爪の異常に対する漢方薬(爪異常の原因と症状)

■爪の異常が起こる原因

・巻き爪・・・爪の端が内側に巻き込んで皮膚に食い込み、炎症や痛みが起こります。深爪や靴による圧迫、つま先に負担がかかるスポーツなどが原因となることがあります。

・爪白癬・・・真菌の一種である白癬菌が爪に感染する、いわゆる「爪水虫」です。爪が白色や褐色に濁り厚くなります。主に抗真菌剤の内服や外用薬での治療を行います。

・爪甲剥離症・・・爪の表面が薄く剥がれてしまう疾患です。原因としては爪と指の間のケガや接触性皮膚炎、マニキュアなどによるもの、感染(主にカンジダ菌)、指先を使う職業などがありますが、原因が不明の場合もあります。

・スプーン爪・・・爪の先端や両側が反り返り、中央がへこんでスプーンのようになる状態です。鉄欠乏性貧血や甲状腺機能亢進症などの疾患に見られることがある症状です。

■爪の異常から考えられる疾患

・爪のしわ・・・爪が横に波打っていたり、しわが入っていると貧血や糖尿病、感染症など体調不良が疑われます。縦じわの場合は老化現象による特に心配のないものです。

・爪が黒くなる・・・内出血や良性のほくろなどの場合は心配ありませんが、副腎皮質などの内分泌系の疾患や、悪性の黒色腫が心配される場合もあります。

・爪が白くなる・・・貧血や腎臓病の人に白っぽい爪が見られることがあります。慢性肝炎や肝硬変などの疾患では白濁した爪が多く見られます。

・爪が赤くなる・・・赤血球が多くなる疾患や、肥満の人に見られることがあります。また静脈の血液循環に障害をきたしていると、紫がかった濃ピンク色の爪になることがあります。

・ばち指・・・爪の付け根の下にある組織が盛り上がって、爪の生える角度が変化した状態です。肺がんや気管支拡張症など一部の肺疾患に伴って発生すると考えられています。

効果的な漢方薬治療と対策

漢方では爪は「血」からつくられると言われ、血が不足した状態(血虚)になると、爪がもろくなる、皮膚がかさつくなど体の表面にも影響が見られることが多くなります。爪の異常の原因となる疾患には西洋薬等の治療が必要ですが、体質によるものや原因不明のものには、このような状態を改善する漢方薬が使用されます。

・四物湯・・・全身を栄養する「肝血」の不足(肝血虚)を補う代表的な処方です。爪がもろく割れやすい、貧血があるなどの症状に効果的です。体力があまりないタイプで、著しい胃腸虚弱がない人に向いている漢方薬です。

・当帰飲子・・・血を補い皮膚の乾燥を潤す作用があります。爪の乾燥による変形や異常にも効果的です。体力がなく冷え性で、皮膚のかさつきや痒みがあるような人に向いています。

・十全大補湯・・・血虚のほか、胃腸が弱っていて血のもとになる栄養を十分に吸収できない状態(脾虚)も改善する効果があります。体力が弱っていて疲れやすく、手足の冷えなどがある人に向いている漢方薬です。

・茵蔯五苓散・・・水虫(白癬)は東洋医学的には、「水」と「熱」が過剰になって体に変調をきたす「湿熱」が原因と考えられます。特に湿をさばく効果にすぐれた漢方薬で、体力中等度で口の渇きや尿量減少などの症状がある人の湿熱を改善する作用があります。じんましんにもよく使われます。

・十味敗毒湯・・・「熱」を冷ます作用があり、化膿性の皮膚疾患や水虫に用いられる漢方薬です。体力中等度で、化膿しやすい体質の人に向いています。比較的体力があり患部の分泌物が多い、かゆみが強いといった人には消風散を使用します。

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