枳実(キジツ)の効能・使用される漢方薬 西洋医学との関わり

枳実(キジツ)は、ミカン科のダイダイやナツミカンの未熟果実をそのまま、もしくは切って乾燥させた、理気薬に分類される生薬です。日本、中国を産地とし、精油、フラボノイド配糖体、アルカロイドを成分としています。

 

【中医学的に見る枳実】

枳実は脾、胃、大腸系を帰経とし、味を苦、辛、性を微温とする生薬です。枳実は気を巡らせる力が強い為、食べ過ぎによる腹痛、便秘などの張りを改善し、消化を助ける事によって下痢やしぶり腹にも使用されます。また、湿が気の巡りを阻む事によって胸元やみぞおちがつかえて苦しくなる症状にも使用されます。

その他にも、胃拡張、胃下垂、脱肛、子宮脱水に用いられた補気薬と併用することにより、その効果をより持続させる作用もあります。

 

【主な漢方薬】

:大柴胡湯と小柴胡湯の中間に位置する処方であり、肝気鬱結を第一の目標とする漢方薬です。枳実はこの漢方薬において、気を巡らし痙攣や痛みを止める効果を発揮しています。

 

  • 小承気湯(ショウジョウキトウ)

:大承気湯から芒硝を取り除いたもので、便秘に使用される漢方薬です。枳実はこの漢方薬において、気を巡らし上腹部のつかえを取る効果を発揮しています。

 

:化膿性で炎症中のできもので、かたくなって痛むものに使用される漢方薬です。枳実はこの漢方薬において、気を巡らし排膿する効果を発揮しています。

 

【西洋医学的に見る枳実】

キジツのアルカロイドのシネフリンは、ラットの摘出子宮筋のセロトニンによる収縮を弛緩する事が報告されています。また、キジツのフラボノイド配糖体には抗炎症作用があることが報告されています。

 

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