二日酔いの原因と症状、使用する漢方薬

■二日酔いの原因

二日酔いとは自身のアルコール分解能力を超える量の飲酒をすることによって、主に吐き気や嘔吐、頭痛、喉の渇きなどの症状が起こるものです。この過剰となったアルコールが体内でどのように作用するかによって、現れる症状や対処法は異なります。

・脱水による症状

 アルコールの利尿作用により、飲酒で摂取した分以上の水分が失われて脱水症状になります。二日酔いの原因として最も多いもので、頭痛や体のだるさ、吐き気などの症状を引き起こします。

・低血糖による症状

 摂取したアルコールは肝臓で分解されますが、この間肝臓は他の働きを休ませてアルコールの分解を優先します。このため肝臓での糖の生産が不足し、糖分不足になることで頭痛やだるさ、筋肉痛などの症状が起こります。

・アセトアルデヒドによる症状

 アルコールの分解過程で生じるアセトアルデヒドにより起こる症状です。頭痛や吐き気、疲労感などがあります。

・胃酸の分泌過多による症状

 アルコールにより胃酸の分泌が促され、胃酸過多になることがあります。吐き気や食欲不振、下痢などの症状が起こります。

・血管拡張作用による症状

 アルコールやその分解物には血管拡張作用があり、これにより脳の血流変化を起こすことでズキズキとした頭痛の症状が現れます。

・酸素不足による症状

 アルコールが血液中に入ることによる酸素運搬能力の減少、アルコール分解による肝臓での酸素消費量の増加などが原因で、酸素不足になり起こる症状です。主に頭痛や体のだるさといった症状が現れます。

■二日酔いに効果的とされる漢方薬

 ・五苓散・・・二日酔いに最も使われている漢方薬です。水分の代謝を良くする効果があり、二日酔いによる口の渇きやむくみ、吐き気や下痢などに効果があります。五苓散には、アルコールの代謝を改善する作用や吐き気を抑える作用、消化管の動きを良くする作用などが確認されています。またお酒を飲む前に服用しておくと、水分やアルコールの代謝が良くなって二日酔いの予防にもなります。体力のあるなしに関わらず使用できる漢方薬です。

黄連解毒湯・・・体の熱を冷まし、炎症を抑える作用がある漢方薬です。胃腸の炎症を改善し、吐き気や下痢に効果があります。また肝臓に対する作用がありアルコールやアセトアルデヒドの分解を助けます。体力があって体がほてるような人に向いている漢方薬で、普段から胃腸が弱いタイプの人には使用を控えます。

半夏瀉心湯・・・胃腸の動きを良くし、吐き気や下痢、腹部膨満感などを改善します。特にみぞおちのあたりがつかえたような感じや、お腹がはってグルグル鳴るような症状に良く効きます。体力中等度の人向きの漢方薬です。

二陳湯・・・吐き気を抑えたり、体内にたまった水分を排出させる作用があります。二日酔いによる悪心・嘔吐に主に効果があります。体力中等度で、胃にボチャボチャと水分がたまっているような状態の人に向いています。

■その他の対策

二日酔いの症状を改善するには、アルコール摂取によって乱れた体のバランスを整える必要があります。例えばアルコールの利尿作用による脱水状態の時に、失われた水分やナトリウム、カリウムなどを補うにはスポーツドリンクや味噌汁などが適しています。また低血糖の時に速やかに糖分を補給するには、果糖を含む果実のフレッシュジュースや蜂蜜が有効です。これらの対策と漢方薬をうまく組み合わせることで、より早い二日酔いからの回復が期待できるでしょう。

  • URLをコピーしました!
目次