬「葛根」のページを参照してください。桂皮はこの漢方において、辛温解表作用(=血行を良くして体を温める事によって、体表部を整えて抵抗力を上げること)を発揮しています。

葛根湯の効果 効能 副作用

 

【西洋医学的に見る桂皮】

フェニルプロパノイドの一つであるシナムアルデヒドには発汗解熱作用や末梢血管拡張作用等が見受けられます。また、健胃作用や抗菌作用の報告もあります。なお、まれにではありますが免疫系に影響を与える事がありますので、リウマチなどの自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎などに用いるときには経過観察が必要です。

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